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忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


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57.文化祭②

 生徒会の見回りも終わり、自由時間を過ごしていた。

 クラスの出し物もあるが、私のシフトはまだ。ということでふらふらと校内を歩いていた。


 「ふぅ。ちょっと疲れたな…。」


 外部の人もいるためか、校内は人がごった返している。

 熱がこもったような空気にあてられ、人酔いしてしまったようだ。


 私は出し物で賑わっていないであろう東校舎の3階へ移動する。

 そこでは書道部や美術部、写真部の展示がされていた。


 それらを横目にゆっくりしていると、展示の前で大里おおさと先生が立ち止まっていた。


 「先生。こんにちは。」

 「山吹やまぶきさん。こんにちは。」


 先生が立ち止まっているのはひとつの写真の前だった。それは、近くの神社。後光がさすかのように神々しい本殿が真ん中を陣取る、一切無駄のないシンプルなものだ。

 そういえば、先生は写真を撮るのが好きだったはず。故に、写真部の展示を興味深く眺めているのだろう。


 真面目な顔をする彼の顔をちらりと眺め言う。


 「凄い綺麗に撮れてますよね。」

 「ですね。…………私もこれぐらい綺麗に撮れれば良いんですが……。」

 「先生はどんなカメラを使っているんですか?」

 「よく聞いてくれましたね。」


 先生は突然したり顔をするかと思うと、懐から何やら物々しいカメラを取り出す。


 「つい最近発売された最新モデルです。………本体もいい感じですが、何よりレンズにこだわっているんですよ。」

 「レンズに?」

 「えぇ。これは動く被写体をブレなく捉えやすいものなんです。なので、生徒の写真を撮るのもばっちりというわけですね。」

 「へぇ。どれぐらいの値段なんですか。」

 「だいたい先生の月給ひと月分ですね。………我ながらいい買い物をしました。」

 「ひと月分って…何十万とかですか!?」


 それは大したカメラではないか。


 てっきり高いカメラといえばレンズの部分が伸びていて、三脚をくっつけて持ち運ぶものばかりだと思っていたが、そうでもないらしい。

 現に、先生の手にするのは普通のデジタルカメラとそう変わらないように見える。


 「たとえ数十万してもこだわりたいですからね。………山吹やまぶきさんも見ますか。私のとっておき。」


 そう言って見せてくれたのは白い封筒に入った数枚の写真。

 どうやら公園のような場所で撮ったらしく、そこには遊び回る幼子が写っていた。


 「おぉ。綺麗ですね。……やっぱり携帯のとは違いますね。」

 「そうでしょう。そうでしょう。」

 「…………ところで先生、ここに写ってる子たちって、知り合いですか。」

 「いえ。通りすがりの児童ですよ。」

 「……………………先生。赤の他人の子供を公園で撮るってのは一歩間違えれば不審者だと思います。」

 

 遊び回る子供へシャッターをきる姿を想像する。

 どう考えたって通報ものだ。


 「し、しっかり許可は頂きましたよ!というか、教師をしている身ですから、その辺りはしっかりしないと!」

 「良かったです……。私、先生のこと朝のニュースで見たくありませんし…。」

 「私も載りたくないですよ!」


 担任が報道される心配もなくなったところで、先生に別れを告げて他の展示を見に行くのだった。

 

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