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忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


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49/80

49.あいさつ運動②

 今日は生徒会執行部の活動があった。内容はあいさつ運動。朝、校門前に立って行き交う生徒へあいさつするだけの活動だ。だけ、といったが少し違うかもしれない。一応、服装検査なども行うのだ。

 私は早起きをして学校へ向かう。まずは教室へ行き荷物を置く。そしてまた校門へ。


 「荒井あらいくん。おはよう。」

 

 その途中。廊下で黒髪の少年に合う。彼は荒井あらいくん。部活仲間、兼妖怪退治仲間だ。


 「おはよう。」

 「今日は涼しいね。もう夏みたいな暑さはなくなってきたみたい。」

 「過ごしやすくていんじゃない。」

 「そうだね。春とか秋が一番過ごしやすいもんね。」


 他愛もないことを話しながら校門前へ向かった。

 登校してくる生徒は皆、既に白い長袖のシャツ。時折、暑がりの生徒は腕をまくっていたり、寒がりの生徒がカーディガンを羽織っていたりする。


 「おはようございます!」

 「おはようございます。」


 私達はそんな生徒へあいさつをする。青柳あおやなぎ高校の生徒はまちまちで、挨拶を返す生徒、返さない生徒ときっぱり分かれていた。

 そんな中、ひときわ元気に挨拶を返す生徒がいた。


 「おはよー!かえでっち!!」


 そう言いながら私に近付くのは友人の純麗すみれちゃんだ。彼女はオレンジ色のポニーテールを揺らして、今日も明るく笑顔を振りまいてる。


 「おはよう。純麗すみれちゃん。これから朝練?」

 「そっ!今日もばしばしスリーポイント決めてくる!」

 「あははっ。怪我しないようにね。また病院行かなきゃいけなくなっちゃうよ?」

 「分かってるって!それじゃ!またねー!」


 嵐のように去っていく。朝一番に彼女の顔が見れてよかった。純麗すみれちゃんの溢れんばかりの元気が幾分か私に伝わった気がする。


 「…………みさきさき、病院通ってたの?」


 純麗すみれちゃんの姿が見えなくなったあと、荒井あらいくんはぽつりと呟く。

 私は少し意外だった。荒井あらいくんが純麗すみれちゃんのことを知っていることも、そして気にかけていることも。


 「う、うん。でも大きい怪我とか病気では無かったみたい。」

 「……………ふぅん。」


 それっきり黙りこくってしまった。運悪く、生徒の登校も止んでしまう。何か話題を振ろうかと迷い、言葉をまとめる前に口が開く。


 「前も思ったんだけど、荒井あらいくんって純麗すみれちゃんと仲良しなの?」

 「………なんで?」

 「い、いやぁ。荒井あらいくんが人の名前覚えるなんて珍しいから…。」

 「………君は僕をなんだと思ってるわけ…。」

 

 荒井あらいくんは心外そうに目を細める。そして、そっと遠くを見てから言った。


 「別に。仲良しなんかじゃないよ。僕があの人を知ってるだけ。あの人は僕のこと知らないよ。」

 「へー。………も、もしかして純麗すみれちゃんのこと、す」

 「変なこと考えないで。馬鹿なのは顔だけにしてくれる?」

 「なっ!?私の顔、そんなに馬鹿っぽい!?」

 「少なくとも僕よりは。」

 「そりゃあ学年3位の荒井あらいくんには負けるけど!馬鹿っぽい顔ではないと思うなぁ!」


 本当に荒井あらいくんは歯に衣着せぬ言い方ばかりする。というか、思っても言わないほうが良いことだって言葉にしてしまう。もう少し、コミュニケーションを考えるべきだと思いながら、渋々挨拶運動を続けるのだった。

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