↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/117

47.カラオケボックスにて②

 荒井(あらい)千里(ちさと)は同級生の山吹(やまぶき)楓(かえで)とカラオケボックスへ来ていた。どうやらここで妖怪が発生するらしい、という理由だ。

 彼は部屋の入室を済ませたあと、山吹(やまぶき)の後に続き部屋を出た。妖怪が出る場所を探すためだ。


 「こっちかも。」


 そう言う彼女はやや小走りに、己の勘が赴く方へと行く。荒井(あらい)もついて行くが、ふと曲がり角で見知った顔と出会う。


 「おや。荒井(あらい)くん。奇遇ですね。」


 そう声をかけてきたのは荒井(あらい)の通う高校で教師をしている大里(おおさと)人志(ひとし)だった。

 

 「……………どうも。」


 荒井(あらい)は大里(おおさと)が得意ではなかった。無遠慮、とまではいかないが何故か此方に歩み寄るその姿勢が、あまり好きではない。

 だがそれはそれとして、こんなところで大里(おおさと)と出会うのは予想外だった。


 「先生も、カラオケとかに行くんですね。」

 「はい。今日は親戚の方の付き添いです。カラオケに行ってみたいと言われたので。」

 「………ふぅん。連れの人は?」

 「先に行ってしまいました。カラオケ、楽しみだったみたいです。」


 そう言いながら大里(おおさと)は笑う。手には紙袋と入室伝票の挟まったバインダー。別段、嘘をついているわけではなさそうだ。

 しかし、彼の持つ紙袋が荒井(あらい)の目を引いた。そこにはうっすらと黒字で神社、と印刷されていた。その前の文字は読めない。


 「神社、行ってたんですか。」

 「はい。親戚の方がやってるんです。そこで破魔矢とかお札とか貰いまして。……荒井(あらい)くんは神社とか行きます?」

 「……………まぁ。」

 「そうなんですね。それじゃあ、お願い事があるってわけですね。………それとも神様に会いたいか。」

 

 大里(おおさと)の双眸が荒井(あらい)を捉える。グリーンの瞳は目前の彼の一挙手一投足を見逃さんと、しっかり開いていた。獲物を品定めするようにも思えた視線に荒井(あらい)はたじろぐ。


 「荒井(あらい)くんは神様に会ってみたいと思います?」

 「…………まぁ。」

 「へぇ。例えばどんな神様にですか?」

 「…………ここらへんでも祀ってある、対価を払えば願いを叶えてくれる神様、です。……まぁ、ただの伝承なんで本当かは知りませんけど。」

 「なるほど。願いを叶えてくれる神様、ですか。」


 心なしか、周囲が静まった気がした。それは荒井(あらい)の緊張状態から来るものかどうか、本人に判別はつかない。


 「会えるといいですね。それでは、私はこれで。…………良い休日を。」

 「はい。」


 笑顔で手を振った大里(おおさと)は部屋へと移動する。その後ろ姿を少し眺めた後、荒井(あらい)は先に行った山吹(やまぶき)を追いかけに行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。