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忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


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43/81

43.妖力トレーニング④

 学校終わりの放課後。私は自室にいた。何もゴロゴロしているわけではない。今日は少し時間もあるので妖力トレーニングをしようと思っていたのだ。

 前回、海で人魚と戦った時に私は何もできなかった。人魚は倒せたが、水に引きずり込まれた荒井あらいくんを助けることは出来なかったのだ。だから、もう少し出来る事を増やしたかった。


 具体的にどうすべきかは分からない。だが、悩んでいても仕方がないので練習あるのみ。

 以前までは山で妖力トレーニングをしていたが、そのせいで純麗すみれちゃんに出くわしてしまったので場所は変える。人目につかないところといえば、よう狭間はざまがある。


 私は手で輪っかを作り唱える。


 「『ざい』!!」


 その瞬間、家の外で聞こえたトラックの音や公園での児童の声が消える。よう狭間はざまに来た合図だ。


 自室から一階へと降りる。妖力トレーニング、とはいったが何をするかは決めていない。とりあえず出くわした妖怪と戦ってみよう。

 なんて思い家を出る。何処に妖怪がいるかは分からないので、周辺をふらついてみる。


 「……………いないなぁ。」


 住宅街を一周するが、妖怪の姿はない。仕方がないのでもう少し足を伸ばすことにした。折角なのでよう狭間はざまで学校に行ってみよう。


 いつものように通学路を歩く。制服でもないし、鞄も持っていないので不思議な気持ちだ。

 そして校門前に着く。よう狭間はざまといっても学校の見てくれに変化はなかった。


 そうして眺めていると、ふと足に違和感を感じた。何かと思い、視線を下にやる。


 「!?いたっ、」


 瞬間、鋭い痛みがふくらぎに伝わる。視線の先。そこには長い爪が足を掴むのが映っていた。

 咄嗟にすべての指を組んで唱える。


 「『かい』!!」


 『かい』は対象の動きを止める技。私に襲いかかってきた妖怪の動きもとまるはず。しかし、足元にいたはずの妖怪はいつの間にか視界から外れ、消えていた。無論、『かい』の効力は発揮できていない。


 「……………どこに…………!?」


 あたりを見渡すと、今度は背後から衝撃が走った。いつの間にか後ろにいた妖怪。その姿は苔色の体に頭には皿、というカッパのような姿だった。

 カッパは私の背を叩く。私はその衝撃で転んでしまう。起き上がる間もなく、カッパの鋭く薄汚い爪が転んだ私へと向けられる。『かい』は間に合わない。


 ひとりで妖怪退治を出来るなんて思い上がった罰だ。

 そう思い、目を閉じる。もはやここまでだと。


 しかし、一向にその瞬間は訪れない。恐る恐る目を開ける。そこには、頭の皿を割られて伸びているカッパがいた。周囲は何故か水浸しだ。


 「な、なんで…。」


 状況は理解できなかった。それでも、今はよう狭間はざまから出よう。そうしなければまた襲われてしまう。

 抜けてしまった腰を奮い立たせて立ち上がる。私には、ひとりで戦うことは早かったようだ。

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