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忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


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40.久々の登校

 楽しい夏休みはあっという間に終わり、9月、登校日。

 未だ残暑の続く中、セーラー服に腕を通して学校へと向かった。廊下を歩く生徒の中では夏休み前よりも焦げた肌になっていたの数は少なくない。思い思いに夏休みをエンジョイしていたのだろう。


 そんな中、ひときわ目立つ人がいた。変わらず白い、不健康ともいえるぐらいの白さの男性。私の担任である、大里おおさと先生だった。


 「大里おおさと先生。おはようございます。」

 「山吹やまぶきさん。おはようございます。お久しぶりですね。変わらず元気で安心しました。」

「先生も変わらず真っ白な肌ですね。………ちょっと白すぎ…というか。ちゃんとご飯食べてますか?」

 「勿論です。1日3食、成人男性の摂取カロリーぴったりに食事をとってます。」

 「ぴ、ぴったり…ですか!?」

 「はい。ぴったりです。きっかり測っているので、確実ですよ。」

 

 どうやら先生は不思議なこだわりがあるらしい。摂取カロリーぴったりの食事だなんて医者やトレーナーでさえしないだろう。


 「ちゃんと食べてる割には顔色良く見えないです…。」

 「うーん。小さい頃から言われました。まぁでも、体質みたいなものですよ。健康診断は引っかかってないので平気です。」

 「そ、そうなんですね。……あれ?それじゃあどうして健康診断が嫌いなんですか?」


 入学式の時。大里おおさと先生は健康診断が苦手だと話していたのを思い出す。それほど健康的な生活を送っているのなら、健康診断なんて敵ではないと思うのだが。

 そう聞くと大里おおさと先生は眉尻を下げて頬を掻く。


 「いやぁ。健康診断って、自分の体を他人に委ねるじゃないですか。私、それが苦手でして。」

 「な、なるほど…。確かに、私も歯医者とかで口の中を見られるとき緊張します。突然、歯を引っこ抜かれないかとか心配になって。」

 「そうそう。そういうことです。」


 妙な共感を得られながら、1年3組を目指す。


 「そういえば、先生は今年の夏休みは何処かへ行きました?」

 「はい。海に行きましたよ。海水浴です。夏休みらしいでしょう?」

 「そうですね。でも、先生泳げるんですか?ちょっと心配というか…。」

 「もちろん、泳げますよ。っていうと、いつも意外だと言われますがね。」

 「まぁ、意外ですし…。」


 正直なところ、細い大里おおさと先生では小さな波にすら耐えられないように思えてしまう。おや、なんて言って流されてしまう姿が容易に想像できる。

 すると、先生は肩を落とす。


 「山吹やまぶきさんもそう思うんですね…。」

 「あっ!いや!いい意味で意外ってことですよ!いい意味で!」

 「いい意味で…ですか…。」

 「はい!そうです!だから、そんな落ち込まないでください!」


 いい意味で、と呟きながら先生の背は真っ直ぐ伸びていく。気が戻ったようだ。

 安心しつつ、私達は教室へと入るのだった。

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