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最後に選ばれたものが強者ムーブを決めやすい

「ノア、お主はいったい何者なのじゃ……?」

「さぁな、そいつはじーじが自分で考えてくれ」


 じーじはノアから少しだけ距離を取りながら尋ねた。

 どちらにせよ、ノアに逆らえば自分の命が脅かされることは目に見えている。

 じーじをワイドに預け、ノアはゴブリンエリートにビクビクと震え怯えた奴隷たちを指差した。


「さて、今日は殺してもいい獲物を連れてきた。かかってくるやつには容赦しなくていいぞ」

「「グギャッ!」」

「「ウォンッ!」」


 ノアに命令されたウルフ達は美味そうな敵を見定め、ヨダレを垂らした。

 ゴブリンエリートもまた、これまでにない強敵を目の前にし、武者震いをしている。

 彼等に挟まれた奴隷たちは恐怖で身動きが取れずにいたが、ご主人であるウグイに命令され無理やり突き動かされた。


「「「うおおおおぉぉぉーーーッ!!」」」


 武器を構え、一様に振りかざすが、そのすべてがゴブリンエリートによって防がれた。

 その隙に空いた足元から忍びより、ウルフたちが鎧ごと脚を噛み砕いた。

 前の奴隷が倒されれば、後ろの奴隷が前進する。


 どんなに致命傷を負ってもゾンビのように立ち向かう奴隷集団は聖公国との戦争で恐れられていた。

 しかし容赦のないノアの配下はどんなに恐ろしくとも、息の根を止め、これ以上襲うことはできないように叩きのめした。

 ゴブリンエリートにとって烏合の衆でしかない奴隷たちは相手にならなかった。


 次々に倒され、残されたのはウグイとその執事、奴隷たちの中でも異質な存在だった仮面の男だった。

 仮面の男はモーニングスターを持った巨漢だ。

 仮面の隙間から荒い息を吹き荒らし、ノアに鋭い眼光て狙いを定めていた。


 仮面の男の横で簡単に伸されてしまった奴隷共に怒りを顕にしたウグイがいた。


「ぐっうぐぬっ……まさか私の奴隷共がヤられるとは。この有様、高くつくぞ!おい、グジャルガル!あいつらを殺せッ!」

「エァ……ゴロズ」


 グジャルガルはモーニングスターを片手に持ち、ノアに突進していく。

 ノアを攻撃させまいとノアの前に来たゴブリンエリートだったが、持っていない手で剣を鷲掴みにされ、剣ごと投げ飛ばされた。

 鋼鉄の剣程度では切り傷もつかないほど、強固な肉体を持っているようだ。


「グガアアアアーーッ!!」


 グジャルガルはモーニングスターをノアへと叩きつける。

 またしてもノアのつくった透明な壁に阻まれてしまう。

 何度も何度も叩きつけても壁はビクともしない。

 それどころか、硬質なものを叩けば壊れるモーニングスターが無傷のままだった。


「グガァ?」


 不思議そうに唸り声を上げるグジャルガルに、ノアはため息を吐く。


「もういいのか?」

「グガァッ!グガッ!ググガッ!」


 ノアの憎たらしい顔に怒ったグジャルガルはモーニングスターで連打するが、なにも起きることはなかった。

 少し考えれば諦めるはずだが、その素振りを一ミリも見せない。

 ノアはグジャルガルの泳ぐ視線を見て自らの意志で行動していないことに気付いた。


「どうやらお前はその仮面で無理やり言うことを聞かされるみたいだな。とってやるよ」

「なにぃ!?グジャルガル、いまだ!」


 ノアが仮面に手を伸ばしたのを見て、透明な壁を消してやっていると判断したウグイは、グジャルガルに命令を下す。

 ウグイの言うことを聞いたグジャルガルはノアへと突進を繰り出すが、グジャルガルは顔面から壁に激突した。


「グガァッ!?」

「消すとか言ってないんだが。なんであんな馬鹿なのか。まぁいいや。今はその仮面だな」


 ノアは顔を抑えるグジャルガルに近づき、仮面に触れた。


「かかったな!」

「ん?」


 本来ならグジャルガルの仮面に触れたものは仮面の効果が発動し、一時的に仮面の主人であるウグイのものになる。

 鈍い光を浴びたノアだったが、まったく効いてる素振りはなく、仮面を容易く外し、足で踏み潰した。


「なんだったんだ?」


 ノアの様子にウグイは放心した。

 切り札とも呼べるグジャルガルは奪われ、特殊なアイテムだった仮面もまた壊された。


「グジャルガル、これで自由だ」

「グガ?ホントダ、ウゴゲル。アリガ……ド…ッ」


 仮面の強制力を失ったグジャルガルは、ノアに感謝を述べたあと気絶した。

 よっぽど無理をした扱いをされてきたのだろう。

 ノアはグジャルガルを召喚したベッドに寝かせ、残されたゴミのもとへと近づいた。


「く、くるなぁ!」

「自分から来たくせに連れないなぁ」

「ウグイ様に近づくなっ!」


 ノアの死角からナイフを突き刺そうとした執事だったが、刃先をワイドが指でつまんで止めた。


「しつこいですよ。ノア様が話しています。静かにしていてください」


 ワイドは執事のナイフを手から抜き取り、軽く手で押して倒した。

 尻もちをついた執事をさらに土魔法でつくった檻に閉じ込める。


「そこで大人しくしてなさい」

「う、ウグイさまぁ!?」


 邪魔者が失せたところで、ノアとウグイはお互いに目を合わせた。


「もうあとがないぞ。どうする?」

「どうするだと!?いますぐ土下座すれば許してやるっ!」

「それで、お前を今から誰が助けてくれるんだ?」

「そ、そんなもの、ど、れっッ!?」


 奴隷たちはゴブリンエリートとブラックウルフに死滅させられていた。

 もう誰一人として身動きを取ることができない。


「グジャッ!アルセラ!」


 アルセラとは執事のことだ、いまはワイドに閉じ込められている。

 グジャルガルはすでに仮面から解放され、ウグイの言うことを聞かない。

 ウグイは対抗する戦力を失っている。


「さて、どうする?」


 ノアはまた、選択肢を与える。

 これまで以上に厳しいものを。


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