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ダンジョンこそ最高級のゴミ捨て場

 少し待っていると、受付嬢ととも白髭の老人が現れた。

 ノアを一瞥すると、紋章を指さした。


「お主がこれを?」

「そうだが?」


 ノアがなんでもないように言うと、老人は髭を撫でて微笑んだ。


「ふむ、領主様とはいつ頃?」

「一週間ほど前かな」


 老人の覚えには確かに領主から渡された子供がいると聞いていた。

 偽物にも見えないし、嘘をつくような子供にも見えなかった。

 なにより、後ろに控えている者と敵対したいとも思えなかった。


「ふむ、本物じゃな。ここへはワシが案内しよう」


 ノアの返答を聞いた老人は確信をもとに言った。

 老人が案内すると言うと、受付嬢だけでなく、周りの商人でさえ驚いていた。

 ノアとワイドはなんとなく感づき、ヒルデもその雰囲気から偉い人であることに気づいた。


 老人が商人ギルドを出るとそのままついていった。

 外壁の近くにあるせいか、向かう先は路地のような道だったり、捨てられた子供がいたりと、この街の闇を垣間見るようなルートを通らされた。


「ずいぶんと変な道を通るんだな」

「そうじゃな。ネズミがおっての」

「邪魔なら消そうか?」

「ほぉ、できるものならやってみぃ」


 老人が言うと、ノアは瞬時に今まで通った道を封鎖した。

 遠くで激しい物音がするが、こちらに来る様子はない。


「やるのぉ。お主は特別にじーじと呼ぶがよい」

「んー、じーじはなんで俺とコンタクトを取りたがった?」

「そんなもの、あの領主が気に入った子供がいると聞いたら見定めたくなるのも無理なかろう」

「そうか。じーじから見て合格か?」

「そうじゃな。今のところは合格じゃな」


 じーじはこの瞬間までにノアの人となりを把握していた。

 風の噂だけでなく実際に本人を見て判断するじーじに感心した。

 彼はちゃんと自分の目を信じて行動していると。


「ここじゃ」


 ついた場所は草木が自由に生えた森だった。

 屋敷があると言われたが、植物に侵食されて言われるまで気づくことができないほど荒れていた。


「良さそうな場所だな」

「これを見てもそう言えるとは、意外と豪胆じゃな」

「そうでもないさ。俺がこれを簡単に片付けられる力を持ってるだけだ。離れてろ」


 じーじとワイド、ヒルデがノアから一歩下がった。

 すると、ノアはなにも空間から真っ黒な玉を取り出した。


「食べ尽くせ」


 ノアがコアに命令すると、コアから黒い液体が漏れ出ていき、森の草木を飲み干していった。

 その光景には見慣れていないじーじは驚きで言葉を失っていた。


「なんじゃ、これは!?」

「俺のペットだ。どんなゴミでも瞬く間に平らげてしまうのさ」

「これがペットねぇ。さすが魔人の主は違うのぉ」

「気付いてたのか」

「気付かないやつは鈍いやつだけじゃな」


 じーじの言葉にワイドがクツクツと笑った。


「さすがは商人ギルドマスターですね」


 ワイドがじーじに対してそう言った。


「お主も気づいておったか」

「ええ、もちろんでございます」


 ワイドの彗眼を褒めるじーじ。

 ノアとヒルデは「なるほど」と頷いていた。


「ノア様、見てください。屋敷が見えましたよ」


 ヒルデが指差した先には、ゴージャスな屋敷があった。

 汚れや蔓が気になるが、全体的に豪勢な屋敷があり、庭がもし手入れされていたら、領主の屋敷よりも美しいことは間違いなかった。


「本当だな。じーじ、今日からあれは俺のものってことでいんだよな?」

「もちろんじゃ。今更返せとは言わんよ」

「そうか。なら、ありがたくもらっておこう」


 ペットという名のコアは土地中に黒い液体を広げて、沼地のように飲み込んでいった。

 ずぶずぶと飲まれた土地から黒い液体が消えると、そこにはまっさらな更地が残されていた。


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