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幼女しか勝たん

 ゴブリンといえば人型の魔物の中でも最弱の魔物だ。

 とはいえ、ノアの配下であるゴブリンは進化してハイゴブリンやホブゴブリンになっている。

 ゴブリン呼ばわりではあるが、普通の不潔ゴブリンよりも格段に強い。

 そんじょそこらの雑魚(サバル)とは違うのだ。


 ノアとワイドが談笑していると、話の最中に待ったをかけた男がいた。


「ちょっと待て、いま聞き捨てられないことを言ったな!」


 それはエルフたちが介抱していたサバルだ。


「なんだ?雑魚」

「どうかしましたか?熊鍋になる決心がつきましたか?」


 ノアとワイドに散々に言われるサバルだが、反論があるようだ。


「俺が強いとはいえ、魔人に勝てるわけがないだろ!」

「弱いくせに暴れるからだろ。幼女に負けたのが種族の違いとか……笑えるな!」

「くうっ……」


 ノアは追い打ちをかけるようにサバルを嘲笑う。

 言い返せないサバルに、ノアは見下しながらこう言った。


「ハッ、雑魚が!」


 雑魚だ雑魚だと言われたサバルには、もう言い返すほどの力は残されていなかった。

 三人とも一言も喋らなくなったところで、アルフェがノアに許しを請う。


「ノア様、どうか御慈悲を……」


 頭を下げるアルフェにノアは真下から顔を覗き込んだ。


「隣人ならもう少しやり方があると思うけどな」

「私はその隣人を理解できていません……」

「そうか。ならいい。理解できるまで待ってやる。席に座ってろ」

「はい……」


 アルフェが席に戻ると、会議の締めをする。


「この件に関してアルフェに責任を負わせるべきだが、アルフェ、エルフ達には農作業に従事してもらってる。わざわざ他人のためにアルフェたちを農作業から外すわけにはいかない。だから、三人にはある仕事を罰として与える。それは……」


 ノアは話を区切り、ヒルデが用意した茶を一口飲み、席を立って穴から外に出た。

 残された者たちは「え?」と言う顔をした。

 それから数分後、ノアは一人の魔物を連れてきた。


「お前たちにはこれからお前が壊した机の作成者であるオークさんと一緒に新しい机を作ってもらう!」

「え?」

「もちろん、俺以外にオークの言葉がわかるやつはいない。オークさんも俺以外の言葉はなんとなくでしかわかってない」


 ノアのあまりの無茶ぶりに三人はポカーンとしていた。

 連れてこられたオークも状況を理解できずにいた。


「フモゥ?」

「なんやかんやでお前に弟子ができた。しっかり面倒を見るんだぞ!」

「フモゥ!!」


 オークさんは大喜び。

 サバルとジュメの腕を掴んで、どこかへ連れて行ってしまったた。


「さすがオークさんだぜ、女性には優しいんだな」


 残されていたのは狐獣人のセプレ。

 頼りの二人が筋肉モリモリのオークに連れて行かれた。

 一人になり、涙目を浮かべていた。


「ふむ、なにさせようかな?」

「!?」


 ノアが自分を見ているに気づいたセプレはビクビクしながら審判を待った。


「うーん……あっ、いいことを思いついた。ヒルデ、いまって風呂場の管理人っていたっけ?」


 悩んだ末、ノアは空白の役職を思い出した。


「いませんよ。私達、メイドが管理してるかと」

「そこを任せよう。最初はメイドから教わればいいんじゃないか?」


 いい案だと考えたノアは早速、彼女を使い物にするため、メイドに任せることにした。


 その瞬間、会議室、いや屋敷にいたすべてのメイドからの圧がノアとヒルデ、セプレに注がれた。


「……ノア様、つまり彼女を好きにしていいってことでしょうか?」


 視線にいち早く気付いたヒルデは全員の要望を叶えるため、敢えて具体的なことを言わなかった。


「そんな含みをもたせた覚えはないが……まぁいいだろう。好きにさせよう」


 ノアもまた、視線に気付き、日頃の鬱憤が溜まっているであろうメイド達のことを考え、最善を尽くした。


「!?!?!?」


 その結果、状況を理解できていなかった哀れなセプレが犠牲になった。


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