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変身時に服が弾け飛ぶなら、裁縫セットか予備の服を用意しなくては!

「あいつらの不器用な手でつくった努力の結晶になんてことしやがる!」

「なんだ、貴方は!アルフェ様がどんな御方かも知らないで、よく机の心配をするなぁ!」

「アルフェは俺の配下ってだけで十分だろ!今は机だろうがよぉ!」

「そこがおかしいんです!アルフェ様は姫様ですぞ!」


 サバルは話の核心をつくようにノアへ追求するが、話が通じなかった。


「集落ねえんだから姫でもなんでもねぇだろうがよ。お前さぁ……自分が机壊したこと、責任取りたくねぇんだろ?」

「今は机なんてどうでも……ぐぁ!?」


 ノアの指摘に口答えするサバルだったが、しびれを切らしたノアはサバルを会議室から追い出した。


「「サバル!?」」


 会議室の壁を突き破りながら外へと飛ばされたサバルをセプレとジュメが追いかけた。


 会議室は場所がなかったため、ユノンの屋敷の中に造られている。

 急遽つくったユノンの屋敷は決して殴り合いをするための場所ではないため、さほど丈夫ではなかった。


「ノア様」

「なんだ、ユノン?」

「あとで修復と増築と強化お願いしますね」

「要望が容赦ないねぇ!」

「ノア様にまた壊されたらたまったものではありませんから、お願いしますよ。あと私とリラのスイートルームも」

「最後のは無理」

「いえいえ、防音部屋とベッドだけでいいですから」

「やめろ、健全な俺の耳を汚そうとするな。そこらへんは経理関連をリラとアルフェ、ワイドに振り分ける。そんときに要求しろ」


 ノアはお得意の丸投げを披露して、これから始まる重労働を回避するためのクッションをつくった。

 しかし、ユノンはここでナンバー2の実力者。


「さすがノア様、私にそのような機会を」

「三人に相談してだな……」

「私、悪魔なので容赦しませんよ」

「頼む、手加減してくれ。あと素材集めてくれ。それだけはまじで頼む。ポイントカツカツだから……」

「善処します」


 ユノンがようやく引き下がると、穴の向こうに動きが見えた。

 身体を傷つけたサバルは鋭い眼光をノアに向けた。


「貴方はどうやらまともな人ではなさそうだ。アルフェ様にわからないように洗脳しているのでしょう。許せない!」


 サバルは怒鳴るように言った。


「洗脳?俺にそんな能力はないぞ?なぁ?」

「ええ。子供でもできる魔法を使えないほどですから」

「なんでお前はこんなときでも煽るの?味方だよね?」


 否定するノアをフォローしたのはワイドだった。

 ノアの言い分に聞く耳を持たないだろうと、すでに判断しているワイドたちはいつでも動けるように意識を静かに尖らせた。


「貴方を殺してアルフェ様を救ってみせるっ!」


 サバルは獣人固有スキルである獣化を使った。

 衣服は(はだ)け、熊の毛並みが前面に出た。

 獣人からかけ離れた姿は熊そのものだった。


「グワァァァァッーーー!!」


 雄叫びを上げ、狂うように爪を振るった。


「獣人ってこんなに血気盛んなものなの?」

「忠誠心でしょうね。エルフは獣人から信奉されてますから」

「そうなの?」

「はい。エルフは神の使徒の子孫です。そして獣人はエルフの守護者として生まれたガーディアンです。族長の娘であるアルフェを守りたいという意志が前面に出てしまったのでしょう」


 神の使徒として生まれたのが精霊であり、その子孫がエルフだ。

 精霊がエルフを守るために魔物に力を与えた存在が獣人である。

 魔物寄りの血筋であるほど強大な力を持ち、エルフにより忠誠を誓うのだ。


 人族もまた神の使徒の子孫であり、その他の種族の者たちも同じような生まれである。


「なるほどな。じゃあ魔人は悪魔と人族のハーフってことか?」

「いいえ、まったく別物です。悪魔は精霊と同じ高みにいます。魔人は魔族と人族のハーフですよ」

「ややこしいパズルみたいだな。……さて、そろそろ相手してやるか」


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