気持ちがこもっていれば、プレゼントは何でもいいらしい。拾った石でも効力はあるのか?
再び街へと帰ってきたノアは街で買い物をしていた。
街は石造建築で道も凸凹しておらず、ヨーロッパの町並みに似ていた。
独自の文化としては細部に魔法による干渉によって生まれた電灯があったりと地球よりも発展している。
電子機器は見当たらないが、魔法によって得られたものが大きく、この世界において異世界転生者が居ようと変わることは少ないだろう。
ノアはあることに悩みながらも感心していた。
それから辺りを散策しながら、時に足を止めた。
「これは違うな」とつぶやくノアにヒルデは優しく微笑んだ。
「四人のお土産には何がいいと思う?」
悩んだ末、ノアはヒルデに相談することにした。
「ノア様が買ってきてくださるものでしたら、なんでもよろしいかと」
「なんのアドバイスにもならないんだが」
「女の子へのプレゼントになにより大切なものは気持ちですから」
それこそアドバイスにはなり得ないとノアは思う。
なぜならプレゼントを上げる時点でなにかしらの気持ちはこもっているのだから。
「んんー、そうか。もう少し選んどく。二人は好きなところに行っていいぞ?」
ノアは付き合わせることを悪い、提案した。
しかし、ヒルデとルルドは首を振った。
「だめですよ。ノア様の護衛のために私達がいるのですから」
「そうですよ、ノア様。私達のことも考えてください。もしノア様になにかあれば皆様になんて言われるか……」
「わかったよ……すまないが、もう少し待ってくれ」
アクセサリー売り場で一人悩むノア。
ようやく決まったのか店の奥へと進み、店主に細部まで注文した。
すると、すぐさま作業に取り掛かる店主。
作業時間も早く、出来上がりにも満足した。
「ありがとな店主!」
「いえいえ私もこのような機会に恵まれて感謝です」
希望通りにできたアクセサリーを買い、店を出ると出待ちしていたヒルデがノアの持つ袋をのぞき込んだ。
「見せてください、どんなものですか?」
ノアは皮袋にしまったアクセサリーを手で隠した。
「内緒だ」
「ええ!?」
驚くヒルデを励ましつつ、三人は先行したメイドたちと合流するために指定の宿へと訪れた。
宿には待っていたメイドたちが夕食を食べていた。
ノアが同じ席に座るとメイドたちに料理を渡された。
疑いもなく食事をするノアに、ルルドとヒルデも従った。
ノアが食べ終わるとリーダー格のメイドが質問をした。
「首尾は?」
するとノアは手短に「問題ない。帰るぞ」と言った。
ノアの素早い決定に先に食事を終えていた者たちが帰宅の準備に入った。
ノアはのんびりと支度を終えると、一度も泊まっていない宿をチェックアウトして夕立の街から外へ出るように動いた。
帰り際、何名かの執事が姿を一瞬だけ消すことがあったが、何事もなく街を出ることに成功した。
「不届き者は気絶させておきました」
「好きにさせてもいいんだけど、目障りだったし、ありがとな」
ノアがお礼を言うとメイドたちは「恐縮です」と小さく返事をした。
その様子にヒルデと見比べると、ヒルデの感情の豊かさが目につく。
「なぁ、ヒルデ」
「なんでしょうか?」
「ヒルデはそのままでいろよ」
「な、な、な、い、いきなりなんですか!?」
「そう、それでいろ。よし、サクッと帰るぞ」
「「はっ!」」
ノアは領主が放った監視者の目を掻い潜り街から姿を消した。
思い通りに行かないノアに一人ため息を吐く領主であった。




