ねぇ、ママ!ぼく、ショタコンセンサーほしい!
よく眠ったノアは夕方に目を覚ました。
見上げるとそこにはうとうと眠っているヒルデの姿があった。
「よほど苦労してきたんだろうね。このまま寝かせておこう」
ヒルデに場所を譲り、家を出たノアはマルマが案内したエルフがいる家に向かった。
歩いていると休憩日のゴブリンやオークたちに会釈される。
彼らは彼らなりに礼儀を果たし、適度に失礼のない行動を身に付けていた。
もう、乱暴で不潔なゴブリン、不埒で不潔なオークなんて呼ばれないだろう。
エルフの家にたどり着くと、入り口にはメイドが立っていた。
「入っても大丈夫そう?」
「ノア……様でしたか。今はやめた方がよろしいかと」
「目を覚ましたんだね。じゃあ、状況だけ教えてくれる?」
ノアはエルフたちの様子をある程度予測し、騒ぎの起きない行動に移った。
「はい、今はゴブリンに襲われてしまったこと、凌辱されたことで男性を過度に怯えています。特にゴブリンやオークは近付けさせない方がよろしいでしょう」
「だろうね。自殺をはかった者はいるのかな?」
「いいえ、いませんでした」
「そうか、まぁ死ぬ勇気があれば、ここには来れていないよな。なら、安静させておいてくれ。あと、人員不足だから、そっちの執事を寄越してくれ」
「かしこまりました」
メイドは綺麗な姿勢でお辞儀をすると、中にいる者に声をかけて執事を集めた。
集まった執事は全部で7人。
それぞれがユノンやリラ家族に遣えている。
ラウラやリノンにもれっきとした専属執事がいたことが判明した。
「つまり子守りか」
「そうですね」
「わかった。子守りはユウトたちのもとに行ってくれ。あと、リラとユウトの執事もそれで頼む」
「承知しました」
「残りはヒルデと同じく俺のところに」
「おや、ヒルデもそちらに?」
「今うちでお昼寝してるよ」
「ノア様もすみに置けませんな」
「そういう勘違いを起こすのは構わないが、単純にお昼寝を邪魔した罰の肩代わりをした結果にすぎない」
「そういうことにしておきます」
執事達に変な勘違いを受けたノアは気にしないことにした。
残り物執事の二人を連れて、メルメが案内したユノンのもとへ向かう。
行く途中、子守り執事達が場所がわからず、右往左往していたので、ノアは生暖かい目をして拾っていた。
ゴブリンとの戦闘跡地にはユウトたちはいなかったが、疲れきった姿のワイドを見つけた。
「ワイド、元気か?」
「元気に見えるなら、ノア様の目は節穴ですね」
「悪かったとは思っているよ。だから褒美も与えただろ?」
「褒美?なんのことですか?」
「え?ワイドはマルマとメルメの二人が好きだから、二人が喜ぶものを渡したんだけど、訊いてない?」
ノアは不思議そうにしていたが、その演技を見破っていたワイドはにこやかに笑いながらノアに迫った。
「ノア様、ちょっとお話を聞いていただいても?」
「なんだ?ワイドがロリコンじゃないって話ならお断りだぞ」
「違いますからね」
「またまたぁ~」
「確かにマルマとメルメのことは好きですが、あくまでも保護者としてですね……」
「つまり幼児愛好者ってことだろ?」
「変な性癖を私の印象につけないでください!」
「はいはい、わかったよ」
「違いますからね!」
適当な相槌をうつノアの相手をやめ、執事達に釘をさした。
ワイドには改めて褒美を与えることになり、お家に帰って休養してもらうことにした。
「じゃ、気を付けて帰れよ」
「……」
ワイドを見送り、再びユウトたちを探す。
森にはオーク達が切り開いたのか、集落までの道が出来ていた。
道なりに進んでいくと、集落に出た。
集落には作業中のオークやゴブリン達がいた。
「進捗はどうだ?」
「グギャギャギャ」
「ほーん、まだ探索しきれてないのか。残党はいた?」
「グギャギャ?」
「フモゥ」
「グギャギャ、グギャ」
「へぇー、意外と残ってたんだな」
「グギギ」
「フモゥフモフモ」
「死体がいっぱいある?食べれそう?」
「フモゥ」
「じゃあ一ヶ所に集めといて、それ全部ポイントにするから」
進捗はまぁまぁで、残党は疎らにいた。
それを狩ったせいで死体が山のようにあり、ゴブリンとオークはそれの回収をノアに頼んだ。
心地よくオッケーを出したノアにオークとゴブリンは満足。
ユウトたちの居場所を聞いたノアは、執事達を連れて森の中を進んでいった。
「随分奥にいるんだな」
「ええ、あちらからユウト様の気配がします」
執事達は一様に頷いた。
「なるほど、ショタコンセンサーか。やるな」
「やめてください。ワイド様と違って私達は正常です」
「それ、あとでワイドに教えてもいい?」
「だめに決まってるでしょ!!」
意外に突っ込み力のある執事であることが判明した。
新しいおもちゃを見つけたと喜びの笑みを浮かべるノアに、執事たちは鳥肌をたてて震えた。




