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「そう」
「これは、うー! 堪らんな」
「何か困っているみたいだけど?」
「実は、この奥の坑道で少し問題が起きてな。いやなに、すぐに片がつくさ」
「あなたは?」
「ああ、申し遅れたな。私はこの鉱山を所有しているアルーノだ」
「僕はベル」
「いやはや生きているアークディラに会えるとは、今日は奇妙な日だ」
「ちょっと!! 私の夫はどこにいるの?」
エルフの女性が叫びながらテント近付いてきた。
でも武装した者達がエルフの女性の前に立ち塞がり進路を塞いだ。
「まったく、誰が入れたんだ?」
「すみません。ですが、人集りが大きくなっています。何れ抑えきれなくなります」
「くそ。これ以上大事になる前にさっさと済ませるんだ。ザリアス!」
さっきの人間の男性が戻ってくる。
「早く部隊を向かわせろ」
「ですがまだ十分に準備できていません」
「いいから行くんだ!」
「……分かりました。お前達、出発するぞ!」
「ロアス」
「はい。傭兵を募れ。ザリアスの援護として後続部隊を送る」
「分かりました」
「よかったら僕も手伝おうか?」
「それはありがたい。人手は多い方が助かる」
アルーノが金貨を1枚目の前のテーブルへ置く。
「鉱夫を見つけてくれたら追加で1金貨、原因を突き止めてくれたら更に1金貨払う」
「はいよ」
金貨を受け取る。
「行く前に詳しい事情を聞きたいんだけど」
「最初、鉱夫が休憩時間に返って来なかったんだ。その後、様子を見に部下を送ったんだが返って来なかった。で、衛兵が原因調査に向かったんだが、全員ぷっつりだ」
「原因に心当たりは?」
「さあな。ガスかもしれんし、最悪オートマトンが入り込んでいるのかもな。こればかりは予想がつかないんだ」
「ローランドには知らせなくていいの?」
「ん? だからヴァンガードのあんたが来たんじゃないのか?」
「ヴァンガードも傭兵のように扱うの?」
「これはヴァンガードの任務外だろうからな。まあどうでもいい。手を貸してくれるのなら細かい事は気にしない」
「じゃあね」
「気を付けてな」
報酬はともかく原因がなんなのか気になる。
早速坑道に行ってみよう。
タロスと戦うより酷い事は起きないだろうから、大丈夫だよね
テントを離れ、早速奥の坑道へと向かう。
入る前に一応ガス対策を。
呼吸泡を自分に放つ。
何があるか分からないからマジックオーラと鋼のベールも一応放つ。
さて、行こう。
妙にワクワクするな〜。
久し振りだからかな。でも未知の冒険って楽しい。
周囲を警戒しつつ坑道の奥へと進んでいく。
意外と広く長い。
結構歩いたのに、まだまだ先がずっと、ずっとある。
幸い、松明が地面に置かれていたり、白い灯火の装置が壁に掛けられ照らしてくれている。
ここで四つの分かれ道。
アルーノは言ってくれてれば良かったのに。
なんか引っかかるドワーフだったんだよな〜。
まあ無事に帰ったら文句言ってやろっと。
地面の足跡を見る。
鎧の重さで深く沈んだ真新しい足跡が右から2番目の通路に続いている。
でも、他の通路にも比較的新しい足跡が残っている。
う〜ん、こういうの悩む性分なんだよね。
全部の通路がどうなっているのか気になる。一番左から順番に見て行こうかな。
先へ進む。
暗いな。
目を集中させ、光源を増幅させる。
割と見える。
流石獣人だ。祖先に感謝感謝。四つも目がいるのかな?
「え……」
通路がまた二つに分かれている。
そしてどっちにも足跡がある。
戻った方がいいかな。
でも結局行かなきゃいけないし。いいやもしかしたらここ以外の二つぐらいは一本道なのかも。
そっちを先に……いやここまま行こう。
覚えやすく左の道へ。
…………。
…………。
う〜ん、長いな〜。
「うそ……」
また分かれ道。今度は3つ。
まあここも一番左かな。
ますます他の道はどうだったのかが気になる。
この先も気になるけど。
ずっと左って、なんか面白みがなかったかな。
更に四つの分かれ道を左に。
帰る時は全部右だよね。うん、うん。
こんなに深いだなんて聞いてない。
正面方から焦げたにおいと、何かの呼吸音が聞こえてくる。
ブーツの音を極力立てないよう、壁際を静かに、慎重に進んでいく。
ドワーフの女性?
側に何人か横たわっている。
身構えつつ慎重に近付く。




