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さて自由だ。どうしようかな。
何をしてもいいわけだけど。
ローランドが入っていったドアの前へ行くと、重装備の兵士がドアの前に立ち塞がっていた。
「どうも」
「本物のアークディラ!? も、申し訳ないが、ここはお通しできません」
「ダメ?」
「規則ですので……」
「本当にダメ? 握手してもいいけど?」
「ほ、本当ですか!? い、いえ、申し訳ありませんが……無理です」
「そっ」
「通せないのですが…握手をして頂く事は……」
〘⇄〙
「いいよ」
「ほ、本当に!? では」兵士と握手を交わす「信じられない。俺が生きているアークディラと言葉を交わした上に握手までしたなんて」
分かっていたけど、好奇心を具現化した僕は気になって仕方がない。
一番近い、ラフな格好をした種族に話し掛ける。
この人もドワーフのようだ。
「どうも」
「悪いが今は取り込んでいるんだ。後にしてくれ」
僕の方を一切見る事なく、作業に集中し続けているようだ。
ミナシゴハーの元へ行く。
「やあ、ミナシゴハー」
手を止め、僕の方を向くミナシゴハー。
「これはベル。ハーと呼んでくれ」
「調子はどう?」
「時間は掛かるが、手応えは感じているんだ。ああ…勿論、完成するまでシタデルにいてくれるんだよな?」
「うん。僕も気になるからね」
「良かった。君が話の分かるアークディラで本当に良かった」
「嫌な予感でもあったの?」
「勿論あったさ。例えば私達を見下すとかな。種族として劣っているのは明らかだからな」
「修復はどれくらい掛かりそう?」
「正直分からないんだ。でも出来るだけ待たせないようにするよ」
「頑張ってね」
「ああ、それから一段落ついたらアークディラの事について何でもいいから教えて欲しい」
「分かった。因みに僕達はアークディラじゃなくてフェネックって呼ばれてたみたいだよ」
「何だって!? それは……」
「続きは完成した後でね」
「そうか……楽しみにしているよ」
ハーが背を向け作業に戻る。
もう一度ハーに話し掛ける。
「すまないなベル。今は少しでも早く完成させたいんだ」
テーブルを調べると名前も分からない様々な器具が綺麗に整頓され置かれていた。
戻ろっと。
情報部の所へ戻る。
いつの間にかドアを閉められ、塞がれていた。重装備の兵士の方を向く。
「どうも」
「どうも」
デスクで作業しているケリーの所へ行く。
「わぁ、本当にアークディラ」
「獣人は珍しいの?」
「もちろん。触っても?」
「僕は家畜じゃないよ」
「あぁ、ごめんなさい」
「冗談だよ」
ケリーと握手する。
「ありがとう」
「獣人は本当に他にいないの?」
「残念だけど、私達じゃ見つけられていないの」
「そっか。残っている種族はここに全員いるの?」
「それは分からない。日々生存者を探すのも私達の仕事だから」
「外に出る事はあるの?」
「フィールドオフィサーが行く場合はあるわ。でも普通は生存者のエリアを絞ったり、部隊の作戦基礎を立てたりとか、デスクワークが中心ね」
「正解だよ。少し移動しただけで、沢山のオートマトンと戦ったからね」
「でも勝ったんでしょ?」
「僕一人だと無理だったかも」
「あぁ…怖いわね。私も行く事にならないといいけど」
「外に出たいと思った事はないの?」
「もちろんあるわ。でも、街へ行ったりするよりもここで仕事をしている時が一番落ち着くから。そんなには行きたいとは思わないってところかな」
「そっか。色々と話してくれてありがとう」
「待って、復元したオムニ装置の通信の一部があるんだけど。これを読んでもらえる?」
受け取る「これは?」
「アークディラの装置の一種で、貴方達の特殊な言語で書かれているの。私達では解読出来なくて…でもきっと、暗号で書かれているようだから非常に重要な物だと思うの。お願いできる?」
「確かに僕達の言葉だね。いいよ。そのまま読むね。私を誰だと思っていたのかしら? 私にあんな装置を売るなんて、貴方も随分と落ちぶれてしまったものね。今後、貴方との取引は考えさせてもらうから。悪いけどナシル、今後は貴方と仲の良かったパヒムと取引させてもらう事にしたの。悪く思わないでね。貴方の商売が上手くいく事をルーナに祈っておくわね。──ナンニ。だって」
「あぁ……」
残念そうに装置を受け取るケリー。
「暗号じゃなくて、訛りが酷かっただけみたい」
「そう……手伝ってくれて……ありがとう」
残念そうなケリーの元を離れ、ローランドのオフィスに戻る。




