20
門を抜けるとそこは、大きく開けた巨大な地下都市だった。
遠くに見え、建ち並んでいる石の建物が無数に視界に入る。
両サイドには植物が植えられ、水も流れている。
兵士達が複数立ち話をしていたり、椅子に座りトランプをしながら過ごしている。
「私は兵舎に用があるから」
「すぐに合流しろよ」
「アイアイサー」
イセリアが門の近くにある兵舎へと向かっていく。
先へ進むローランドについていく。
道はある程度整備されている土の下り斜面を降りていく。
「凄いね〜」
「祖先の偉大なドワーフ達には感謝しきれない。今の私達があるのは、彼らの功績に他ならないからな。だが君の種族であるアークディラから、私達の祖先は建造技術や工学を学んだんだ。これは君らのお陰でもある」
「僕も感謝しなきゃね」
「フッフッ、こうして私達が会えたのは、本当に幸運だ」
「そうだね」
そしてローランドの私室へと着いた。
「まあ寛いでくれ。君もだ」
ローランドがマントを脱ぎ、椅子に置く。
「私はタリです」
ローランドがこっちを向き、腕を組んでテーブルに軽く腰掛ける。
「そうかタリ。最初に分かっていてもらいたいんだが、ここの住人達は君を歓迎しないだろう。寧ろ、追い出そうとすらするはずだ」
「分かっています」
「私が話を通すまでは、セタンとここにいてもらう」
「はい」
一人の人間の女性がローランドが腰掛けるテーブルにコップを一つ置く。
そして椅子に座る僕の方にも飲み物を持ってきてくれた「どうぞ」笑顔で手渡してくれる。
「ありがとう」何かの白い飲み物が入った木のコップを受け取る。
「あなたは?」
「いい」
「はい、少佐」
「ありがとうケリー」
「いいえ」セタンを見て笑顔が溢れているケリー。
ケリーとセタンは良い仲に見える。
「何ていう飲み物なの?」
「これはエッグノックです。口に合いませんか?」
「うーんうーん、とっても美味しい」
「それは良かったです。では私は」ケリーは他の兵士達が椅子に座り、テーブルに向かって羊皮紙に何かを書いている。隣の部屋へと入っていき、ドアを閉めた。
「それでベル。ここに来るまでの経緯を詳しく聞かせてくれないか?」
〘⇄〙詳しく話す。簡素に要点だけを話す。
僕はここまで起きた出来事を細部まで詳しくローランドに話した。
ローランドは始めから終わりまであまり表情を変える事なく聞いていた。時折、僕を見たまま、片手でコップの縁を掴みエッグノックを飲んでいたけど。
ローランドに話し終える。
「興味深いな。アークディラだけでなくドラゴンまで」
ローランドは少し俯き考えている様子。
顔を上げるローランド。
「ではあのオートマトン達は君達アークディラが作った可能性があると?」
「うん、その可能性は高い」
「君はどうなんだタリ? ここに来るまでに何か新しく思い出した事などはないか?」
「そうですね。私の知っているオートマトン達は、先ほどベル様が話された遺跡の者達が近いですね。それでも私の知らない個体でしたが。外で出会ったオートマトン達はまったくの別物のように感じます」
「そうか」
「ここはいつから攻撃を受けずに済んでいるんだ?」
「かなり長い間攻撃を受けてはいない」
「オートマトンが入り込んでいると考えた事は?」
「そんな事はあり得ない。オイルのにおいがする者が街を彷徨いていれば、オルトロスが気付くはずだ」
「あぁ、私の場合は?」
「オルトロスの訓練には私が必ず立ち会っているんだ。オルトロスは犬と違って知性が高いからな」
「その遺跡の装置が気になるところだな」
「かなり損傷が激しかった」
「ああ、でも希望が無いよりマシだ。それに君だって同族に会いたいだろう」
「まあ、ね」
ローランドが椅子の方へと移動し、テーブルに手を突く。
「何か、奴らの弱点などは知らないか? 戦況を大きく変える必要がある」
「お前達同様、奴らにも指揮官が必要だ」
「だが指揮官を破壊した所で、全てのオートマトンが攻撃をやめるという根拠が無い以上、兵は無闇に動かせない。それに居場所を掴むのも容易ではない」
「さっき話したオムニ装置があれば他に手掛かりが見つかるかも」
「現物は持っているのか?」
「ここに」
ローランドに遺跡で拾った装置を見せる。
「それは…ベルついて来てくれ」
「我々はもう街を見学していいのか?」
「ああ、来てくれて感謝する。セタン後は任せる」
「了解」
ケリーが入っていったドアへと向かう。
ケリーを含め、多くの兵士達が何かを書いている。
僕に気が付いた兵士が物珍しそうにじっと見つめてくるが、側のローランドに気が付くと作業に戻った。
ローランドについていき、更に奥へと行く。
「ここは?」
「情報部だ。作戦に必要な情報まとめている。この先だ」
ローランドが近付くと、胸の所にペガサスの紋章が刻まれた重装備の兵士がドアの前から退く。




