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Ⅴ章 〘希望〙
どれも似たような景色に見える。だんだんと前へ進んでいるのか分からなくなってきた。
「かなり深いけど、大丈夫なの?」
「大丈夫だ」
「お前達に任せるのは、少し不安だな」
「まあそう言うなってドラゴン」
「二人共大丈夫よ」
ルーデンと顔を合わせる。
「分かった」
「それにしても魔物が一匹もいないね」
「そうだ」
「体にオイルじゃなく、血が流れてる者なら奴らにとって全て排除の対象よ。はぁ、魔物と共闘するかどうか揉めてた頃が懐かしいわね」
「あぁ、そんな頃もあったな」
セタンとイセリアの声は、どこか悲しげに聞こえた。
「みんな殺されたの?」
「幸い全部じゃないさ」
「そっ、敵対的な魔物から排除されたの。奴らも私達との戦いで、そっちに割く余裕はあまりないみたいで、オートマトンを襲わない魔物は難を逃れているのが多いわ」
「それは変だな」
「どこが変なのかしらドラゴン?」
「お前達を追い詰めるより、この世界を破滅に導いた方が早いと思ってな」
「何か理由があるんでしょ」
「そうだな。根絶やしにされていない生物同様、敢えてお前達も気紛れで生かされているとかな」
「流石ドラゴン、面白い発想ね」
もう随分と歩いた。
顔に触れる植物の葉が鬱陶しいのなんの。
ルーデンだけは平気みたい。いやタリの方が平気に見える。
「着いたぞここだ」
何かの廃墟のようだけど、原型が殆ど残っていない。
廃墟の中を進む。
「見張りがいないな」
「外に突っ立っている訳ないでしょ」
セタンが足を止め、何かの壊れた装置の蓋を開ける。
「馬車か?」
「ああ、オートマトンの移動装置だ。連中はこれに乗って部隊ごと凄まじい早さで移動してくるんだ。俺達はヴィマナと呼んでる。さあこの中だ」
「でもこの大きさじゃルーデンが入れないよ」
「ああ残念! ドラゴンちゃんはここで見張りね」イセリアから悪意のある含みを感じる。
「心配ない」
ルーデンが白く輝く魔法を自身に放つと、ルーデンの体が鳥のように小さくなった。
「そんなのありなの!?」
「エルフの癖に、この程度の魔法も知らんとはな」
「うぐ……敵に見つかる。さっさと行きましょ」
イセリアが先に入り滑り落ちていく。
「さあベルも」
「うん」
「気を付けて下さいね」
「大丈夫だよタリ。そんなに深くはないと思うよ」
中に入り、滑り落ちる。
結構深かった。
赤く燃える魔法の灯火が等間隔に直線の通路の壁に掛けられている。
「ベル」
イセリアが嬉しそうに待っていた。
「地下に住んでるの?」
「まあそんなとこね。大丈夫だった? 尻尾とか?」
「うん大丈夫」
「あぁぁぁ!?」
後ろから絶叫が聞こえてくる。
「タリ、大丈夫?」
「はい……」瞬時に立ち上がるタリ。自分の両手の手の平を見ている「ああ! 私の体は意外と丈夫なようです」上半身を曲げ後ろ側の足も見ていっている。
イセリアが喜ぶタリを少し見て呆れている「そりゃ金属だもんね」
タリ暢後にルーデンが降り、そしてセタンが降りてくる。
「ちゃんと閉めた?」
「当たり前だろ。みんな大丈夫か?」
「はい!」
「うん、みんな大丈夫だよ。でも誰もいないようだけど?」
「ここからまた暫く歩くんだ」セタンが先頭に立ち先に進んでいく「さあ早く移動しよう」
セタンについていく。
「まるでアントになった気分だ」
「セタンも私も会った事ないんだけど、アントって本当にいるの?」
「ああ、連中は数え切れないほどいる」
「でも全然見かけないんだけど」
「ふん、会ったとしても、お前達は食われるだけだ」
「あなたの言う世界には沢山いるの?」
「イセリア、我はお前の顧問じゃない。くだらん質問は控えろ」
「仕方ないわね。やめてあげる。ねえタリ」
「はい何でしょう?」
「少しあなたに聞きたい事があるの」
「私が答えられる質問なら何でも」
ルーデンが前へと来る。
「セタン、イセリアといて平気なのか?」
「俺は我慢強い質でね」
「真面目に答えてくれ」
「実は昔、イセリアに命を救われた事があってな。だから放っておけないんだ」
「義理堅いんだな」
「自分でも時々この性格が嫌になるよ」
「ふむ」
「あんたこそどうなんだ? ベルとは相性が良さそうには見えないが」
ルーデンが僕を見てくる。
「共に命を掛けて共闘した」
「あんたも義理堅いんだな」
「のようだ。今から行く所は安全なのか?」
「安全も安全さ。だが皆の士気が下がってる」
「地下の生活に慣れてきたんだな」
「ああ、皆、地上へ戻る意欲を失ってきている。勿論、中には俺みたいな連中も大勢いるが、状況が変わらない限りそれもいつまで続くか」
「力になるよ」
「有難うベル」




