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セタン、イセリアが新たに仲間に加わり、二人の向かう場所へと向かって行く。
「反応だ」
セタンが腕に付けた装置を見ている。
「オートマトンの居場所が分かるのか?」
「ああ、詳しい仕組みは知らないが、ある程度付近にオートマトンがいると分かるんだ。近くに目印がでるのは厄介だが」
「それは、創造主が使用されていたランドマーク装置ですね。多少改造されているようですが」
隣を歩くタリを見る「そうなの?」
「ええ! まず間違いないでしょう」
「驚いたわね。アークディラを知っているなんて」
「実際はフェネックという獣人種族です」
「連れて来て良かったでしょセタン?」
「まあな。色々と教わる事が多そうだ。おっと止まれ。こっちに向かって来てるぞ。少し待機だ」
「ルーデンに気が付いたのかも」
「隠密向きじゃあないわよね」
「そもそも隠れて行く必要なんてない。あの程度の連中、全て蹴散らしていけば良いだけの話だ。魔法を使う価値すらない」
「言うの忘れてたけど、ドラゴンならとっくにオートマトン達に滅ぼされたわよ」
「この世界でオートマトンの次に長命なのはお前達エルフだろうが、お前達の寿命など、我々ドラゴンから見れば他と差して変わらん」
「つまり、偉大なドラゴンはどんな知恵を私に授けてくれるの?」
「詳しく話した所で時間の無駄だ。端的に言うなら、別の場所へ姿を消したに過ぎん」
「オートマトン達からは隠れられないわよ」
「それはどうかな。お前が思っているより、世界は広いぞ」
「ブラッ……フェネック達も別の場所に避難したって。ねえタリ?」
「はい! 行き先は知りませんが、領域ゲートを通り別の領域へ避難したのは確かです」
振り向くセタンと顔を合わせるイセリア。二人は言葉に出来ないのか、只々困惑しているようだった。
「遺跡にある装置で安全な場所に行けるって事?」
「はい! ですが、完全に破損し、修復不可能かと」
「セタン」
「ああ、真っ先に伝えないとな。暫くは金に困らないと思ったのに」
「お前達は領域ゲートを修復するつもりか?」
「何か問題が?」
「向こうに何があるのか分からないのに、行くつもりなのか?」
「あなたにとっては、この世界は安全かもしれないけど、私達にとっては危険なのよ」
「どれほどだ?」
「世界はオートマトンが支配してる。私達は隠れながら殺されるのを待っている家畜みたいなものよ」
「では隠れ家に向かっているのだな?」
「隠れ家にしちゃ、広いけどね」
「ほお。それは楽しみだな」
「こっちのは来ず、曲がって別の方向に向かったみたいだ。さあ急ごう」
ルーデンが不可視化、隠匿、精霊のベールを放ち、姿を消した。
「勿論、いるのよね?」
イセリアが軽く周囲を見回している。
「…………」
でもルーデンは返事をしない。
「そうだよ」
「彼の魔法は凄く洗練されてるのね」
「敵じゃなくて良かった」
「それはまだ早計だぞドワーフ」
「頼むから踏み潰さないでくれよ」
「一応、心掛けておてこう」
「そりゃどうも」先頭のセタンが立ち止まる「くそ、大勢待ち構えてる」
「こっちには気付いている?」
「いいや、ただ封鎖しているだけだろう」
「大群なのか?」
「かなりな」
「お前達の隠れ家は近いのか?」
「いいや、まだまだ先だ」
「だったら一騒ぎ起こしても大丈夫だろう」
「そりゃあ、まあ……だがさっきみたいな第一世代のオートマトンだったらいいが」
「他にもいるのか?」
「いるわよ」イセリアが間に入ってくる「数え切れないぐらい種類が多い。私達が把握しているだけでも相当な数よ」
「さっき戦ったタロスのようにか?」
「あれは……似ているのもあるが、まあ見た事のないタイプだったな」
「そうね。初めてだった」セタンに軽く頷くイセリア。
「色々と改良されているようですね」
「だとしたら必ず、連中を率いる中心的なオートマトンがあるはずだ」
「俺達はアルファと呼んでる。だがずっと探しているが、一向に見つからないんだ」
「探す場所が違うのかもな」
「結構探しているわよ」
「古代のオートマトンも、我々ドラゴンもロク見た事のないお前達が、探しているとは言えんな」
「限界があるのよ。それにオートマトンが操っている以外にも可能性はある」
「ない。必ずオートマトンだ。それにしても勝ち目がない程だな」
「ルーデン、あなたはいつも私達をそうやって励ましてくれるのね」
「事実を言っているだけだ」
「ベル様」タリが僕の耳元で囁いてくる「今のが典型的な皮肉ですよね?」
「そっ」
「ああ! やりました! 理解出来てきていますよ私!」
「ンフ。タリはその、オートマトン達を操っているのについて、何か知っていたりする?」
「ルーデンの言う通り、生存者達が呼んでいるアルファというオートマトンでしょう。そのオートマトンが事の発端なのは確かです」
「おい、アルファについて他に知っている事を話してくれ」
タリに迫るセタン。
「お前達の仲間にタリの価値を認めさせてからだ。隠れ家に着くまで待て」
「はぁ……分かったよ」
「荒れそうだな」ルーデンが小さく呟いたのが聞こえた。




