第一章第五部 お医者様のところへおしてまいる!
エロ描写ありのため刺激が強めとなっております。
ご不快に思う方はお読みにならないようご注意を。
そんなある日。
「人体の研究に興味はありませんか?」
村の研究所呼ばれて来てみると、突然そこの所長にこんなことを言われた。
唐突だった。
「それはどういった?」
「我々の人体とマレビトの人体では構造や構成式が異なるのではないかと我々は考えてきました。ですが、それを確かめる機会がなかったのです。ですから…」
そこまで言われてなんとなく何を目的としているのか理解した。
「リルさん、このおじさんは正気なんですか?」
近くにいたリルに尋ねてみた。
「かろうじて…」
乾いた笑いがかえってきたのだった。
それから仕方なしなし所長の研究に付き合い、この村の中での俺たちの立ち位置が少しずつ決まってきた。
そんな日々を過ごす折、村が寝静まった頃にハルキがこんなことを言い出した。
「俺の異世界ライフがつまらなすぎる」
唐突だった。
「スローライフっぽくていいんじゃない?東京にいた頃よりもずっと」
「普通のことを言うんじゃねえ!うあああ!いやだあ!いやだよお!!」
唐突な発狂だった。
「落ち着け。シンプルにうるさい。深夜だぞ」
「わかった。夜這いに行こう」
唐突な提案だった。
それから身支度を整えてそっと小屋から二人で抜け出した。
修学旅行以来のわくわく。
小屋の外は相変わらずいまいちな星空と生態系を感じさせる虫たちの声が辺りを埋め尽くしている。
俺たちの足音を搔き消すのにぴったりだった。
「アルさんとリルさんの小屋はどこかな~」
しばきたい。声がでかくておもろすぎる。
忍ぶ気持ちを微塵も感じさせないハルキに笑いながら歩を進める。
「こっちだろ」
「いやあそっちは村長んちじゃねえか?」
「まあ、グルっと一周してみるべ」
しばらく似たような家々の横を抜けて住宅街?を闊歩していく。
こうしてみるとおびただしい数の人間が住んでいて、村というよりは町くらいの規模とも言える気がしていた。日中はそんな風に感じなかったはずなのに。
歩き始めて30分ほど経過した頃。
「聞こえる」
ハルキが足を止めた。
「何がよ」
「女の子のえっちな声」
「まさかあ」
耳を澄ましても俺には聞こえなかった。
だが、確かにこんな壁の薄い、薄いという次元ではないスーパーハウスレベルの小屋の中でア~ンなことや、コ~ンなことをしていたら声が漏れていてもおかしくはない。
期待してしまう男子中学生たちの気持ちも分からなくはない。
「幻聴では?」
「お医者様のところへおしてまいる!よおおお」
ふざけていると、本当に女のうめくような声といかがわしい音が耳に届いた。
目くばせをして音のする小屋へ二人で近づくと
「…っ!~~~!」
遠くから女のうめく声がはっきり聞こえた。
該当する小屋の入口に人の気配はしない。
急いで中に入ると、外から見た小屋の大きさの10倍はある空間が目に入ってきた。
一歩踏み入れた瞬間今まで聞こえてきていた以上に生々しい声が大音量で耳に届いた。
流行っている旅館にでも入ったようだった。
外観は確かに他の小屋と同じ大きさ、同じ形。
だが、中は平安貴族の館のような作りで鴬張りの廊下がずっと奥まで続いていて、いくつもの小部屋に分かれている。娼館のような色使いの内装だった。その中の一つの小部屋からほんのりと明かりが漏れているからにはその部屋に誰かがいることが想像される。
うめき声は大きくはっきりと聞こえた。




