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第二章 ここに村をつくろう3 竜の存在

盛り上がる展開って難しいですね。

その後

我々の作りかけの拠点に5人を案内した。


「ここがお二人の修行の拠点ですか」

シスが驚いて言った。

花が咲いていることに驚いたのだろうか。


「ああ。まだ仮住まいだから休まらないかもしれないが」

ハルキが応える。


「そうだな…少し休まらないかもしれないな」


ユーリが苦笑いをしていた。


「?」


ハルキも俺も反応がやや渋かったので気になってしまった。


「いや、すまない。二人ほどの実力者ならば相応な豪邸を拵えているのかと思ってしまった。気を悪くさせた」


「んなことはないが」


「とはいえ苦戦しているので苦笑いされると少々恥ずかしいな」


俺は本音で答えた。


「よろしければ我々がお手伝いします。恩返しとしては微々たるものですが」


ありがたい話だった。

そしてそれからはあっという間だった。


「こんな感じで」と伝えたら俺のイメージを脳内から魔法で抜き取り、そのまま魔法で木材を宙に浮かして操作するユーリ。それをクロウとシスが補助する。

その横ではフィーネとニーナが木材を大量に生産し続けている。

もっと言えば二人は大地から金属をも生成していた。


「「うそじゃ~ん」」


ハルキと俺の声は天に昇っていった。


ほんの10分程度で俺たちの拠点は花畑と色のないお屋敷と池までついた素敵な場所へと変わってしまった。


「こんな形でよかったですか?」


ニーナがおずおずと聞いてきた。

俺たちは唖然として何も言えなかった。

その代わりに首をコクコク立て縦に振った。


設計図を明確にイメージしたからか、屋敷はキッチンや風呂場もトイレも全て完備していた。

ただ上下水道はないし、キッチンは現代的なものから竈に変換されてしまっていた。

こちらの世界で使う分にはその方が便利なのかもしれない。

家の中の物を確認しつつ風呂を沸かしたり、食事を作ったりしていたらすぐに夕飯の時間となったのでダイニングに全員で集まった。


「それにしても風呂というのは素晴らしいですね!我々は水浴びしかしないので暖かい風呂というあの形には感服しました!」


シスが食事を口に運びながら興奮気味に言う。


「シス。お行儀が悪いですよ」


フィーネが窘める。


「しかし助けてもらった上にここまでもてなされては頭があがらんな」


そう言うクロウは笑っている。

周りのエルフたちもつられて笑っている。

皆かなり上機嫌なようだ。


「そんなことはないさ。俺たちだって家を建ててもらって大助かりだよ。なあハルキ」


「助けて良かったぜ!」


「ご冗談を。あの程度助けるのうちにも入らないようだったではないですか」


「んなことねえよ。ケンなんか死ぬ覚悟までしてたんだから」


「うるせえな」


まあ俺の場合は死んでも死なないんだが。


「ところで。お二人には加護がついているようですが、どのような加護でしょう?」


フィーネが目をキラキラさせて聞いてきた。


「フィーネ様。さすがに初対面でそれは失礼に当たります」


「そうでしたわね。ごめんなさい、今のはなかったことに」


ほんの少し子どもっぽい表情を見せたフィーネは凛とした表情にまた戻ってしまった。


「いや。構わないさ。俺の加護は竜の加護


竜と聞いたエルフたちは椅子から飛び上がって床に平服した。

フィーネだけが傅いていた。


だけど…。なんだ?」


「ご無礼を申し訳ございませんでした。この世に三柱しか存在しない竜との契約者様にあられたのですね。知らぬとはいえ、大変なご無礼を」


クロウは平服したまま答えた。


「やめてくれよ。ケンだってフェニックスの加護を得ているんだ。俺だけそんな扱いされても…」


「ケン様も始祖の精霊とご契約をなさっておられたのですね。我々の命をお救いくださり誠に感謝いたします。どうかこれまでの非礼をお許しください」


「ああ…」


ハルキと俺は困惑した。


「どうか椅子にかけて話してくれないか?俺たちは転移者でこの世界のことはあまりわからないんだ」


俺がそう言うとおずおずとエルフたちは元居た席へ座り始めた。


「申し訳ございません。我々も動揺をしておりまして、どこから話したらよいのか」


ニーナが目を合わせないままに呟いた。


「クロウ。あなたから話しなさい」


フィーネに命じられたクロウはこんな事を語った。


エルフは元々この森に住んでいる唯一の人類でこの森はエルフたちが守る聖域。

俺たちが森からずっと出られなかったのもエルフたちの目くらましの魔法によってグルグルと同じところを徘徊させられたせいだった。

目くらましの魔法があるから外からはこの森へ入れず、中からは出られないという作りになっているという。

そしてそれは竜をこの森へ封じ込めるためだったという。

竜とはこの世界で最も長く生き、この世界を破壊する程の力を持ちながら世界に干渉してくることがほとんどない存在で、彼らを鎮めるために神殿がこの森の奥へ置かれている。

そしてある日突然、その神殿ごと森の一部が『ブレス』によって消失したことに気づいたエルフたちは5人をこの森へ調査隊として派遣した。

フィーネは竜を鎮める聖女として育てられた少女で、竜がこの森から世界を破滅させるということならフィーネがその身を投じて竜を長い眠りにつかせるつもりであったらしい。


「以上が我々の知る範囲のことです」


ダイニングには静寂が訪れた。


「それでこの森は出られなかったというわけじゃったか」


聞きなれない声が突如として発せられた。

そこにいた全員が飛び上がって声の主を探した。


「誰だ!?」


ダイニングの入口に鮮烈な光と蒼い髪を持つ中性の人間が立っていた。


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