第二章 ここに村をつくろう4 始祖との遭遇
少しは異世界らしくなってきたでしょうか。
明日から仕事のため更新が遅くなります。
今日も読んでくださった皆様、ありがとうございます。
「わしの名はコルディハース=ブラウ=ザフィエだ。蒼の竜とでも呼べ」
「コルディ?なんでこんなところに?」
ハルキがその人間に話しかけた。
「おお、ハルキ。現実で見るハルキは余計に魂の輝きが強うて良いな。ういやつじゃ」
コルディと呼ばれた人物はハルキの傍に瞬間移動すると頭を撫でくり回した。
「やめてくれよ。大事な話をしているところなんだ」
ハルキが邪険に扱うとコルディは渋々といったようにエルフたちに向き直った。
「エルフめ。わしを出し抜いてこの森に結界を張っておったな?我を眠らす祭壇ごと消してやったのに、どうもこの森からハルキが出られんから不思議に思っておったところじゃ。今すぐこの結界を外せ。ハルキはこの世界で大きく成長するのじゃ。邪魔立てはするなよ?」
エルフも俺も覇気が強すぎて震えあがった。
空気中に静電気が迸っているような火で炙られているような痛みが肌を刺す。
プレッシャーが重力のように俺たちにのしかかった。
そんな中でフィーネが跪いたまま言った。
「蒼の竜よ。どうかお許しください。あなた様の力をこの世界に放ってしまえば、この世界はあっという間に滅びてしまいましょう。どうか怒りを鎮めてください」
「ならん。今すぐこの邪魔な結界を外せ」
「どうか…。私は生贄として参りました。私の身一つでお許しを」
フィーネは折れなかった。
「そうじゃの。わしは今はハルキのものじゃからな。お前、ハルキの女になれ。今すぐここで服を脱いでハルキの女になれ」
ハルキがぎょっとした。
その瞬間にフィーネの衣服は消滅させられていた。
「コルディ!やめろ!俺はお前の言いなりになるつもりはない!」
ハルキが激昂する。
「ハルキ。これはケジメというやつじゃ。われを愚弄したものをそのままに生かすことはならぬ」
「俺はそれを望まない!」
ハルキとコルディの間に緊張感が奔る。
ここまででさすがに俺でも分かった。
コルディはハルキの契約した竜そのものだ。
そしてコルディは「あの村」の神殿の力で眠らされていたところをハルキに目覚めさせられた。
そして今はハルキの力の源となっているのだろう。
それからハルキとコルディの言い合いは続いた。
その間も誰一人身動きが取れなかった。
コルディの雰囲気に圧倒されてしまったのだ。
俺も例に漏れなかった。
「コルディがこの世界の始まりの存在の一柱だってことは分かってる!それを騙した彼らも良くないんだろう。でも俺は…」
ハルキが言いかけた時、コルディの怒りが頂点に達した。
辺りは蒼い光に照らされてコルディの手から蒼い閃光が奔った。
「っ!!!?」
ハルキが止める間もなく、その閃光はフィーネたちに直撃した。
ように見えた。
「相変わらずコルディは荒っぽい。私の可愛いケンが巻き添えを食らったらどうするつもりだった?」
俺の隣にあの時の美しい女性が立っていた。
白く白く輝くオパールの光の粒を撒いて隣に佇んでいた。
そしてフィーネたちの周りにも同じ光の粒が舞っていて、コルディの放った閃光は四散していった。
建てたばかりの家の一部が消失してしまっている。
「邪魔ばかりしおって。貴様がこんなところにおるのはその男のせいか」
今度はコルディが激昂して俺の隣を睨んだ。
「ケン。あの野蛮な竜は放っておけ。どうせ私がいる限り何もできない。遅くなってすまなかった。私はお前の契約精霊、始祖が一柱、セフィリアス=フォン=シャルリー。セフィと愛を込めて呼べ」
「セフィと呼べと。偉そうだな鳥のくせに」
憎まれ口を叩く俺の頬にセフィはキスをした。
それを見たクロウは「始祖が二柱も…奇跡か」と一言呟いた。
「クロウと言ったか。私をどこで知った」
「お許しください。我々エルフの神話に書かれてございます。始祖たる蒼が破壊を示し、始祖たる白がそれを凍結させ、始祖たる紅が世界を消失させ、黄金が生誕を司る。黒は死を司り、翠は再生を、紫は進化を司ると。…あなたが白の精霊?」
「左様。不勉強で蒼は知らぬが」
「白が生意気を言うておるわ。じゃがわしもここで限界のようじゃ」
そう言ったコルディは蒼い光となって霧散した。
「セフィ。ありがとう」
「しばらく会えぬが簡単に死ぬな。馬鹿者」
セフィも白い光となって霧散した。
それから一瞬の沈黙が流れた。
だが「どうか我々エルフの一族をお二人の傘下へ収まることをお許しください!」というクロウの一言で俺たちは決断に迫られることになった。
「ハルキ~どうすんのよこれ」
「美形軍団に占拠されると主人公が誰か分からなくなるから嫌なんだが」
「どうか我々をお導きください!」
「分かった分かった。ちょうど人手は足りなかったし助かるよ」
「ありがたき幸せ…!!!」
そう言ったエルフたちを宥めて各自の部屋へ押し込むのは難儀な作業だった。
その晩。
ハルキと俺はダイニングの暖炉に火を灯しながら少し話をした。
「ケンが契約した精霊と俺の契約した竜がしそ?」
「そうらしいな」
「天ぷらで食べるとおいしい?」
「シソ」
「あのゲームのラスボスの?」
「シン」
「人を騙すのは?」
「ウソ」
「シンジくんが闘うのは?」
「シト」
「俺たちが契約したのは?」
「始祖」
溜息が出た。
「状況が急転してんねん」
「やめろやめろ変な関西弁。怒られるぞ」
「エルフを傘下に収めて、そんでここに国でも作るか?」
「ハルキくん。君が王様やってくれるならそれでもいいんだぞ」
「情報量が過多なんだよなあ」
二人して困惑していた。
「もう一回コルディとセフィリアスを呼んで話を聞こう。先生怒らないから」
「怒るやんそれ」
「コルディ、もう一度だけ出てきてくれ」
「セフィも出てきてくれ」
俺たちがそう言うと目の前が幻想的な光に包まれた。
そしてその光の中から二柱が現れた。
「なんじゃハルキ。わしはもう寝る時間じゃ」
「ケンも人使いが荒い」
「なあ!コルディはなんでいつでも出てきてくれないんだ。家だって建ててくれたってよかったじゃないか!」
「それは違うと思うぞハルキくん」
「だって!コルディはこの世界を創ったみたいな存在なんだろ?じゃあ家くらい作ってくれよ」
「ハルキは阿呆じゃの。わしらは家なんぞなくても死なんから作ったことがないんじゃ」
「どうかと思うわ二人とも」
俺は二人のボケに困惑していた。
「セフィ。セフィはいつでも出てくることはできないのか?」
「無理だ。お前の魔力が足りぬし、条件を満たしていない」
「条件?」
「今も無理やり形を保っているが、あまり長い時間の顕現はできん。真の力を持って顕現できるのはお前が勃っているときだけだ」
「え?」
「勃っているときだけだ」
「…だから寝ている時しか出てこないの?」
「そうだ」
絶望的なことを言う鳥女。
「わしも同じじゃぞ」
「そんな!さっきは勃ってなかった!」
「いや。聖女の女の乳を見て勃ちかけていた」
「俺のプライベート情報おおお」
「泣くなハルキ。そもそも俺たちが最初にこいつらに出会ったのも死ぬかもしれない緊張感の中、疲れて寝たからだろ。辻褄はあってんだよ」
「そうじゃったな。あの時は綺麗な勃起じゃったぞハルキ」
ワハハとコルディは笑った。
「え、待って。俺が夢の中でビクンビクンしたのは…?」
「夢精をしていたぞケン」
「俺のプライベート情報おおお」
絶望が木霊した。
ひとしきり悶絶した俺たちは気を取り直して二柱に聞いた。
「二人はシソなのか?」
「ハルキくん?」
なんだかちょっと違う気がする。
「まあその辺のことは昔過ぎて分からん」
コルディも適当である。
「ケン。おぬしも乙女の秘密をそう簡単に暴くな。今は我らの力を与えられたことを確認すればそれでよい。あのエルフたちが味方についておるのだ。しばらく身の危険もなかろうて」
「あのエルフたち?」
「エルフは人間よりも魔術に関しては優れておる。しばらくは不自由せんじゃろ」
そう言ってセルフィは光になって消えた。
「すこし投げやりな感じだったな」
「コルディもしれっと消えていった」
「なんだかなあ」




