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第一章最終部 スキル開花と消失

読み返すとなんだかやっぱり素人だなあと感じます。

少しずつ直していくと思います。


プロの小説家さんや漫画さんのように読者のみなさんを楽しませることができるようになれたらいいなと思っています。

第一章の最終部です。


どこが悪かったかなどご感想お待ちしております。

あくる日、目が覚めると俺たちは処刑台に手足を繋がれた状態で目を覚ました。


「ハルキ!起きろ!ゲェエエエエ」


「起きてんだわ。ゲロアラームはいらんのよ。あと数分でギロチンが落ちて来るから」


景色は非常によく、気分は非常に悪かった。

木の首枷に手足には縄。

この状況は間違いなく「間違いだらけの僕の居眠り」だった。

村人は皆、俺たちの処刑台を囲むように集まっている。

高笑いをしている奴もいれば汚物をみるような目を向ける奴もいる。


これから俺たちは斬首、つまりはギロチンで首を落とされるらしい。

ハルキが帰って寝ようなんて言い出すからこんなことになる。

言わんこっちゃない。


処刑台の下はもう俺たちの知っている村人ではなかった。

たった二人を騙すための演者たちだったのだ。


「エギン。お前最初からこうするつもりだったな?」


ハルキが俺たちの後ろにいるだろうエギンに言った。


「よくわかっとるな」


「なんでこんなことをする?お前らが大好きなマレビトが減っちまうだろう」


「マレビトを殺せばまた湧いてくる。一定の数になるようこの世界は調整されておる。安心するがいい。奴隷なんぞいくらでも替えがきくわ」


エギンは俺たちの何倍もこの世界の法則に詳しい。

この一族はその内の一つも書物に残さずに伝承してきているという徹底ぶりがおぞましい。


「爺、カインを殺したのもてめぇか」


昨日の記憶が抉りだされる。


「殺した?わしは死ねと言っただけだ。なあんにもしとらん」


エギンは我々をひとしきり嘲笑した。

それから、さてさっさと打ち首にしてしまおうと言って断頭の準備を始めさせた。

それと同時にハルキが呟いた。


「ずらかるぞ相棒」


「どうやってだよ」


「俺は昨日契約をした。多分この処刑台一帯くらいなら焼き払える力がある」


ハルキも契約をしたのだろうと理解した。


「でもよ、エギン以外を殺す必要はあるのか?」


そう尋ねるとハルキが口を噤んだ。

それはそうだ。


「うまく加減する。それにお前はどうせ死ないだろ?」


「あ?」


「死にたくないって三回も唱えてたからな。『炎柱』!」


瞬間空気が焼けた。

唖然とした。

馬鹿だ。こいつは相当馬鹿だ。

圧倒的超越的馬鹿だ。

何事においても事前準備というものがあるのではないかと思った。


遠くの空が茜色に染まる。

染まったと思ったら炎壁が見えた。

炎壁が見えたというより炎柱に包まれている。

はじめは赤かった炎は次第に黄色くその火炎の純度を上げていった。


俺の身体は蒸発し始めた。

断頭台は燃えカスに近づいていく。

断頭台にいた男たち幾人かとエギンもその内側にいるのだから一緒に燃やされているのだろう。


火柱が高く高く空めがけて昇っていく。


炎の向こう側から村人たちの悲鳴が聞こえた。

黄色く燃える炎。

蒼くほとばしる炎。

陽炎が眼前に広がっていたがその先は覚えていない。

そこで意識が途絶えた。


次に意識を取り戻した時。

裸の俺は熱された地べたに横たわっていた。


「きもちわる。灰から身体が生成されるってフェニックスじゃん。溶けて焦げて砂になって裸になるって気持ち悪い能力だな」


うるせえ。見てないから何とも言えないが、起きたての人間にそれは失礼だ。


「悪かったな」


「許さん!!!わしの腕があ!!!」


振り返るとエギンの腕は炭化していた。

脂汗をかきながらふらふらで立っていた。

あの炎の中で生き残るとは。


「エギン。諦めろ。お前の野望もこの村もここで終わりだ」


「殺せ!こやつらを殺せ!!!」


エギンが叫ぶと炎柱の外側にいた村人たちが武器を持って俺たちに襲い掛かろうとしていた。


「村人1000人相手に戦うって不利じゃん?アリじゃないんだよ?」


「いいからちゃんとやれ!ハルキ!」


襲い掛かって来る村人たちの攻撃をいなしながら闘う。

ハルキは時折先ほどの火柱の小規模なものを使いながら村人をどんどん戦闘不能にしていく。

できる限り殺さないようにしているらしかった。


一方の俺は素手で応対しなければならないので何度も槍や鈍器での攻撃を受けた。

その度にその部分がオパール色に輝いて超速で回復する。

痛みもあまり強くは感じなくなっていた。

痛みという信号を脳が無視し始めたのかもしれない。

だから裂傷も擦傷も、切り傷も刺し傷も火傷も、全てをそのままにして反撃をしていく。


「なにをやっとるか馬鹿者が!!!!!!!!『ファイアーボール』!!!」


エギンが離れたところから大きな火の玉を放った。

一球目は俺にもハルキにも当たらず、村人を何人か焼きながら砕いていった。


「おいおい爺も魔法が使えんのかよ」


同感だった。

あの炎柱を生き延びたのだから当然と言えば当然のことなのだが。


「マレビトの血を引くわれらにこの程度造作もないわ!」


それを合図に遠くで待機をしていた村人たちが何人も魔法でこちらを攻撃してきた。


「「「「『ファイアーボール』!!」」」」


「「「『ロックバレット』!!」」」


あちこちから炎や石の砲撃を受ける。

ハルキが危ない。

そう思ってハルキの方へ駆け寄ると、火の玉の一つは俺を直撃した。

焼けながらあばらや背骨が砕かれる。

あとから五月雨式に石が高速で振ってきたが、それも俺の身体に当たってハルキには当たらなかった。


「ケン!!!早く元の形に戻れ!死ぬな!」


「ばけもんかなんかか俺は」


痛みとして認識できないくらいに痛かった。

血しぶきをあげて流れ出た血は気化してまた体に返って来るらしい。

不本意だったが、元の形に戻って何度も盾の代わりになってやった。


それからの戦闘はあまりにも生々しかった。

転生ものの戦闘シーンというのはもっとポップであっという間な瞬間的なものをイメージしていたが、どうやらそんなことはなく、死臭とグロテスクがそこら中に蔓延していった。

ハルキは魔法を使いながら敵の魔法を相殺していく。

死角となる背中側は俺が小規模な魔法で中和していく。

それほど汗をかいたかも分からない。


その時。

突然遠くの空が暗くなった。

そしてエギンが退避していた辺りに雷が落ちた。

空を割く閃光とあとからなだれ込んでくる轟音。

それが火花を散らしながら村人たちに当たって引火した。


「うわあああああああ!!!!!!」


悲鳴が辺りに響く。

地べたに転がっていた死体らしきものから闘っていた者まで全てがその場にのたうち回った。

ハルキに向かってきていた魔法も同時に途絶える。


「なんだ?」


訝しげにハルキが言った。


「これがわしの奥の手だ!!!」


ハハハハ!!と高笑いするエギン。

のたうち回っていた村人たちが皆、一様に操り人形のように首元から宙に釣りあげられる。

倒れていた者も皆。


「『アンデッドオペレーション』」


遠くにいるはずのエギンの声が空間に浸透した。


「まずいだろこれは」


「名前からして…」


俺が言いかけた時、村人たちの口から青白く光る玉が抜け出してエギンの所へ集まっていった。


「…全員殺して屍の軍隊を作ったということよな?」


ハルキも俺も身動きが取れなかった。

正しくはどう対処すべきか見当がつかなかった。


「『炎柱』!!」


アンデッドたちが動くよりも前にハルキが魔法を唱えた。

俺たちの周りには最初にエギンの腕を焼いた時と同じ炎の柱が勢いよく立ち上った。

一瞬遅く炎から無数の人間の腕がこちらに伸びてきた。

根元から焼けていくのに動き続ける腕。


「ハルキ!持つのか!?」


「無理だ!あと20秒も持たねえ!」


「ステータスオープン!」


不意に現代の知識が思考を横切った。

唱えた俺の目の前にはいわゆる「ステータス画面」が表示されていた。

どうして今の今まで思いつかなかったのか。


目の前の画面には

職業:転移者 

名称:ケン

Lv:3

HP:600

MP:??

攻撃力:13

防御力:17

素早さ:8

運:-50000

熟練度:50


スキル:不死鳥の加護


装備:なし ※裸


アルティメットスキル:なし


と書かれていた。

装備なし、裸、余計なお世話だ。


「ハルキもステータス確認しろ!スキルになんかあるだろ!」


「ステータスオープン?」


俺には見えなかったがハルキは目の前の何かを読んでいるようだった。

こんな時にチュートリアルくらいはきちんとしてくれと思っていた。


「スキル、『召喚』」


「は!?」


驚いた俺を放ってハルキは天を仰いだ。

炎柱の上から宝石の光が淡く強く降り注いだ。

サファイアのようなゴールドのようなしなやかな光をまとった神秘的な姿。

信じられないほどの大きさだった。

空は白み、黄昏、茜色に染まる。

白と黄色と青色と茜色がごちゃまぜになった神秘的な空。


神の降臨だった。

いや、正しくはサファイア色をした瞳を持つ竜が降臨していた。


そうして一瞬だけそのサファイア色の瞳がこちらを見た。


その時ちょうど炎の柱が消えた。

元は村人たちだったアンデッドは動かない。


「あ…ああ…!!!」


エギンが恐怖に慄くのが見える。


「『ブレス』」


僅かに頷いた竜の口から衝撃波を纏った光線が放たれた。

炎のような光の粒のような。

辺りは静かだった。


音すらないままに村があった場所が全て薙ぎ払われた。

光線に当たったものは全て消し飛ぶ。


光に包まれたまま身体が失われるのを感じた。

何もかも無くなるんだ。


瞬間。そこにあった全てが爆風で吹き飛ばされた。

爆裂の地点は押しつぶされたように圧殺されていった。


ハルキがただ一人この大地に立っていた。


数秒後に立ったまま意識が戻った。

四肢が胴体から近い順に生成されていく。


「きめえ」


「ああ…そうだな…」


お前の力はどう考えてもチートだ。

溜息交じりにそう言うと乾いた声にならない声が聞こえた。

ハルキは虚脱していた。


しばらくして


「極悪村長を成敗した」


ハルキが努めて明るくそう言った。


「これはやりすぎだ。何もかも無くなってるじゃねえか」


どうなってんだよ。そう続けるとハルキは「村は無くなったよ」と優しく呟く。


「カイン。何にもなくなっちまったよ」


これでよかったのか、なんて後悔していた。

それは俺も同じだった。


「これからどうする?」


「小屋に…小屋もねえんだったな」


帰る場所も行く場所も食べるものもない。

よくしてくれた人も全部消し去ってしまった。


虚無だ。


「君は今から虚無の王だ」


「ん?」


眉を潜めてハルキがこちらを見た。


「俺は虚無の王を頂まで連れて行くよ。そんで元の世界に帰ろう」


「異世界転移してまでお前とやってかないとなんて。俺の人生は不幸だ」


安心しろ。俺の運は-5万だからお前よりも不幸だよ。


「明日からどうするかな」


「王国があるんだろ?そこに行くしかないんじゃないか?」


「そうだな。それしかないよな」


「とりあえず歩きながら考えるか」


そう言いながらハルキは森の方へ歩き始めた。


「王国に着いたら風呂あるかな?」


「また言ってんのかよ」


「風呂は大事だろ~」


「いいから食い物探しながら歩くぞ。キノコとかの毒見は任せた」


「何言ってんだよ。あと何回俺を殺す気だ」


「いいだろ。死なねえんだから」


ハルキは無理をして笑っていた。

きっとこんな風になるとは思っていなかったのだろう。

それほどに竜の『ブレス』は全てを無に帰した。

こんなことをした俺たちは同罪だ。

村での記憶が蘇る度に後ろめたい。


後ろめたくてここへはもう二度と来ないだろう。

そんな気がした。


「いつかカインの墓参りをしに来ないとな」


「アルたちも会社の後輩たちのもな」


これが俺たちの最悪な物語の第一章だった。


以降は仕事の合間を縫って少しずつ更新していこうと思います。

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