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第一章第十部 死ぬな

あと数話でこの章は終わりです。


お付き合いくださった方。

本当にありがとうございました。

夢を見た。

またあの鳥がいた。

相変わらず羽毛が美しかった。

ふわふわだった。


「お前に加護を与える」


唐突だった。

異世界に来てから唐突なことばかりで嫌になる。


「して、それはいったいどのような加護ですか」


「『死にたくない』だ。三回も唱えていただろう?」


ふざけた鳥だ。

死にたい。


「ありがとうございます。それではお引き取りを」


羽毛を思いきり押してやった。

ものすごくもふもふしている。

この羽毛を持ち帰って掛け布団にしたい。


「馬鹿者。お前は私と永久にともにあると言ったのだから絶対に死なぬように加護を与えたのだ」


そこそこ得意げな顔をしている鳥を見て思い当たる節があった。


「まさか、これが毛約?間違えた。契約?」


「いかにも。お前は今この時からこの私の契約者となる。喜べ」


「ありがとう。それで俺は魔法が使えるようになるのか?」


「ならん。これまで通りだ」


「じゃあどうやって死なないようにするんだよ!」


「だから言っているだろうお前は絶対に死なぬ」


「そんな気合と根性みたいな契約があるか!」


「うるさい!私の用事はこれでおしまいだ!最後に契約の契りを交わすぞ」


鳥が光の粒になって霧散した。

大気が凍ったような冷たい光だった。


そしてその足元に美しい女性が立っていた。

氷のような肌に長い髪。

まさに俺の理想の姿だった。

鮮烈な瞳の眼差しが俺を動けなくさせた。


一歩ずつ歩み寄ってきたその女。

俺の目の前で立ち止まって優雅に一礼するとそのまま頬にキスをした。

全身が脈打った。

血流が二倍に増えたような。

血管がもう一束全身に埋め込まれたような。


耳が音を拾わなくなった。

目が光を映さなくなった。

鼻からは鼻血が吹き出した。

口からはこの世のものとは思えない声が出た。

脚が雷に打たれたように硬直した。


女は俺に抱擁をした。


腹が海に漂っているような浮力を得た。

鼻からは何度も血が吹き出し、口から洩れていた声は凍り付いた。

その間に何度も絶頂した。


「これで魔法が使えるようになった。『我が儘だねえ』あとは『もう好きにしろ』」


視界に光が戻ってきた。

目の前にはまたあの鳥がいた。


「魔法は 」


「すぐには使えぬ。まだ体に馴染んでおらん」


「そうか。でもありがとう」


この世のものとは思えない心地でした。

いろんな意味で。


「死ぬな」


鳥は最後にそう言った。


第二章も少しずつ書いていきます。

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