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凄腕忍者、TS魔法少女にされる 〜護衛対象に溺愛されても、某は百合には落ちぬ〜  作者:
六章 乙女心や芽生えし夏の月

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第75話 せっかくだし撮影会しない? と雫は言った

 着替える前に雫に捕まって、写真を撮られた。それも大量に。


 お玉を持って片足を上げたり、上目遣いでカメラ目線をさせられたりした。さらには、わざわざ防犯装置を解除してベランダにも出た。

 手すりに肘をかけて、彼方にそびえる新都心のビルを見る。うちわで扇がれた風がびゅうっと髪を揺らすと、その瞬間にシャッターが切られた。


「かわいい、すごくかわいい。動かないで、今、いま、撮るからね。そうそう、つま先で立って足の裏を見せる感じにしてね」


 横だけではなく、丸出しの背中からも撮られた。スマホを眺める雫は、まるでできたての焼き芋のようにほくほくしていた。

 肌はずっと熱を持っていて、外気の温度が二度も三度も高く感じられた。こんなときに空を飛ぶ刺客が現れたら、どう対処すればいいのやら。


 シャッター音が止んだので振り向いた。背中に白い紐がクロスする裸体の画像を見せてきて、雫は言った。


「これラインのトプ画にしていい?」

「遠慮してください……沽券に関わります」

「じゃあスマホの壁紙」

「……他者に見せないのであれば」


 かぁっとまた顔が発火する。雫のスマホ内に自分がいる。可憐な少女として、プライベートな姿を晒している。裸にエプロンを装着して裸足でベランダに立つ痴女は、絵になる、不思議と。


「やった。あー、でも、誰にもってなると難しいかなー。モザイク? 余計にえっちかな」


 雫は目を瞑って、頭を左右に振っていた。喉を鳴らして、深く考え込んでいるように見えた。

 本当に設定するかもしれない、この方ならば。ならば。


「そのままでも構いませんが、その、こちらにもいただけませんか。雫の、は、裸でのエプロン姿を……そ、そ、相互に設定すれば公平かと」


 四本の指で、挟むように頬を押さえた。ハエでも追いかけているように目がぐるぐる、ぐるぐると動き回った。


 目を開けた雫の顔が、やや緩んだ。


「うん、いいよ。撮影係交代ね、それ脱いじゃって」


 すっと手が伸びてきた。雫の顔はやや赤くなっていて、どこかいじらしい。けれど、こちらから目を逸らさない、一切視線が外れない。

 次は雫がくれる。そのあられもない姿を、大事なものを。


「は……はい、では……」


 腰の結び目に手が向かった。蝶結びになっている紐を引っ張った。

 背中側がほどける。締め付けがなくなって、布は肩紐だけで支えられる。


 かわいい、きっとかわいい。雫がこれを身につけたらとてつもなく魅力的だ。見たい、見せてもらえる、手が届く。

 素足、腰、背中、出っ張った前掛け、身体のライン、慈愛に満ちた表情。強い、間違いなく。


 だが――今回の催しは、取引材料などではなかったはずだ。

 だとしたら、この欲望は、この内側にあるものは。


「さすがにここで脱ぐのはちょっと恥ずかしいかも……ま、いっか、リンちゃんにもさせたんだし」


 雫は自分のカーディガンに手を伸ばした。腕から脱いでいこうとして――リンは手首を掴んでその動きを止めた。


「ふぇ?」


 手に力が入りそうになって、意識的に抜いた。


「魅力的なお姿を拝見したいのはやまやまなのですが……さ、先ほどのは冗談です。こ、これは与えるための趣向であって、性的な要求のために用意したものではありません。お控えください、お身体を大事にしてください」

「えー、またそういうこと言ぅ。自分ばっかりだと雫ちゃんちょっぴり不満だよ?」

「いえ、いつものような自己卑下とは違って、その……」


 視線がさまよう。一旦下がり、雫の胸を経由して顔に上がった。


「雫はそのままの姿でも十分魅力的ですので、露出を控えたまま、お写真よろしいでしょうか。待ち受けにさせてもらいます」


 笑顔を見せると、雫は頬を膨らませた。


「卑下してるぅ、正直に見たいって言ってくれればいいのに」


 むすっと息を吐いた雫は、リンの頭に手を乗せた。


「気持ちは嬉しいけどね」

「きょ、恐縮です……」


 なでられていると、頭皮が柔らかくなった気がした。


「しょうがない、今度うちでやるか」


 目を切って、雫はそう呟いた。

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