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凄腕忍者、TS魔法少女にされる 〜護衛対象に溺愛されても、某は百合には落ちぬ〜  作者:
三章 忍びには恋をさせろ

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幕間 昨日は消えず、東山雫の日常は続いていく【side 東山雫】

 たまにはこういうのもいい。


 所属不明のヘリが墜落した現場は封鎖されて、連日テレビでもSNSでも話題になっている。

 武装している痕跡があったり、機体に切断痕があったりしたことから、陰謀だミステリーだ外国勢力だって、みんながみんな大騒ぎ。


 なにもなかったことになんてならず、世間はそれを認知している。みんなが知らないのは、その中心に東山雫っておかしな女の子がいたこと。あの人たちの目的そのもので、墜落現場にもいたのに、その事実は警察ですら把握していない。


 リンちゃんに「いいのかな?」って聞くと「いいんです。悪いのはあなたではありません」って言ってくれる。

 真顔でなんかムスッとしてるようにも見えるけど、腕を絡めると急に笑顔になるからきっと不機嫌なわけじゃないんだとは思う。


 生活は変わらない。リンちゃんと一緒に学校に行って、授業を受けて、アリスや越谷さんとお昼を食べて、放課後はまたふたりで下校する。

 マックなんかに行って、ポテトの毒見をしてもらって、リンちゃんは顔を真っ赤にして、暗くなるまでふたりでベタベタしてる。

 誰にも、なにも言われない。視線を感じても、それは欲っぽい目でしかなくて、あの事件との関連を疑ってくる人なんてひとりもいない。もちろん警察もマスコミもやってこない。


 わたしは普通で、リンちゃんも普通で、みんな普通で、いつも通りの日々が続いている。

 けど、事件はやっぱり消えたりなんてしない。

 リビングのテレビでもニュースが流れるからお父さんとお母さんはもちろんそれを知ってるし、クラスメイトだって知らない子はいない。警察の偉い人や、政府の人たちもあの日起きたことをちゃんと把握してる。


 それが、なんか変。当たり前が、ちょっと変。

 これまでは、殺されても、攫われても、家が爆発しても部屋に神経ガスが流されても、ニュースになんてなることはなかったし。自分だってなんとなくしか覚えてなかったし。誰も問題になんてしようとしなかったし。

 そもそも問題が存在しなかった。最初から、なにも起きてないことになってた。


 今回だけは問題がここにあって、難しい現実が難しい現実としてちゃんと目の前で生きている。ニュースを見るたびに、本当に協力しなくていいのかな、っていつも思うし、それはちょっぴり胸を苦しくさせるけど、この気持ち自体が新鮮だ。


 事件から数日後、屋上でひなたぼっこしながら寄り添うリンちゃんに、聞いてみた。


「ねえ事後処理って大変なの?」


「はい、関係各所への調整や証拠隠滅、世論の沈静化工作など、対応は多岐にわたります。しかしそれもまた業務のうち、気にされることではありません」


「ふぅん……そっか、そかそか、大変なんだ、うふ」


 思わず笑ってしまう。大勢の人が事件に関わっている。東山雫を知っている人も、知らない人も、狙ってくる人も、守ろうとしてくれる人も、みんな起きたことを覚えている。


 なかったことになんてならない。


「いっぱい迷惑かけちゃうね、でも」


 リンちゃんに体重をかける。ビクッと反応して、身体が硬くなったのがわかった。


「たまにはこういうのもいいかも」


「はい」


 頷くリンちゃんの手が、二の腕へと回ってきた。



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