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凄腕忍者、TS魔法少女にされる 〜護衛対象に溺愛されても、某は百合には落ちぬ〜  作者:
三章 忍びには恋をさせろ

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第19話 女子更衣室で胸を触られると、変な声が出そうになる

 すぐ隣で、雫がブラを外している。そのうち下も脱いで、スクール水着に足を通すだろう。


 クラスメイトの多くは、既に着替え終えてプールに向かった。ロッカーは、隅にあるものを選んだ。覗きに来たアリスは、威嚇によって撃退した。

 だが、雫だけは隣だ、すぐ隣だ。一緒にいるのがただの女性だと信じて疑わず、裸体を晒している。


 自分の着替えも進まず、ロッカーに額を押し付けながら、リンはつぶやいた。


「胸が痛む……」


 薄い鉄板に拳を押し付けると、ぎぎぃという音がした。


 胸を隠そうともせず、雫はこちらを見た。


「え、リンちゃんも具合悪いの?」


「い、いえ……あまり人前で着替えというものが、慣れないだけで、それだけです」


 横目で雫を見る。

 華奢な肩周り、慎ましやかな胸周りの流線型。小ぶりだ。雫よりも小柄な自分と比較しても、少し小さい。

 横からだと、いくらか垂れているようにも見える。にゅうり――関係ない、関係ない、そんなことは関係ない、そうではない、異常を見つけるのだ。魔法の根源だとか、神秘の証だとか、そういうものを。


 くっと瞬歩のように顔を動かして、目に焼き付けて、すぐにロッカーに視線を戻した。


「そう? なんか顔色悪いけど……」


 雫の身体は、いたって正常だった。健康的な日本人女性の肌の色。くすんでいたり、あざがあったり、紋様があったりなどしない。

 股間部だけが依然として布に覆われているが――


 視界の端で、すぅっと雫の手が腰にあてられたのがわかった。


 手はゆっくりと足元に降りていって、右足、左足と順に上がった。そうやって脱ぎとった布は、ロッカー内へと放り込まれた。


「す、少しだけ恥ずかしくて……雫は平気なんですね」


「えー、なんで?」


「気にされる方もいると伺っていたので……その、申し訳ありません、集団生活というものにあまり耐性がなく、どう振る舞うべきか、いささか困っています」


「へぇ、忍者さんってそうなんだね。もしかして学校も初めてとか?」


 ロッカーに額をあてたまま、頷いた。


「はい、一般社会とは離れて暮らしていたものですから……任務を除いてではありますが」


 一人前の忍びとして、相応の修羅場をくぐり抜けてきた。女性の裸体を見ることも、何度もあった。だが、雫のそれだけは、刺激が強すぎる。


 胸の奥がじんじん痺れて、ほてっている。熱発しているように、喉を通る息が熱い。


「へぇ、だからリンちゃんってあんな感じなんだね」


 また足を上げて、雫は紺のスクール水着を履いた。袖に腕が通って、最後にぱちんとゴムが弾けたような音が響いた。


「あんな感じ……とは?」


 ようやく雫を直視できた。更衣室の薄暗さのせいか、露出する色白の肌が煌めいているように見えた。


 後ろに手を回した雫は、歯を見せて笑った。


「んふふ、社会不適合な感じ。しゅばばってかっこよくても、変なところで抜けてるよね」


 胸の奥がへこんで、身体が縮まった、気がした。

 失態の数々を思えば、返す言葉もない。結局、見せパンも履いていない。それで正しいのかも、判然としない。


「……妹にもよく言われます。育ちは同じなのに、どうしてこうなった、と。申し訳ありません、雫にふさわしい人間になれるように……努力いたします」


 雫は、口をすぼめた。


「んー、責めたわけじゃなくてぇ」


 言うと、雫は後ろに回していた手をほどいた。


「わたしは、かっこいいところも抜けてるところも、大好きだよ」


「なっ、雫ど」


 雫の細腕が、腰に回ってきた。脇腹がくっついて、水着が薄いせいで体温をありありと感じる。

 肌の、感触も。腹を触られる、その指使いも。


 そうやってほとんど抱かれているようになっていると、全身から力が抜けていった。ふわり、ふわりと雲の上を歩いている。


「ぁ……あの……そのようなことはあまり公衆の面前では……んぅ……」


 どんどん、どんどん身体がしぼんでいく。雫の魔力に意識までも侵食されているように。


 胸元に、にししと笑う雫の顔があった。


「うわぁ顔真っ赤だぁ、恥ずかしがり屋さん」


「か、からかわないで……ください。顔が赤いのは正体不明の発熱のせいであって、別にそのような……」


 身体の次は、心が細くなったような、そんな感じがした。

 孤立無援の戦場でも、このような気持ちになったことはない。やはり今日は、どこかがおかしい。

 おかしなことを、意識しすぎたのかもしれない。


「へぇ、本当に具合悪いのかなぁ、じゃあ見学するって先生に言ってこようか」


「け、結構です、授業には参加します」


「じゃあ」と言って、雫は欲望を剥き出しにしたような笑顔になった。


 そして、脱ぎかけのシャツの上から、胸を鷲掴みにされた。


「はうっ」


 甘い痺れが、全身を駆け巡った。


「早くお着替え済ましちゃおうねぇ!」


「し、雫、それは乱暴ですぅ」


「シリアスなのが悪いんだぞー!」


 妙に盛り上がった雫に、一瞬のうちにすっぽんぽんにされてしまった。


 直に胸を揉まれて、背中をなぞられて、太ももに触れられて、


「わぁ、リンちゃん真っ白すべすべ! お胸の形もちょーきれい!」


「し、仕様です!」


 もみくちゃになりながら水着を着るのには、時間と手間がかかった。身体中汗まみれで、ぬるぬる、べたべたと雫の感触が、いつまでも残っていた。



 ようやく着替え終えると、離れたロッカーの陰から見知った金髪――アリスが顔を出した。


「まだですかー、せんせー怒り心頭ですよー」


「は、しまった、教師に護衛だと悟られる」


 バシンっとロッカーを閉めた。


 後ろからリンに抱きついていた雫が、ぼそっと言った。


「みんな気づいてると思うけど」


「なにをおっしゃるか、さ、行きましょう」


「うん」


 雫の手を引いて、素足で駆け出した。


 結局、身体の確認は思うようにいかなかった、下半身などほとんど確かめられなかった。

 そんな思考が脳裏を過って、次の機会がある、とすぐに振り払った。



 ただ、ひとつわかったことがある。見た限りでは、雫の身体は他の女子生徒とほとんど変わらないということだ。

 ならば、魔法少女を引き合いに出せばどうなのだろう? とリンは自分の身体に関心を寄せた。

 水着の張り付いた流線型の胸と腹を見て、この中身を確かめてみる必要がある、と思った。

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