表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凄腕忍者、TS魔法少女にされる 〜護衛対象に溺愛されても、某は百合には落ちぬ〜  作者:
六章 乙女心や芽生えし夏の月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/133

第119話 鈍感なれど、繰り返されると悟ってしまうものだ

 雫と手を繋いだまま、まひるたちの帰りを待った。


 人通りが多くなって、ほんの少しだけ繋いだ手を身体側に引き寄せた。待ち始めてからもう十分にもなろうか。戻ってほしいのか、戻ってほしくないのか、あまりピンとこなかった。


「遅いですね」

「ねー、目移りしちゃったのかな」


 見ると、マムシの屋台からまひるの背中は消えていた。少し探して、隣の輸入銃器くじに食いついているのだとわかった。


 前かがみになったまひるは、目を輝かせながら景品を見ていた。


『すごい、本物だ!』


 そんなふうに口が動いたのがわかった。アリスなどは、すでにくじの箱に手を突っ込んでいた。


「いました」

「いたね」

「まったく、雫を待たせてなにをしているのだ、奴らは」

「全然いいけどね、わたしは」


 雫の表情が崩れた。こちらを見つめて、笑っていた。

 胸の奥を触られたような感じがして、落ち着かなくなった。いつまでも慣れない、こんなときは。


「実は……某もです。ただ、ここは人の目が多すぎます、落ち着きません」

「じゃあ、静かなとこに移動する? あっちの木の陰とか」


 雫は、屋台の裏にある林を指さした。照明が少なく、薄暗くなっていた。

 監視網のような人の目は、そこにはなかった。


 繋いだ手を、雫は優しく引っ張った。


「行っちゃおっか、二人で」


 揺れる瞳を見つめた。雫の目には、提灯の明かりと一緒に自分が映っていた。

 向こうに行けば、落ち着けて、二人っきりになれる。しかしいいのだろうか、ここで待つと約束したのに違えてしまって。だが待てども待てどもまひるは戻らない。今もくじに手を突っ込んで、ハズレを引いて頭を抱えている。


 行くか、行ってしまうか、あの薄闇に。どうせすまほもあることだし、そう広くはない境内だ、すぐに合流は出来るだろう。よし、行こう、落ち着こう、落ち着きたい。


「では……向こうで待ちましょうか。後ほど連絡をすればよろしいでしょうし」

「ん」


 短く頷いて、雫は足を動かした。ゆるく引っ張られて追従する。カラン、という下駄の音だけがよく聞こえた。

 心音がまた早くなった。やはり慣れない、常に新鮮で、いつでも雫とのひとときは――ピクッと肩が跳ねた。


「むっ」


 脳内を稲妻が走るような直感があった。この手の状況に妙に既視感がある。何度か繰り返されて、一線を越えようとするときにいつも邪魔が入る。刺客しかり、春しかり、アリスしかり、タイミングを見計らったように邪魔者が現れる。


 リンが立ち止まると、不思議そうな顔で雫は振り向いた。


「どうしたの? 早くいこ」

「いえ……杞憂に終わればいいのですが、妙な予感がします。この場でなにかが起きるのではないかと――」


 背後で、重い足音が止まった。もう一段肩が跳ねた。


 来たっ。


 振り向くと、浴衣の袖に両手を隠した老爺が立っていた。その巨体には、山のような威圧感があった。


「リンではないか、それと東山殿も。祭りとはいえ、奇遇よのお」


 目の前にいるのは、にやりと笑う師父様だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ