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凄腕忍者、TS魔法少女にされる 〜護衛対象に溺愛されても、某は百合には落ちぬ〜  作者:
六章 乙女心や芽生えし夏の月

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第109話 リンちゃんの刃は、ちょっと重い【side 雫】

 みんなリンちゃんがすき。師父さんも、はつさんも、アリスもまひるちゃんも。


 特にまひるちゃんの「好き」は強い。見るだけでわかっちゃう、だってずっとリンちゃんの方を見ているから。

 目の前に座ってるまひるちゃんは、とってもかわいい。あたふたして、あわあわして、でも好きをちゃんと見つめてる。輝く瞳は、目がくらむほどに眩しい。


 どんなところが好き? と聞いて、まひるちゃんは悩んで、うー、うー、と唸って、恥ずかしそうに答えてくれた。


「……意外と優しい人なのかなって。怖いのもあったんですけど、それも」


 まひるちゃんは、上目遣いみたいな感じでこっちを見た。


「雫さんへの優しさっていうか……強い気持ちなのかなって……真摯ですよね、凄く」


 口を閉じて、まひるちゃんは目を伏せた。首まで赤くなってて、すごくかわいい。

 落ち着きがなくて、手はぎゅっと膝の上で握りしめられている。


 見ていると、胸がわくわくする。そう、リンちゃんのことがすき、まひるちゃんもすき。それっていい、すごくいい。

 顔は笑顔になる。崩れたりなんてしない、ずーっとほわほわしてる。


「ね、ね、ね! わたしのためなら死んでもいいって、それはダメだよって怒るんだけど、そうすると悲しそうにしてて、ああ本気なんだな、って思うの」

「いいなぁ……ぁ」


 まひるちゃんは、慌てたように口をふさいだ。

 目を丸くして、こっちを見つめて、ちょっとしてからゆっくりと息を吐いた。


「あはは、ははぁ……うん、いいなぁって思っちゃいました、誤魔化すなんて違いますよね。ほら、私にはたまにしか優しくないから……それがズルいんですけど……って、あ、あ、ごめんなさい、雫さんは、か、彼女さんなのに」

「ううん、いいよ、全然いい。リンちゃんのことが好きな人は、誰だって大好き」


 好きでいてくれる分には、全然構わない。取ろうとしなければ、ただ嬉しいだけ。

 笑い声があんまりにも漏れていくものだから、わたしも手で口を覆った。


「リンちゃんに会いたいね、いつ戻ってくるんだろう」

「……はい、そうですね」

「気持ち伝えたいね、昨日のアレじゃ、きっとちゃんと気づいてないよ」

「いえ、そうでもないんじゃないかって私は……て、ていうか今日はないです、しばらくないです、す、好きですだなんて」


 真っ赤な顔をもっと赤くして、まひるちゃんは俯いちゃった。


 エアコンの風と、窓から伝わる熱気が混ざり合って、なんかちょうどいい。うっすら日が差し込む部屋で頭を揺らしていると、ぐぅっとお腹が鳴った。


「お腹減ったね、お風呂も入りたいかも。二人で屋敷を探検しちゃう?」

「ぁ、えーと、トラップから雫さんを守りきれる自信がないので……リンさんを待ちたいです」

「あはっ、歩いてるだけで矢とか飛んできそうだもんね、あ、じゃあはつさんに――」


 カキンっと、窓の外から金属音が聞こえた。庭の方だ。

 まひるちゃんが振り向いた。


「あれ、やっぱり庭でなにかやってるみたいですよ、もしかしたら二人ともいるのかも」

「うん、あの音、リンちゃんの短刀っぽい」


 まひるちゃんが一度こっちを見て、また窓を見て、もう一度こっちを見た。二度見。


「え、わかるんですか?」

「もちろん。低音が空気に染みていくような、おもーい音なの」


 目を細めて、まひるちゃんはややのけぞった。


「……やっぱり勝てない」

「まひるちゃんにもわかるよ。好きな人のことなら、なんだって」


 またカキーンといういい音がした。


 遅れて『さあ次はどなたか、お相手いたそう』という大好きな人の声が、うっすらと聞こえてきた。

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