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凄腕忍者、TS魔法少女にされる 〜護衛対象に溺愛されても、某は百合には落ちぬ〜  作者:
六章 乙女心や芽生えし夏の月

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第107話 耐え難い恥辱に、身体が反応してしまった

 アリスは意味ありげに笑ったが、抵抗はなく刃は首筋へと届いた。


「この状況からどのように挽回するつもりだ、大人しく負けを認めるがいい」

「いいんですか、リンさん。周りには人がいますよ」


 横目で周囲の様子を確かめた。いつの間にか、見物人が十数人ほど集まっていた。使用人や、修練中の忍び候補、酔いつぶれて朝まで寝ていたと見られる歓迎会の参加者、そういった面々の視線があった。


 アリスに意識を戻した。


「ふっ、手合わせの許可は取ってある、見られたとて不都合はなにもない。潔くなれアリス」

「しかし、見えちゃってますよ、本当によろしいのですか」

「見えても平気だと――ん」


 朝の涼やかな風が吹いて、胸のあたりに冷たさを感じた。ぱた、ぱた、と布が揺れているような、そんな微振動があった。


 アリスは、やや目を下に向けてある一点を注視していた。


 見ていたのは、リンの胸だった。


「あっ……」


 胸を覆う布が、めくれていた。下着までも十文字に切り裂かれ、肌の表面が見えていた。

 二つの盛り上がりが、ぽっこりと露出していた。


「ひゃっ」


 腕を交差させて、咄嗟に胸を隠した。乳首までもが、見えそうになっていた。ぶるぶると肩が震えて、身体が縮こまった。

 手を押し付けると、圧力がかかって胸が潰れた。短刀の先端が皮膚を刺して、チクリという痛みが走った。


 そ、そうだ、戦いの最中だった、なぜこんな、なぜ、身体は無事なはずなのに。


「貴様ぁ……」

「結果はイーブン、おあいこってことでどうでしょうか?」


 アリスは、今日一番のいい笑顔をしていた。


 こんなことで、決着を預けるのか。戦えるはず、堂々としてればいいはずだ……しかし、それではあまりにも。


 見物人の数は減るどころか、むしろ増えていた。男も女も、子供もいた。


「ぐぅ……致し方ない……」

「えへへ、作戦大成功です」


 太陽の熱よりも、身体の温度が高かった。


 切れた布はまた魔力で編めばいいのでは、と思い至ったのは、頭の沸騰が収まってからのことだった。


 魅力を磨こうとした分だけ、武人としては弱くなってしまったのかもしれない。

 どうすればいいのだ、雫。



 部屋で寝ていた雫は、名前を呼ばれた気がして目を覚ました。


「ん……リンちゃん? ……あれ、いない」


 布団に、リンの姿はなかった。対面には、よだれを垂らして眠るまひるがいた。


 身体を起こして見回して、いたるところを確かめて、今この部屋には二人っきりでいると知った。

 少しだけ、胸の奥が狭くなるような感じがあった。しかし、すぐにもやもやは晴れていった。


「リンちゃんがわたしを置いていなくなっちゃうわけないか、アリスと遊んでるのかな……リンちゃんが?」


 まあいいや、後で問い詰めよう、と思った。


 そうしていると、まひるが目を覚ました。ゴシゴシと口元を拭ってから、開口一番。


「おはようございますリンさ……あれぇ、雫さんだけ?」


 まひるは、首を傾げていた。


 雫は、とりあえず笑顔を作った。


「うん、おはようまひるちゃん」

「あ、はい……私たちだけって珍しいですね」

「ねー」

「あはは、すぐ戻ってきますかね」


 まひるも、社交辞令っぽい笑顔を浮かべた。

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