十四段 青紅葉㊂
「じゃあ、何して遊ぼうか? はないちもんめ、は ちょっと人数が少ないか。かごめかごめなんてどう?」
「なにそれー??」
「さくやちゃん古いよ。四十七士のダンス配信をしよう! 可愛いくてウケるよ!」
「やだー!!」
さくやと千代は、それぞれ遊びを提案したが、双子のウケは悪かった。
「ここは鬼ごっこで行きましょう。いいね?」
「鬼ごっこ!? やるやるー!!」
楓が険しい表情で提案する。双子には「有無を言わせない」といった様子だったが、子供心を捉えていた。
「こういう生意気な子供には、ちゃんと大人の実力を思い知らせてあげないと……!」
楓の、男子を健全に育てる為の計画が始まった。
「―最初は千代ちゃんが鬼ね!」
「えーんっ、わたし、じゃんけん弱い!」
鬼ごっこが始まり、さくや達、子が逃げ、十秒数えた後に、千代鬼が追い掛ける。
「まてー!」
しかし、双子の逃げ足は中々に速かった。その上、狭い土管に逃げ込んだり、障害物を軽々、飛び越えて逃げるので、一向に捕まらない。
「ま、まって……っ」
千代では、大人の実力を見せるどころか、舐められっぱなしであり、鬼がさくやに代わっても、それは変わらなかった。
「あっ、ひーちゃん公園の外には出ちゃ駄目っ!」
調子に乗り出したこうが、公園の垣根を潜って外に出てしまった。さくやは追い掛けたが、突き出た胸の先端を葉っぱに撫でられ、潜り抜けるのに手こずる。
「きゃっ♡ って馬鹿、私っ!」
幸いこうは、垣根の向こうの歩道にいた。
「あら、可愛い子ね。ぼくお名前は?」
「こうだよ!」
歩道にいた女性が、こうに声を掛ける。
「今宵さん! 良かった」
さくやは女性の顔を見て安堵した。
今宵は、丁度、バイト帰りのようだ。白のワンピース姿で日傘を差していると「何処ぞのお嬢様」と言った感じで目を引き、こうの興味も引いたようだ。後から追い掛けて来たひさしも、美人な今宵に駆け寄って行く。
「ぼく、ひさし!」
「あら、貴方達そっくりね。双子ちゃん?」
今宵は屈んで双子と目線を合わせる。
「お姉さん、おっぱい大っきい!」
「ママより大っきい!」
双子は揺れる大きなものに興味を示した。
「あら。ミルク、欲しいのかしら?」
「いや、この子達もうそんな歳じゃ……っ」
今宵が、まるで上げられるかのように言うので、さくやは真に受けた回答をした。
「ふふっ。じゃあ、代わりにお姉さんのお家でジュースでも飲みましょうか。来る?」
「行く行くー!!」
「ちょっとっどこ連れて行くんですか!?」
今宵に誘われると、双子は呆気なく付いて行ってしまう。さくやは慌てる。
「汗びっしょりね。どう? 一緒にお風呂に入らない?」
「入る入る!!」
「駄目ですってっ!」
さくやは今宵から双子を取り返す。流石にこの人は刺激が強過ぎる。
よく見ると、清楚に見えた彼女のワンピースも、陽光に当たるとスケスケで、カラダのラインがくっきり見えた。
「なあに? 貴方。この子達とどういう関係?」
「千代ちゃんの従兄弟で、預かっているんですよ! 連れて行かれちゃ困ります!」
「大丈夫よ。後は私が面倒見てあげるから」
「そ、そう言う問題じゃ……っ」
「お断りします!」
楓がやって来て、きっぱり断れないさくやに代わり、はっきりと断る。
「あなたは子供に悪影響なんです! 面倒はあたし達が見ます!」
「あら? 悪影響だなんて失礼ね。まるで、私がいかがわしい女みたいじゃない」
「違うんですか?」
「意識し過ぎよ」
にっこりする今宵に楓は喧嘩腰で立ち向かう。
「そもそも男の子なら、そう言うことに興味を持って当然だと思うけど? 大体、貴方だって……」
今宵は「その格好はどうなのかしら?」と聞くように、ミニスカートにへそ出しタンクトップの楓を見る。
「兎に角っ! 帰って下さい!!」
楓は今宵を強制退場させた。
「もう、厳しいわね……。ぼく達、ばいばい」
今宵はしぶしぶ帰って行った。双子は笑顔で手を振り返したが、楓からのお説教がくる。
「いい? ああ言う知らないアヤシイ人には付いて行っちゃいけないの! よく覚えておいて!」
「えー! お姉さんのお家行きたいよー!」
「一緒にお風呂入りたい!」
「だめだめ! さっ、鬼ごっこの続き! 先輩達は弱過ぎだから、次はあたしが鬼やってあげる!」
楓は双子を健全な遊びに戻した。
「絶対に捕まえる!」
楓鬼は、さくやや千代より段違いに足が速い。更に、双子が何処に逃げようが遠慮しない追跡は、中々スリルがあり、これまた子供心に響いたようだ。
「ぎゃー!! やばいっ逃げろー!!」
追い詰められた双子は、滑り台の上に逃げ込んだ。しかし、逆走も厭わない楓を前に、進むも戻るも出来ない。
「もぉう逃げられないよー!」
「楓ちゃん……容赦ない……!」
「好きなのかな。こう言う遊び……」
子供のようにムキになる楓を、さくやと千代は微笑ましそうに見守る。
「こっちだ!」
「ぎゃーっだめだ戻れー!」
双子は意を決して、階段から降りようとしたが、あっという間に楓に回り込まれてしまい、慌てて引き返し、滑って逃げる。
「まてー!!」
楓はそのまま、階段を駆け上がり、同じく滑って追跡する。
完全に射程圏内だ。
「!??」
しかし、楓と双子の距離が開く。
楓のミニスカートはデニム素材だった。これは滑り台との相性が非常に悪い。
――やばっ!
全く滑らず捲れ上がり、パンツ丸見えになって滑って行く。
「わっパンツ! パンツ!」
「みどり色だー!」
双子は、ガードの堅かったお姉ちゃんの恥ずかし所を見れて、大喜びだ。
「///っ!!!」
楓は自分の顔から火が出るのが分かった。
「こ、こらーっ!! だから、変なトコロ見るんじゃないのっ!!!」
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