十三段 勝負の赤㊄
セクシーランジェリーでベッドに寝そべる今宵は、千代からの感謝のメッセージを読むと、スマホ置いた。
「大丈夫かしら? あの子……」
緊急のメッセージに返信できるのが、自分しかいないようだったので、どうにか支援してあげようとしたが、ここからでは、それらしい言葉を並べて、頑張らせる事しかできない。
「いいえ……。きっと上手く行くわ」
今宵は中学生の時、都会の高校進学を目指す同級生の受験勉強を手伝った日々の事を思い出して、心の中でエールを送った。
ベランダで物音がしたので、今宵はカラダを起こす。
「今宵! 悪霊が現れた!」
窓の向こうからケンシンが短くそう告げた。
今宵は天貝紅を取り、ベランダへ向かう。
「直ぐに行くわ!」
千代がオーディションに集中できるように、彼女には連絡を入れない事にした。
カグラの分は自分が骨を折ればいい。この方が、下手な励ましのメッセージを送るより、余っ程、支援になるだろう。
今宵は自分の役目を全うする。
「みんながやりたい事をやれるように……私は―……」
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「では次、1004番の方どうぞー」
「はい☆!」
スタッフに呼ばれた千代は、テーブルに審査員が並ぶ部屋へと入った。
水着審査は、上下、勝負の赤で挑む。貧乳だろうがスタイルそのものは良い。派手なカラーで目を引き、注目を集める。
「では、そのまま自己アピールをお願いします」
「はい! 火宮千代、十四歳、中学二年生です☆! 学校ではアイドル部を創部して、センターやっています! ちよちーって呼んでください☆!」
元々、千代は自己アピールに、和HOO四十七士の歌とダンスを披露するつもりだったが、そんな芸は、千人の受験者中、千人が出来るだろう。
その為、急遽、自分ならではのものに予定変更する。
「ちよちーは、小さくて可愛い! が売りです! そんな訳で、ここでちよちーの絶対、可愛いポーズ、1000個やりまーす☆!」
審査員が見守る中、千代は即興で、普段使う可愛いポーズを披露する。
「ご覧あれ! まずは王道、手でハート♡! ウィンク! ピース! ダブルピース! ナイ、ショ! 虫歯! えーんっえーんっ! テヘぺろ! ぶりっ子! ぷん、ぷん! うさぎさん! がおーさん! あわあわっ!」
審査員は苦笑いとも取れる表情だったが、千代は少しでも可愛いと思って貰えれば勝ちだと思い、次から次へとポーズを取る。
「内股ファイト! お祈り! 後ろ手! 前屈み! お尻見せ! おっぱい隠し! お股隠し! 寝起きでふわぁー! カート押してまーす! ピョンピョン!」
千代は他の受験者に勝るものを見出せず、自身を失っていた所に、盛れる水着を忘れた事でパニックになった。
しかし、今宵のお陰で限界まで挑戦を続ける方法を思い付いた。
「―きゃあって座り込む! ぺたんこ座り! 膝抱え! えーとっ四つん這い! お尻見せ……これやったっけ!? 仰向けで膝抱え! うつ伏せぶりっ子! い、今、何個目だっけっ!?」
「そのくらいで終わりましょうか……」
審査員に止められ、千代のアピールは終わった。
「では、これで全ての審査終了です。お疲れ様でした」
「お、お疲れ様でしたっ!」
千代は、まだまだポーズがあった(筈)が、流石に体が熱くなっていた。しかし、確かな手応えと達成感を持って、部屋を後にする。
「ところで君……」
審査員が声を掛けた。
「はい!」
千代は期待に胸を躍らせ振り返る。
「それ、水着じゃないよね?」
「……」
審査員の目は誤魔化せていなかった。
千代は真顔になる。
全員の視線が、千代の水着(としている、今日着て来た、赤い勝負下着)に集まる。
千代はブラとパンツに負けないくらい顔が赤くなりながら、即興で面白い返しを考えたが、何も思い浮かばなかった。
「……はい。忘れました」




