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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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28. 悪役令嬢、初めてお母様と女子トーク?

ちょいと短いです。

 屋根裏部屋に戻るために人気の無い所に移動する。昨日は変なおっさんパーティーに邪魔されて通れなかった左側の道をややしばらく歩いて大通りに入った。屋台で焼いている肉汁の匂いがした。ニオイの元を辿って見ると肉の串焼きだ。試しに1本買ってみた。シンプルに塩で味付けしただけの鶏肉、に似た謎肉。


 「はむっ、あ、美味しい」


 何ということでしょう、この世界は屋台の、所謂ジャンクフードの方がイケてる!串焼きといえばタレ派だが塩も好きだ。香辛料は高いから塩だけというのも良かったのかもしれないが、その場合決め手は食材の鮮度と火加減だ。ここの屋台の火加減はしっかり火も通っていて、焼き過ぎずジューシーで良い。その後も午後のお茶の時間を屋台を冷やかしながら楽しんだ。




▽▲▽▲▽


 本邸の寝室に帰ったのは夕方になってしまった。1時間でも剣の鍛錬に混ぜて貰おうか考えていたら、待っていたかのようなタイミングでノックがして「お嬢様、公爵夫人がお呼びでございます。」と呼びかけて来た。

 急用なんだろうか、いつもならばノックの後、私の返事を待って入室後に用件を伝えるのに。

 屋根裏部屋でシャワーと着替えを済ませたのでそのままでも大丈夫だが、お呼びってお母様の部屋かしら?


 「すぐ行くわ」


 私は答えながら寝室を出て部屋に入る。お母様付きの侍女が部屋の扉を開けた所だ。そのまま彼女の案内に付いて行く。中庭に出た辺りで(この時間にお茶会は無いよね)と思ったが、通り抜けてモヤモヤして来た。何だろうこの本能的に鳥肌が立つこの感じ……。

 到着したのは我が領の護衛騎士団の鍛錬場。皇都の別邸(タウンハウス)にある鍛錬場など比べ物にならない広さがあるし、屋内鍛錬場付きの寮がある。その鍛錬場の一角にだらしなく伸びた騎士達が呻き声を上げている。中に立って居るのは可憐な貴婦人、それも普段着用といえどもドレス姿で右手に練習用の剣を持っていた。

 うわ、護衛騎士達可哀想!これは鍛錬なのか八つ当たりなのか区別がつかないよ。お父様の領内視察に置いて行かれたからって、今始まったことじゃなくて、いつもは家族で視察なんてしないじゃない。ちょっと理解が追いつかずに戸惑う私にお母様が「たまには手合わせしましょ♪」なんて言って来た!

 たまにはじゃない!初めてでしょ!でも嘗ての英雄の一人『姫将軍』と呼ばわるお母様の実力には興味がある。


 「まぁ、お母様。お手柔らかにお願いしますわ」


 練習用の剣を手に取り母娘で対峙した。




▽▲▽▲▽



 ボロボロである、何とか地に膝を突くことは無かったけど、ドレスが足に絡まって!なんて言い訳は出来ない。お母様もドレス姿で、体格差はあるとはいえしばらく弄ばれるように何とか打ち合った後、懐に入られ首元に剣をそえられること5回(実戦だったら確実に死んでるよ)。身体が重くて降参した。


 「まぁ、中々頑張った方ね」


 お母様が涼しい顔で評価を下した。周囲に転がってた護衛騎士達は1~3回で打ちのめされたと聞いても何の慰めにもならない。中には隊長も混ざっていたけど。やっぱりお母様は規格外(チート)だった。でも戦場に出たらこれくらい強く無いと生き残れないのか、とも思った。それにしてもお母様はいつ鍛錬を?


 「ではマリ、次は汗を流しに行きましょう」


 はぁ?お母様お手て繋いでこれから公園にでも行くみたいに何処に連れて行くんですか?


 呆然とする私が連れて行かれたのは大浴場だった。

 大理石の広大な部屋というより空間はどこか神殿のような作りで脱衣所はサロンのよう。

 浴場(バスフロア)も広くシャワーもあり、浴槽(バスタブ)は泳げる広さで温泉掛け流し。低温、高温、冷水(これは円形で小さめ)、入ると森の香りがするミストサウナ、まるでスーパー銭湯を貸し切るような贅沢空間である。

 我が家はどんだけ風呂好きなんだろう。

 もちろん私も使ってる。当然いつもは1人だ。美の追求をしてくれる専属の美容担当侍女(エステティシャン)が居る以外は。お母様が一年のほとんどを領地で暮らしたがるのも、皇都の煩わしさより領地の快適さから離れられないからだろうと思う。


 脱衣所でドレスなどの脱衣、ここは普通なら侍女にお任せする所だが、人払いされているのか誰も居ない。私だけなら良いんですよ、でも普通の貴族女性はドレスを脱ぐだけでも難儀するから手伝いが必要なのに、、私よりもお母様の方が早く脱いで「先に入ってるわよ」って浴場に入って行った。お姫様育ちのハズでは……。


 何だか普通の、日本の母娘みたいに背中流しあったり、湯に入りながら学園の話を根掘り葉掘り聞かれ、特にどこの家のご子息がかっこいいのか聞いて来たり(女子トーク?)一応婚約者が居るんだけどイケメン談義は別なのかしら、とりあえず殿下とは視線も合わせない仲だと正直に言っておいた。

 お風呂上がりはしっかり美容担当が待ち構えていて、これから舞踏会でもあるのかってくらいぴかぴかに手入れされる。私だけの時は避けてるんだけど、お母様に鍛えられて筋肉痛になりかけてたからマッサージが極上で眠りそうになったわ。ついでにヘッドマッサージも軽く教えてやってもらった。髪が長いと頭皮が疲れるの。そしてお母様の私室で軽くお茶して、そのままお母様と一緒に眠った。

 なにこれ庶民家庭に近い母娘の距離感よね。だって私まだ十二歳ですもん。急に距離縮められて戸惑いもあったけど、悪く無いなぁとうとうと。


 前世では一軒家だったけど、和室に布団並べて敷いて家族みんなで並んで寝てたなーなんて懐かしくなっちゃった。

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