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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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20. 悪役令嬢、夏休みの思い出

ヒロイン編入前の穏やかな日々です。

書きたいことを思いつくまま書いていたら収拾付かなくなり、文章の繋がりが上手く出来なかったところとか有って、落ち着いたら修正するかもしれませんm(__)m


主人公マリノリアの言葉遣いが安定しないのは仕様です。ご令嬢仕様の時にボロが出ないことを祈るのみ…

 旅程は順調に進み、日がだいぶ傾いて来た頃に領地の本宅に帰宅出来た。

 ずっと領地(ここ)で暮らして来たから三ヶ月ぶりの我が家が懐かしく感じる。


 寝室に入ってベッドにダイブ、は我慢した。人前ではしたない真似は出来ない。

 先に汗を流したいけど、夕食までの時間を考えたら先にお茶して小腹を満たしたほうがいいかしら?


 「お茶と甘いお菓子を少しだけ食べたいわ」


 近くに控えていた侍女にお願いしてソファーに深く腰掛けた、お客様がいるわけじゃないから少し体勢崩すのは許して欲しい。

 ソファーでゆっくりくつろぐと、馬車での旅の疲れがどっと出て来た。

 するとすぐに紅茶とアイスクリームと薄焼きのビスケットを持って来てくれた。もう少しで居眠りしてしまいそうだったからちょうど良かった!


 「ありがとう、ケイナ」


 彼女は通いで私の身の回りの世話をしてくれている、騎士爵家の四女で見習い中だ。本人は終身侍女を希望しているらしいけど、私付きのままでその判断は将来の立場に関わるから、通いにして貰っているの。丁度通える範囲内に彼女の家の別荘があって良かった。日本人形のような漆黒の癖の全くないストレートの髪が神秘的な美人で、終身侍女なんて勿体無いと思うのだけど、本人の気持ちと家庭の事情に踏み入るのは良くないよね。ジオラ騎士爵家はお子様は多いけれど、全員ご夫人のお子様なんですって!家庭環境に心配があるとしたら金銭面かも知れないわね。


 アイスクリームがめちゃくちゃ美味しい!


 「ん~~~~っ!冷たくて甘くて美味しい!これは苺ね、春先に沢山作り置きしてくれたのかしら?ベリーミックスソースとの相性も抜群だわ、バニラにはレモンピールを少し混ぜてるのかしら?爽やかな風味でいいわ」

 「料理長が大変喜びになります」

 「ええ、ぜひ伝えておいてちょうだい。それにしても暖炉の前で食べるのも至福だけど、やっぱり夏のアイスクリームは格別ね!」


 ちなみにアイスクリームは我が家でしか食べられない。一応門外不出のレシピにはなっているからだ。

 果実を食べやすい大きさに飾り切りなどしてそのまま凍らせる氷菓子は、上流階級の夏の高級デザートなの。


 まぁどれも冷凍庫に準ずる魔術道具が必要だから普及しないよね、高度かつ継続的に効力を発揮させる魔術道具はバカ高い。

 氷魔法は水魔法の派生魔法の内でも上位魔法に当たり、付与魔法となると更に使用者が希少だから対価が高くなるのも当然なんだけど。

 それだけに店を開けるまでの支度金がかかり過ぎて商売にならないと思うの。道楽なら良いんだけどね。

 もちろんうちには有りますよ。作ろうと思えば私も作れるけど、先ず冷凍庫の形を作らないといけないのよね。


 唐突だけど、前世ではキャリアウーマンに憧れてた、良いよねデキル女。

 この世界はそこそこ平和で都合よく便利なところはあるけど、前世の知識で商売する余地はあると思うのよ。

 でも商会の立ち上げをするとなると、小さな屋台のような店をだすのでも商会ギルドへの登録が義務付けられている。

 昔から我が家でご贔屓にしているお抱え商会との折衝とか面倒だなぁってのと、従業員の手配とか、誰が代表するのって、だって私は十四歳の間に幽閉コースだよ。


 嫌だな、茉莉奈の記憶を思い出してからネガティブなことばかり考えてる。”悪役令嬢断罪イベント”から逃げることばかりを考えているからどうしても後ろ向き思考に嵌りやすい。まだヒロインが現れる前なんだから、もっと今を楽しまなくちゃ。とは思うんだけどね。


 美味しいもの食べて、ゆっくりお風呂にマッサージのリラックス天国(フルコース)を堪能して旅の疲れを癒した。




▽▲▽▲▽



ぷか~……


 私は湖でぷかぷか浮いていた。ここは領内にある休火山アトランタ、の、元火口に出来た塩水湖。

 前世にも死海って有名な塩湖あったな、一度行ってみたいと思ってた……。


(ありえない)


 何がありえないかと言うと、このお母様発案(プロデュース)スイムドレス(水着)!布面積少なっ!

 下は両脇を紐で結ぶタイプのビキニスタイルのパンツ、上は形はチューブトップのようなビスチェタイプでおへそが見えてる。物自体はしっかりした作りで透けてはいない。

 が、庶民が野外浴場(露天風呂)で着るとされる浴着でも胸元からひざ下まで隠れる袖なしのワンピースである、もちろん透けない。

 そして極め付けはここが()()であると言うことだ。


 令嬢としてあるまじき行いだと思いますわお母様。いくら頂上付近を我が家で貸切にしているからってヘソ出しなんて許されないと思うのよ。それをこの国トップクラスの淑女二人(と、侍女二人)でって、最先端行き過ぎでしょー。

 こんな過去バナ、ゲームシナリオにも設定集にも乙ゲ雑誌のネタバレ記事にも無かったよ。”悪役令嬢”のお母様ぶっ飛び過ぎ。


 ここにはお父様、お母様、使用人と護衛合わせて二十人で来ているけど、お父様達は山の七合目辺りにある山小屋と呼ぶには豪華な()()ログハウスでお留守番。のちの交代で塩水湖を楽しむらしいけど。


 「マリったらどうしたの?お口開きっぱなしよ」

 「(はっ!)…………すみません、ここが現実と思えなくてぼんやりしていましたわ(うっかり本音出たよ)」

 「ふふっ、絶景でしょう?でも水飲んだり、顔つけて水中を見たりしちゃダメよ、泳ぐのではなく浮いて楽しむだけね。」

 「気をつけますわ……」

 「今度は泳げる海の方に行きましょう。少し向こうの浜辺で泥パックも出来るみたいよ。少し温かくて温泉効果もあるんですって、お肌がツルツルになるのよ」


 えぇ~っ、なんでもアリだなこの世界!どこかに温泉卵出来そうな温度の源泉湧いてる所無いのかな。


 ここはまだ観光地化されてない秘境ってとこ。お母様発案のサプライズ旅行らしい。所謂(いわゆる)『夏休みの思い出』みたいな……。


 私から言わせればバカップル旅行に付き合わされてる感がひしひしなんですけど。

 山小屋もわざわざ今回のために建てたというから驚きだ。流石公爵家ね、規模(スケール)が違うわ。


 ゲームシナリオでは、悪役令嬢(マリノリア)の家庭は乾き切ってそうに淡々と描かれていたけど、両親は互いの家の猛反対を押し切っての世紀の恋愛結婚したバカップルだし(図らずも学園の友人達から聞いてしまった、バカップルとは言ってなかったけど)。

 亭主関白っぽく描かれてたお父様は、恐妻家でこそ無いけどお母様の尻に敷か、、甘いし。

 お母様はこの通り陽気で(腹黒そうだけど)基本はのんびり。

 貴族社会のセオリーで子育ては他人(ひと)任せだったけど、決して子供に対して愛情が無いわけでも無関心でも無かったのだ。


 前にも思ったこと有ったけど何か変だ。シナリオ狂ってるの?それとも今回のヒロインは皇太子ルートじゃないのが決定しているとか?

 あーそれでも婚約破棄と幽閉はセットだったな。皇太子はヒロイン一筋だったし、幽閉環境は悪そうに描かれてるか放って置かれてた。


 「リリアーナ様、お嬢様、そろそろお上りになって水分補給なさってくださいませ」

 「はぁーい」


 おおっと、考えに耽って干からびたら大変。浮いて楽しむのはおしまいにして塩水湖から上がった。

 冷えた果実水が美味しい、パラソル付きのティーテーブルの席に座って、四人でたっぷり水分補給してから泥パックをゆっくり堪能し、山小屋に戻る前に着替え用の小屋に行こうとしたが、侍女長の手元が目に留まった。


 「ライラ、その網はどうしたの?」


 ライラ侍女長は茶色の髪で桃色の瞳、二十年ほど前に没落した子爵家の元ご令嬢。三十二歳だけどかなり若く見える。幼い感じではなくキレイなお姉さん系で上品。それに、動きに隙がなく綺麗。なのにその手にはタモ網とバケツを持っていた。


 「すぐ近くにある湧き水の出ている辺りに、海老が生息しておりますので獲ってまいりました」


 ほー、海老ですか。いつの間に獲りに行ったんだろう?見せて貰ったら寿司ネタにちょうど良さそうな大きさの海老が沢山入っていた。なんでもここにしか生息していないらしい。えっ、食べられるんだよね?

 食料は持参して来ていたはずだけど、現地調達も有りなのかとちょっと考えた。なかなかワイルドな旅行ですね。


 新鮮な海老。出来たらお刺身で食べたいけどわさびが無い、新鮮だから薬味無しでも良いかな?でもお醤油も無い。お醤油は大豆があれば作れたっけ、なんて考えてしまったけど、すぐに用意出来るものでもないよね。

 ここは料理人達に任せてカルパッチョでいただいた。

 美味しい夕食をいただきながら、ふと気になったことを聞いてみた。


 「お母様は泳げますの?」


 愚問だ、帝立学園に水泳の授業なんて無い。第一プールが無い。美しい海岸はあるけど、そもそもご令嬢は泳がない。生足を晒す事すら無い。

 泳ぐ文化が無いわけではなく、この帝国は南側と東側が海に接しているので海軍を有しているから、所属の騎士は少なくとも泳げるはずだし、漁師とか水辺で生計を立てている人は泳げる。ただ淑女の嗜みに水泳が入っていないだけなの。


 「もちろん、泳げるわよ。皇宮内に大きな水槽があってね、本当は騎士達の訓練用なのだけど、たまに貸し切って訓練していたのよ」


 ええっ!皇宮内にプールって何それ聞いてない。

 戦争時ちょうど敵国を押し返し始めた頃に、止めとばかりに前線に出て大暴れしたせいで姫将軍なんて呼ばれているけど、陸軍騎士と鍛錬積んだだけだよね?

 お母様、それは本当に訓練だったの?ただの水遊びだったのでは……。


 「あら、信じてなさそうね。今度は海辺を貸し切って泳ぎに行きましょう!」


 表情に出てたかしら?いや、この世界の常識的に淑女が泳げるとは思わないでしょ。


 「お母様、それは無理があるのではありませんか?」


 仮に海辺の別荘を所有している貴族から借りるにしても、完全なビーチ貸切なんて難易度高いと思う。


 「そんなことないわ、でも無人島を買った方が結界張るだけでいけそうね」


 わざわざ買うんかーい!普通に無人島に遊びに行けば良いんじゃない?結界張れば見えなく出来るし誰も入れないよ!?たぶんね。


 「帝国内の無人島は直轄領扱いだから、買うも借りるも面倒ごとだがな」

 「あらやだ、そうだったわね。残念だわ」


 お母様意外とあっさり諦めたわ。皇家が関わると聞いた途端引きましたよね?

 お父様も、面倒って……今回の旅行の準備もかなり面倒で大変だったと思うけど、皇家が関わる面倒には関わりたくないのね。



 ちなみに私は泳げるはず。

 前世ではプールに入ると風邪引いて熱出して二、三日休むから、結局授業に三回しか出られなかったけど25mまでは泳げたの。ターンが出来なかった悔しい思い出ね。

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