第321話 若樹月の収支
静けさの底で。
いくつもの流れが、次の動きを、待っている。
――それは。
止まっているのではなく。
力を、蓄えている、状態なのかもしれない。
若樹月、一日。
評議会の間。
ゴルフが、帳簿を、広げる。
「今月の、収支報告です」
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「収入は」
ゴルフが、順に、読み上げていく。
「引き続き、安定しています」
「支出も、例年通りです」
バルドが、資料に、目を通した。
「弾劾請求の、弁明準備に」
「特別な、費用は」
「かかっていませんね」
「はい」
ゴルフが、答える。
「今のところ、書類の、整理だけで」
「対応できています」
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ドガンが、腕を、組んだ。
「弁明の、資料は」
「概ね、揃った」
「産業省への、届け出の、写し」
「南方調査の、目的書」
「これまでの、経緯を、まとめた、報告書」
ドガンは、一拍、置いた。
「あとは」
「審議の、日程を、待つだけだ」
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バルドが、続けて、口を開く。
「南方からの、定期連絡も」
「届いています」
全員の視線が、集まった。
「扉の、発見以降」
「無理に、開けることはせず」
「慎重に、調査を、続けている、とのことです」
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ヒコは、わずかに、安堵した。
「無理をしていない、ということですね」
「はい」
バルドが、頷く。
「ゼドさん達も」
「ヒコ様の、言葉を」
「覚えていたようです」
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ミルヴァが、報告書に、目を通しながら、言った。
「セドリックの、追跡は」
「王都西門付近の、目撃情報以降」
「動きが、止まっている」
「消えた、というより」
「潜んでいる、と考えた方がいい」
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ドガンが、腕を、組んだまま、言った。
「弾劾請求が」
「王都で、進んでいる、この時期に」
「セドリックの、痕跡が、途絶える」
「偶然、だろうか」
その言葉に、評議会が、わずかに、静まった。
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ミルヴァは、少し、考えてから、答えた。
「断定は、できない」
「だが」
「時期が、重なっているのは」
「気になる」
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バルドが、話を、まとめた。
「今は」
「一つ一つの、動きを」
「注意深く、見守るしか、ありません」
「はい」
ヒコが、頷いた。
「焦らず」
「一つずつ、進めましょう」
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会議の後。
ヒコは、《可視化》で、南方と、王都の方角を、確認した。
南方の流れは、静かに、しかし、着実に、続いている。
王都の流れは、太いまま。
まだ、大きな動きを、見せてはいない。
そして。
その太い流れの中には。
いくつもの、小さな流れが、複雑に、絡み合っていた。
静けさの底で。
何かが、次の動きを、待っている。
その静けさが、いつまで続くのか。
ヒコには、まだ、分からなかった。
第321話 若樹月の収支 了
【次回予告】若樹月・揺れる均衡。
静かだった均衡が、これから、大きく、動く。
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【領地収支・若樹月一日時点】
・所持金:金貨4070枚(+115)
収入内訳
・冒険者固定給 金貨 42枚
・勲爵士給与 金貨 12枚
・外部取引 金貨 104枚
・ギルド収益 金貨 54枚
合計 金貨 212枚
支出内訳
・幹部級給与 金貨 24枚
・準幹部級給与 金貨 9枚
・一般職給与 金貨 40枚
・部門運営費 金貨 24枚
合計 金貨 97枚
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【発展進捗・若樹月一日時点】
・防衛:122%(変動なし)
・食料:101%(変動なし)
・水 :100%(変動なし)
・住居:90%(変動なし)
・インフラ:105%(変動なし)




