第300話 収穫月の収支
実りとは、積み上げた日々が、ようやく報われる瞬間だ。
種を、蒔かなければ、実りは、来ない。
――そして、蒔いた種の全てが、実るとは、限らない。
収穫月、一日。
評議会の間に、月次給与支払いのための、いつもの顔ぶれが、集まっていた。
ゴルフが、帳簿を、卓に、広げる。
「今月の、収支を、まとめました」
外部収入は、着実に、回復を、見せていた。
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ガッツが、住居拡張の、報告を、行った。
「住居拡張、第二段階。家族向け、住宅区。着工した」
「第一段階の、経験が、活きている。工期は、前より、短縮できる、見込みだ」
アーヴィンが、頷いた。
「団員の家族も、これで、少しずつ、招けるように、なる」
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ドガンが、続けて、報告した。
「ヴァンデル男爵領との取引契約を、二年目も更新した」
「規模も、前年より拡大している」
ゴルフが、資料を、指し示した。
「安定した、取引先です。この関係は、これからも、大事に、していきたいですね」
ドガンが、頷いた。
「向こうも、こちらを、信頼している。噂や、模倣程度じゃ、揺るがない、関係だ」
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報告が、一区切りついたところで、バルドが、一通の、手紙を、取り出した。
「南方から、ゼドの、続報が、届いています」
バルドが、読み上げる。
「『認識制御の、発生源が、地図欠損の、場所から、さらに、深い位置に、ある可能性が、あります』」
その、一文に、評議会が、静まった。
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アーヴィンが、腕を、組んだ。
「さらに、深い、位置か」
「一度目の、調査だけでは、届かなかった、ということか」
バルドが、頷いた。
「ゼドさんの、見立てでは、そうです」
「次の、調査隊を、どうするか」
ドガンが、聞いた。
「そろそろ、決める、時期だと、思う」
評議会が、次の、調査隊の、編成について、議論を、始めた。
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その、議論の中、サヤが、静かに、手を、挙げた。
「一つ、言わせてください」
全員の、視線が、サヤに、集まった。
「……「私が、行かなければ、ならないかもしれません」
その、一言に、評議会の、空気が、少し、変わった。
「サヤさんが、直接、ですか」
ヒコが、聞いた。
「はい」
サヤが、頷いた。
「ゼドさんの、報告を、聞く限り、これは、《可視化》に、直結する、問題です」
「私が、現地で、直接、確認しなければ、分からないことが、あると、思います」
「この問題は、私自身の問題でもあります」
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ヒコは、しばらく、考え込んだ。
「危険は、伴います」
「分かっています」
サヤが、答えた。
「それでも、いずれ、誰かが、行かなければ、なりません」
「そのとき、一番、適しているのは、私だと、思います」
その、言葉に、評議会は、しばらく、沈黙した。
ヒコが、静かに、言った。
「今日、決めることでは、ありません」
「ただし、その、可能性を、含めて、次の、調査隊の、計画を、進めます」
サヤが、頷いた。
「ありがとう、ございます」
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会議のあと、ゴルフが、最終的な、数字を、まとめていた。
収穫月の、名の通り、この月は、これまでの、積み上げが、形になった、月だった。
積み上げてきたものは、確かに、実り始めている。
だが、それは、新しい戦いの、始まりでも、あった。
第300話 収穫月の収支 了
【次回予告】紅葉月が来た。
落ち着いた瞬間こそ、何かが、動き始めている。
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【領地収支・収穫月一日時点】
・所持金:金貨3342枚(+117)
収入内訳
・冒険者固定給 金貨 42枚
・勲爵士給与 金貨 12枚
・外部取引 金貨 102枚
・ギルド収益 金貨 58枚
合計 金貨 214枚
支出内訳
・幹部級給与 金貨 24枚
・準幹部級給与 金貨 9枚
・一般職給与 金貨 40枚
・部門運営費 金貨 24枚
合計 金貨 97枚
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【発展進捗・第300話時点】
・防衛:122%(変動なし)
・食料:101%(変動なし)
・水 :100%(変動なし)
・住居:89%(+1・住居拡張第二段階着工)
・インフラ:105%(変動なし)




