悪役令嬢の娘、母を知る
悪役令嬢話は結構読みます。
でも私が書くとなんかちがう感じになった。おかしい。
稀代の悪役令嬢といえば?と貴族街で聞けば、10人中7人はこう答える。
「それは、キャロライン・フォンバーテンだろう」と。
キャロライン・フォンバーテンは、現在の第二王子であるヘラルド殿下の元婚約者で、フォンバーテン公爵家の一人娘だった。
曰く、我儘高慢なお嬢様。
曰く、全ての人を下に見ていた。
曰く、世界の中心は自分だと豪語していた…etc
そんな彼女も、盛者必衰と言わんばかりに終わりが来る。
最初は第二王子が真実の愛に目覚めたこと、らしい。
高慢な婚約者に辟易していた第二王子は、ある日学園で一輪の薔薇に出会う。
それが、歌劇にもなっていて、かの有名なカトリーヌ・シュレーン男爵令嬢である。
二人は身分を超えて心を通わせるが、それをキャロライン嬢が面白く思うわけもなく。
カトリーヌ嬢に対して様々な嫌がらせをしたらしい。
しかし二人は愛の力でそれらを乗り切り、最後にはキャロラインとその実家の悪事を暴き罪に問い、そして結ばれるシンデレラストーリー。
おっと、途中から話が変わってしまった。
つまり、ここ十数年内の出来事で、かつ古くから続いていたフォンバーテン公爵家をお取り潰しにするキッカケを作ったキャロライン・フォンバーテンは、国の多くの人に知られる『悪役令嬢』なのだ。
まぁ。
私のお母様が、その『キャロライン・フォンバーテン』その人なのだが。
私自身、その悪役令嬢の娘だと知ったのはつい先日だ。
12歳になり、魔力があるため、来年から王立学園に通うことになった私に、おじいちゃんが大切な話があると切り出したのだ。
正直、お金ないからやっぱ学校行くのやめない?とか言うのかと思った。ごめんおじいちゃん。
最初聞いた時、真っ先におじいちゃんの認知症を疑った。殴られた。
わしはまだ現役じゃ!!!と言って盛大に殴ってくれた。曰く、愛の鞭。
しかし、証拠の品として、キャロライン・フォンバーテンの自筆出産証明書や、私の身分証、それにフォンバーテン公爵家の家紋入りの指輪(おじいちゃん曰く当主の指輪らしい)を出されたら信じるしかなくなった。
しかもおじいちゃんが、ずっと独身で現在も童貞賢者と激白するから信じるしかなくなった。
そだね…童貞じゃ孫できないね…。
かと言って、特に変わることもない。
おじいちゃんは私を孫だと言ってくれるし、私も貴族になりたいとも思わないし。
何よりお母さん死んじゃってるしね!どっちにしろ会えないんだから意味なし!
と言うわけで、悪役令嬢の娘は庶民として元気に生きております!
本人あまり気にしてないです。
一度も親の顔を見たことがないから。
おじいさんは現役賢者。




