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エルシナスヴァリア〜最強の頂へ〜  作者: 一木
第二章 遥かなる海を渡って
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第十九話 夢があるんだ


めっちゃ美味かった。

身が引き締まってて最高なんだわ。


濃い味だったからなぁ。

オレ薄いより濃いが好きだからなぁ。


その上、自分で獲った魚ってこともあって美味しさ爆増だ。


とにかく、五秒で目の前にあった飯が無くなった。



この三日間住んでいる、郊外に作った仮拠点という名のテントに戻る帰り道。

もう辺りはすっかり夜だ。


ま、この都市は夜でも光り輝いてんだけどな。

電気って偉大だ。


右手には、本日の仕事の成果。

日払いだから、即貰えるのが良い点だぜ。


さぁーて、今日の配当は……


うん、大丈夫そうだ!

なんせ大物だったからな。


一週間は贅沢できるかもな。

何しよっかな〜。


……じゃねぇよ!

大事なこと忘れてたわ。


身分証の発行!

オレ今持ってねぇんだよ!


だから野宿してんだ。

なんなら野宿も結構スレスレだからな。


いきなり前科持ちにはなりたかねぇよ。


「あれ?ジオ?そっちは帰り道とは反対じゃ…」


「悪いアイシャ、二人にも伝えといてくれ。ちょっと遅れるってさ!」



一旦別れる。


さっさと登録しに行こう。

役所ってどこにあるんだ?


整備されすぎてんのも難点って感じか。

目印が似たり寄ったりだから何処がどこか分からん。


……ん?あの看板、案内か?

あっち行ってみるか。



――――――――――――



綺麗な室内だな。

床は木材でできてんのか?

この都市ってやたらとレンガ使ってるよな。

木製のもの久しぶりに見た。


…ああ、潮風か。

あの海、潮風強いもんな。


「…こほん。こんばんは。どのような要件でしょうか?」


受付ってどの星もおんなじ様な格好してんのかな。

全部黒のスーツだな。


「えっと、身分証の発行はどこでやっていますか?」


「でしたら、二階の窓口で担当しております。あちらにある階段をご利用ください。」


「ありがとうございます!」


いやぁ、敬語に口出してくるカイが居ないだけでこんなスムーズに行くなんてなぁ!


発行料足りるかな。

しっかし、どこで無くしたんだか……



オーケンでの旅を思い返していると、

窓口に着いていた。


「氏名、性別、種族、年齢、住所、所属をご記名ください。」


そーいえば十五歳で成人したての時もこうやって色んな項目書いてたな。


ジオ・エルデライト、男。

名前と性別はよし。


…種族って何だ?

人間…で良いんだよな?


年齢よし。変わらず十七歳。

あと四ヶ月で十八だけどな。


じゅ、住所?

あの村、なんて言うんだ??


待てよ?今のオレはただの旅人。

じゃあ不定、でいっか!


所属ぅ〜?

何がある?

ミラ・グランドーレの弟子?

それは所属ではない気がする…

今世話になってるで言ったら親方の漁業団体か?

いやでも、あと数ヶ月もしたら次の星行ってるだろうし……

転々とするたびに身分証更新するのは面倒くさいな…


……そうだ。

所属が無いなら……


作れば良い。

作ろう。


オレとカイ、アイシャ、あとはカイラもか?

まああいつらと一緒に、

オレらだけの団体を作れば良いんだ。


でも新しく作るってどうすんだ?


「すみません、所属って、新しく立ち上げたい時ってどんな手続きが要りますか?」


「新しく、ですか?その場合、ある程度の実績を上げ、それが認められる必要があります。どの様な団体の創立をご希望ですか?」


どんな団体…か…

皆んな楽しくできれば良いな…

そもそもオレらって住所不定の放浪者だとか旅人だとか、そんなところだよな。


じゃあ旅する者の団ってことで……


「…旅団ですかね?」


「旅団、ですか?数千人規模の団体となると…」


す、数千人…?

何を言っているんだ?


「ちょ、待ってください。誤解してませんか?想像しているようなものでは無いと思います。あくまで楽しく旅をするちっちゃい団体なんですけど…」


「…失礼いたしました。では、規模としては数人〜十数人、ということですね。でしたら、実績としましては、三つほど主要なものを挙げていただく必要があります。」


結構トントン拍子に進んでいくな。

良いね、ちょっと楽しい。


しっかし、実績ってのが難しいところだな。

オーケンでの実績って有効かな?


「えっと、二つ思いつくものがあるんですけど…これって証明になりますか?」


オレはそうやって、一応貰っておいた依頼完了の紙を差し出した。


「拝見いたします。……オーケンの町での依頼ですね。この規模であれば、実績として認められるかと。」


おお、シーライズで後一個こなせば晴れて結成か。

グレートダークとキタン山脈、しっかり達成しておいて良かった〜!!


「後一つってどうすれば良いですかね?達成するまで発行はお預けですか?」


「いえ、仮証明書を発行いたします。期限の一ヶ月間までにもう一つ実績を上げて、正式な登録を完了してください。発行料は現段階での先払いとなります。本登録を完了しなかった場合でも、返金はいたしませんのでご注意ください。」


それなら良かった。

じゃあ金支払って早速依頼こなしますか!


……って、発行料たっか!!

稼ぎの半分消えたぞ!

一回目の発行は父さんに感謝だな!

そんでもう二度と無くさない!!


「手続きは以上となります。ご健闘をお祈りしております。ご利用ありがとうございました。」


ふぅ〜、終わった。


帰ろ。



――――――――――――



「おぅしお前ら、今日も疲れたな!」


ふぅ〜、終わった。

あとはこの船で港に帰るだけだ。


漁で生活をつないでいって、なんやかんや一週間が過ぎた。

もうこの仕事も慣れてきたよ。

親方からはまだ新入り扱いだけどな。


いや、それもそうか。

漁に人生捧げた人たちが集まるカッケェ集団だもんな。

ほんの一週間かじったオレらが見習いから昇格なんてある訳ない。


「さて、今日は一つ報告があるんだ。何だか分かるか?」


そう言って親方は、オレらと船員に問いかける。


「実はデカい夢があるってことは、お前らには話したよな?明日は俺の誕生日だ。どういうことか、分かるよな?」


ん?

何の事だろうか。


「はいは〜い、夢ってなんすか〜?」


カイラが聞いてみる。


「おっと、そうだった。新入りには言ってなかったな。俺にはな、今の今まで、一度も釣ったことがない、因縁の相手がいるんだ。」


「因縁の…相手……!?」


思わず声出た。

でも興奮すること言うじゃん?


「ああ。あの海の向こうを見ろ。綺麗な水平線だよな。俺はガキの頃、事故に遭ったことがあるんだ。」


気になるじゃねぇか!

どんな事故だ?


「両親と共に、限界に挑んだんだ。あの水平線の先の先、最奥に辿り着こうってな。伝説があるんだ。遥か海を超えた先にある、イデアルブルームって島がよ。当時そこそこ力のあった漁団を持っていた俺の両親は、歴史を見ても上位に入るくらいの大規模な船団を用意して、いよいよ伝説を拝もうと海に乗り出したのさ。…だが、俺はその道中、()()()に出くわした。」


イデアルブルーム…!!

うおお、響きからして伝説的じゃねぇか!?

あいつ、ってのも何だ?



「…海王だよ。あれは、まさしく海の怪物だ。沈没したのさ。俺の両親も成すすべなく、そこでくたばっちまった。俺以外のやつらも、全滅さ。何で俺は助かったかって?記憶がほとんどないんだが……イデアルブルームの、島民だったか?そいつに、恐らく助けられたのさ。目が覚めた時には、港で空を仰いでいたよ。」


……なるほど。

大体把握した。


想像よりも遥かに辛そうな経験だ。

だけど同時に……


「どうだお前ら。…ワクワクするだろ。」


親方の雰囲気がそうさせる。

両親の死を、海王への怒り、イデアルブルームへの情熱に変えている。

決して、悲しみは見せることはない。


そんな背中に、この場の誰もが奮い立たされる。


「まとめるぞ。俺の夢は……海王の一本釣り。そして…その魚肉使って、あの島のやつらと朝まで飲み明かすことだ!どうだ、馬鹿らしいだろ?」


ああ、確かにな…


「親方。オレらがその夢を馬鹿らしいと感じるなんて…本気で思ってるんですか!?」


その前提が、最高に馬鹿らしいぞ!!


「一緒にやりましょう!打倒海王!!」


親方の夢は、オレらで叶えれば良い。


本音か?


実績だ。

海王討伐なんて…この上ない実績だろ?


「言うじゃねぇか!新入りのくせによぉ!」


「いつまでも新入り扱いしないでくださいよ!戦闘員としては、もう立派な一員なんですから!!!」


あとは楽しむだけだ!


と思っていたら、カイが口を挟む。


「おい、やっぱりオマエに敬語は似合わない。この場くらいタメ使え。」


こいつはまた……

ああ、確かにな!


「しゃあおらぁ!!親方!!そして皆んな!!大船に乗ったつもりで、行くぞぉぉぉ!!!!」


「「「ウオオオォォォ!!!!」」」


「おぅし、お前ら!!戦闘員の新入りどもが入ったこのタイミング!!逃すわけにはいかんよなぁ!!明日

、決行だ!!!今日はしっかり休めよぉ!!」


最高じゃねぇか!!

明日の親方の誕生日、

海王の刺身をプレゼントしてやろうじゃねぇか!!!








「……これから物理的にも大船に乗るっていう…ダジャレだったりしないよね……?」


なんてアイシャが言うのが聞こえた。










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