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エルシナスヴァリア〜最強の頂へ〜  作者: 一木
第二章 遥かなる海を渡って
18/21

第十七話 調子乗ってました!


「……ろ…オ…」


あれ…

なんか聞こえたぞ。


「お…ろジオ…」


どっかの怨霊が手招きでもしてんのか?


「起きろジオ!」


「うぁい!!」


うるさっ!

めっちゃ変な声出たぞ。



…カイに、アイシャ。

良かった、オレ死んでない。


……ん?

そっちに居るのは…


「すいませんでした!調子乗ってました〜!!」


さっきの女の人じゃん!

なんか縄で捕縛されてるし!


「何があった!」


「えっと、ジオが気絶した後、隙を見せたこの人の後頭部をカイが引っ叩いた。」


「ヒェッ…」


マジ容赦ねぇなカイ…


でもこの人強いんだろうな。

だってこの人のスピードを捉えられなかった。


まあ、この有様なわけだけど…


…そうだ、洞察力。


白髪でレイヤーのある毛のはねたショートヘア、

オレンジ強めの金眼が主な外見か。

身長は165前後ってとこか?

アイシャより少し低いくらいだ。


深緑色の短めのレザーベスト、

下に七分袖のベージュのシャツ。

はだけてんのを前で結んでるな。


目立つ武器は腰に刺してある二本の短剣か。

歪な形してんなぁ。


黒のダメージデニムのショートパンツを履いている。


やっぱ靴は革のブーツか。

人気だよなこれ。


所々アクセサリー付いてんな。

首輪とか二つ三つあるぞ。


てか、やっぱりジロジロ見てる変態になってんだよな…

ミラ姉よ、あなたの教えはこれで合っているのだろうか……


「もう襲わないので〜!!離してくださ〜い!解いて下さ〜い!」


結構整った気の強い顔立ちしてるけど、

もう面影ないし尊厳すら無い…は言い過ぎか。


見た目からはネコを連想させるなこの人…


「……うーん。どうしようかな…ジオ、あなたはどうしたい?攻撃されたのはジオでしょ?」


「ん、そうだなぁ。まあ、解いてもいいんじゃね?」


「…仕方ないな。次やったら今度は───」


「やめておけカイ!」


…これ、かなり複雑に結ばれてんな。

どっちがやったんだこれ。

もういいや。切ってしまえ。

勝手にこの人の短剣を拝借することにはなるが…


   ザクッ!!


「はっはっは!!!甘いよあんたら!!素直に解くなんてさ!!」


…まぁそうだよな。

そうなるか。


また飛びかかってきたけど…


チラッと、カイとその表情を見る。



…ああ…あの人終わった……


「次やったら殺すって言ったよな?」


「ほぇ?言ってな───」



   ボガンッ!!!




うわっ、痛そ。

まあ先に襲ってきたのそっちだし…許してくれ。



――――――――――――



「ほら、さっさと歩け。」


「うわーん!!捕まった〜!!もうダメだ〜!」


手を前で縛られて、その縄をカイが持っている。

もう身動きできないだろうな。


たんこぶ一つで済んでるなんて大したもんだよ。


「すいませ〜ん!あたしこれからどうなるんすか〜!!」


「チンピラ海賊がいると言って突き出す。都市に着いたらオマエは牢屋行きだ。」


「許してください!!」


「無理だ。」


「ぐわぁぁぁ!」


なんか愉快な人だな意外と。

めっちゃ落ち込むじゃん。

表情の起伏激しいなぁおい。


不貞腐れてんなぁ顔が。

一瞬で敬語に変わって下手に出るし。


そんなこと思っていたら、

なんかオレに話しかけてきた。


「あ、あの、すんません、あの人の名前ってなんて言うんすか?」


目線の先にはカイがいる。

でもなんでそんなことを聞くんだ?


「何で急にそんなこと聞くんだ?あいつはカイだよ。養子だから、姓は二つあったりする。」


「カイ…!?え、カイ、って言うんすね…ふーん……そっすか……」


どんな反応だよそれ。

やけに顔赤いじゃん。

熱でも持ってんじゃねぇの?


それともカイに頭やられて異常がおこったとか。


でも妙にソワソワしてんだよなぁ。

縄で結ばれた手首の先では、指をクルクルさせてるし。


………?


おい、待てよ。

そんなことあるか……?


「…ちょっと待てよ。逆におまえ、名前なんて言うんだ?」


「あ、あたし?あたしはカイラです……」


カイ、ラ……


「じゃあカイラ…おまえまさか…カイのことが───」


「ぎゃあぁぁ!!言わないで〜!自分でもよく分かって無いんすよ〜!!」


「オマエら、うるさい。」


「ひゃ、ひゃい!すいませんっ!!」


泣いてんのか嬉しがってんのかよく分からん表情だな!


てかガチか!?

完全にノックアウトじゃん!


こいつのどこが良かったって言うんだ!?

オレには分からん!


「…嘘でしょ……ほんとに?」


アイシャも言ってるぞ!

見ろあの顔!

見たこともないくらい青ざめてるぞ!!


だって碌な態度取らないような野郎だぞ!?

良いとこなんて見せかけのクールと顔だけだろ!!


金だって浪費すんだぞ!!


(どこをどう好きになったんだおまえ!?)


カイには聞こえないくらいの声で…


(言わせるんすか!?えっと、えーっと……つ、冷たくて強いとこ…とか……?)


こ、こいつ、あんな第一印象残しておいて、

めっちゃM…ってこと…?


(……何でよりにもよってあいつなんだよ!それだけなら他にもいっぱいいるだろ?)


(うえっ!?そ、それは〜……分かりましたよ言えば良いんでしょ!顔が超タイプでぶっちゃけ一目惚れですっ!!)


(一目惚れって……カイに?そんなことあるの?私には信じられないんだけど……)


(見た瞬間タイプだ、ってなって、襲うの気が引けちゃって…そしたらぶっ叩かれました!な、なんか新しい扉開けちゃった気がしますっ!!)


………。

言わなくて良いとこまで言ったなぁ……


まあいっぱい居るからね、人が。

世の中には…


カイ…良かったな…はは…



「もう良いでしょ〜!!離してくださいよぉ〜!」


「ダメだ。」


「あぅ〜…」


なんか見てて面白くなってきたわもはや。

傑作だぜ。


…待てよ?

こいつそもそも海を渡ってきたんだよな?


「カイラ、おまえ船乗ってたよな。どっから来たんだ?」


期待してるぞ頼む、人の住む場所へ!

連れて行ってくれ!!


「あたし…実は一人で海賊やってて…」


だと思った。


「じゃあまさか…分からないとか?」


アイシャの問いに、カイラはこう答えるしかない。


「うっ…そ、遭難して…運良く三人見つけたと思ったら…遭難仲間だったんすね……」


うーん、考えうる限り最悪を引いてしまった。


そんでオレらが金やら食糧やら持ってると思って襲った…ってことか?


何で遭難しちまうのに一人で海賊やってんだか。


まあ、しゃあない。

遭難したやつらが四人集まって争っても、それこそ終わりだろうしな。


だったらもういっそ、協力してもらおう。


「…じゃあカイ、縄解いてやれよ。」


オレは思った。

四人になればオレが寝れる。


カイラに一日交代で見回り監視を任せよう。


確かに眠いだけだとは言ったけど…

眠いものは眠いんだよ!


「だからダメだって言ってるだろ。また性懲りもなく襲ってくるぞ。」


そんな反応は当然だよなぁ。


だからカイラに聞くのが一番早い。


(だってよカイラ。確かにおまえ、一回解いた後また襲ってきたよな。惚れたやつにそんなことはしないんじゃないのか普通。どうなん?)


(え〜っと…照れ隠し?的な?あは、あはは…)


こいつ…

惚れたってのも嘘じゃねぇだろうな。


……いや、そりゃないか。

顔見りゃ分かる。


「…問題ねぇよカイ!オレが保証する!」


「オマエは信用ならない。」


「良いんじゃないかな?私、そこまで悪い人じゃないように見えるけどな。」


「善悪じゃない。学習しない馬鹿だろこの野郎は。」


ひでぇ…

そんでその言葉に若干嬉しそうなカイラもヤベェ…


全く、毎度説得に時間かかるんだからよ!

早くシーライズ行こうぜ!?




解く解かないは、その後小一時間続いた。




――――――――――――






一週間…経ってしまった…


「ようやくだ……ようやく…見えた……」


海岸を彼方まで渡った。

水用の魔力も切れかけ、

火を起こす体力も無くなり、

歩くのがやっとなその時、


見えた。


何がって?

大型船だよ。

巨大な音を立てて、オレらの進行方向と同じにまっすぐ進んで行った。


オレらもすぐさま後を追った。

余力を振り絞って、砂の上をとにかく走り抜けた。




いつからか、賑わいが聞こえた。

確かに感じる、人の声。



それが指し示すのは……


「…港だ。た、建物が、ある。う、うおおお…!景色が一気に開けたぞ…!!」



建物。

白いレンガが積み重なり、ブロックの隙間が埋められた建築。



海岸は直角まみれで美しく整備されていて、数百台もの小型船がずっと奥まで並んでいる。



内陸ではレンガ製の建物が並ぶ都市の、

ずっと奥底に巨大な円形の施設がある。



もはや壁だ。

あそこで宇宙との海産物貿易をしてるんだな。



平野だから、何処までもならされた街並みが広がっている。



これマジか。

町の規模がオーケンなんて比にならねぇぞ。

まさに都市、だな。



「やっ…やったーー!!!着いたーー!!!」


まずはアイシャが、ぴょんと飛び跳ねる。

天国より嬉しい場所だろうな。


いや、この都市が天国か。


「な…長かった…ほんとにあたしら……よくやったよ……」


出会ったときには既にボロボロだったカイラは、この一週間で更に汚れた。


ちなみにこの一週間でオレはカイラと仲良くなった。

面白いやつだったんだよ。


カイには話しかけられてなかったみたいだけど。

もっとグイッと行かないとダメだと思うよ。

カイなら尚更。


だけどカイも、半分程度は認めてくれたらしい。

突き出すのは勘弁してやる。って言ってたし。


「……。ふぅ……」


そんなカイも、流石に気が抜けた様子。


オレも同じ。


だってよ……!!



「着いたあアァァァァァァ!!!!!!!」



嬉しすぎて叫びたい気分だ!!!!

もう叫んでるけどな!!!!




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