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エルシナスヴァリア〜最強の頂へ〜  作者: 一木
第一章 約束は終わることなく
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第十一話 この時が来た

大剣だ。


錆びた大剣。


この瞬間に作られたかのような新鮮さを持っている周り空間とは、真反対の雰囲気と様相だ。


大剣の台座の更に後ろにも、何かある。


……宝玉だ。

紅の色を放っている。

この部屋の一番奥の壁に、張り付けられている。

埋め込まれているんだ。


何でだ。

実家のような安心感がある。

まるで、長年ここで過ごしたみたいに。


不気味で麗しい雰囲気を持つ、

城の玉座の間とも言えるこの空間で、

オレはその()()()を全身で感じ取っていた。


おかしい。

全部が全部、この場所はボロボロだったはずだ。

なぜここだけ、これだけ綺麗に保たれてるんだ。


それにあの宝玉が気になる。


「おい、あの奥の宝玉ってさ…例の秘宝だったりするか?」


「本当に?それなら約束通り私が貰うけど…大丈夫?」


ああ、確かにそんな約束あったな。


「チッ。とっとと持ってけ。」


カイはまだ納得してないってよ。

良いじゃねぇかよ、秘宝くらい。


「ありがと!これでようやく…かな。」


「…なあ、言いたくないなら良いんだけどさ…やっぱり気になってよ。事情って何があったんだよ。」


「……そうだよね。あなた達のことは完全に信用した訳じゃないけど…山を降りてから…話すよ。」


マジか、ダメ元だったんだけど。

逆に申し訳なさが湧いてきたな…


まあ、話すって言ってくれてるんだから、

聞いてみるか。


「おう、聞かせてくれ。」


アイシャと話が終わって、カイに目をやる。

目が合ったと思えば、詰められた。


「おいジオ、ここは気味が悪い。何かがおかしいしな。早く出るぞ。」


「…そうだな。気になることが多いけど、一旦出るか。ミラ姉に聞けばなんか分かるかもな。」


…どうやって帰るんだ?

とりあえず、来たとこから登っていくか。


……やけに、目が離せないな。

何か、いやな予感がする。


執拗に目線を台座の方向に残した。

若干の無理をして、強引に無視した。


振り返り、出口に歩く。

台座に背を向けて。


当たり前の行動だ。

だが、ここは、常識の通用しない場所。





三人まとめて、引き返そうとしたその時だった。



 ズガンッ!!



突如として体にかかる、直立不可の圧力。

呼吸が消え去る閉塞感。


そして…


体が、脳が、訴えかける。

本能の反応。




――死の恐怖――




「……!!」



声が…出ないっ!!

潰されるッ……!


何が起こったんだ…!!


二人も同じだ!

動けないんだ。


助けは呼べない、

声も消える。

繰り返そうとするたびに、

恐怖のみに支配されて終わる!


……振り返るな。

振り返ることは出来ずとも、

振り返る意志を持つな。


後ろのこの、尋常じゃない気配は…!!


殺…される。


殺されるッ…!!



【その方ら…】



声ッ!?


声なのか!?

脳に直接響いてくる…!!


こんな…心臓を掴まれる様な…!

自分がいかに格下なのかが分からされる!!


ふざけんな!!

こんなの…生物とは思えねぇ…!



【抵抗は…無駄だ…逃れることはできん…】



無理に決まってんだろ!!

どんな姿してやがる!?


人か?化け物か?


どちらもか!?



【この…廃れた記憶の中に…わざわざ入り込んで来た…相応の理由があるのだろう…】



廃れた記憶?

何のことだよ!?



【……その方…顔を見せてみろ…】



誰のことだ…


と思えば、オレの体が引っ張られ…

目の前に立たされる。


念力…?

分からない…!



【………そうか…亡き友よ…我の番が来たようだ…】 


何だ…ッ

こいつ……!


あり得ない…

辺りの空間全てが…歪んでいる!


黒の鎧…?

色が分からない。

黒じゃないのか?

こいつに向かう光は…

嘲笑うかのように虚無に消えている!

見るたびに輪郭が変わる…!!


【試練を授けよう…我に…一つ見舞ってみせろ…】



クソ…

何が何だか知らねぇ…が…

離しやがれっ…


ああクソ…


もう…




意識、が───



【ふむ…まだ…値しないか……?…血も…薄くなったものよ…期待外れだな…】



   あ?


だ ま  て 


聞 てみ りゃ


値し ない だの期待 外れだ の…


意味わかん ねぇんだよ…


ムカつくんだよこの野郎…!!


とっととその手…!!




"どかしやがれッ!!!"




強く意志を放ったその瞬間、

黒の騎士の腕を弾く結果になった。


【……!…良いだろう…資格は…あるようだ…】



「ゲホッ!!ゲホッ、…かはっ……ハッ、ハッ…」


解放…された…


極限の緊張から、無の緩和に向かっていく。

この感覚が、逆に気持ち悪りぃ…



時間にして数十秒、

感覚にして数万年。



もう、二度と経験したくない。


何が起こっていた?

こいつまさか…存在感だけであれだってのか…?


てか、さっきの何だ…?


何故か無性に腹が立って、

居ても立っても居られなくなって、

とにかくぶちまけたくなった。


どかせって、それだけで頭がいっぱいになったその一瞬、こいつの腕が弾かれた。


分からない。


もう、何もかも分かんねぇんだよ!



【もう…其方しか残ってはおらん…だが…我の目的もまた…其方の存在である…剣を取れ…我が見極めてやろう…】



そういって黒の騎士(こいつ)は、

またしても錆びている剣を突き刺し、

抜くように指で示した。


後ろを見ても、入り口で気を失った二人の姿があるだけ。

逃げても…逃げられない。



【わざわざ其方を残したのだ…我の見立てが正しいならば…いよいよ救済が来るということだ…】



「だから…何言ってるか分かんねぇ。けど…さっさと一発ブチかましてすぐ終わらしてやる。」



【似ては…いないようだ…】



「本当に意味わかんねぇんだが…」



こんなの勝てる訳ねぇが…

やるなら少しでも抵抗してやる。


大剣を持っている。

人が二人分くらいの剣身だ…

だがそれは動きが鈍くなるって事だ。


渡された剣はただの片手剣。

手数で攻めるしか…


いやてか、オレは剣術を知らない。

だからやるべきは、

アイシャの様に、併用するスタイル。


オレが攻撃するまで動かないらしい。

随分と舐めてくれるじゃねぇか。


だったらお望み通り…


「一発くらいやがれッ!!」


炎による目眩し。

その間にオレは、背後の死角に回る。


当たる。

自分の気配も最小限に小さくする。


呼吸を小さく、

自分を空気と同じものだと知覚、

魔力も放つな。


選んだのは首への一撃。



薙ぎ払う!!



だが…




剣はすり抜けた。

いや、こいつが速すぎて残像が残った。

オレはそれを斬った。


オレの攻撃は宙を舞った。

そして同じく…



【単純だ…本気で…やっているのか…?】



みぞおちに、強烈な、閃光の打撃が放たれる。

オレ自身も、宙に舞った。


「グホッ、ァ!!」



…ッ、ぐあぁ…!!


やっば…い、

もう、立たねぇ…


折れてる…!

肋骨逝ったぞ…!


マズい…

内臓も傷ついた…


あっけねぇ…死ぬ……



【やれやれ…手間のかかるところは…似てほしくはなかったが…】



その途端、オレは全回復していた。

意味が分からなかった。


「…は?何で…オレを回復したんだ…?」


淡々と、こう答えてきた。



【まだ…終わっていないのだろう…?】



マジで、振り回されすぎている。

何一つ理解できていない。

状況に頭が追いついていない。


大剣持ってるくせに速すぎだろ。

どうなってやがる。


別格すぎる。

そんな奴が、オレに何を期待してるってんだ。


バカにしてんのか?

オレの努力はこんなもんだったのか?


ああ…なんか、もういいわ。

余計なこと考えても、こいつは全部ぶっ壊してくる。


オレの中で、なんか吹っ切れた。


「…ああそうだよ。死にかけるくらいで止められると思うなよ。もう一回だ。」


こいつの正体は目処がついたよ。


英雄なんだろ?

大昔の大剣使い。


気づいたら途端に、興奮してきた。

こんなしょうもねぇオレが英雄と対峙してんだぜ?

単純な自分への怒りより、楽しさが勝つんだ。


そう考えたら、もう待ってられねぇんだよ。


切り替えは早くしないといけない。

追いつかないやつから、死んでいく。


ミラ姉に教わったことだ。



早く次行こうぜ。



修行とも、

地獄とも、

戦いとも、

稽古とも、言える。


次はどう攻めようか…



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