表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルシナスヴァリア〜最強の頂へ〜  作者: 一木
第一章 約束は終わることなく
11/21

第十話 見えてきたのは

まずこのリベンジは、私の誘導から始まる。


『グオオオオオオ!!!』


避ける。

避けるの。


私は今剣を失っているし、炎が効かないのは確認済み。

だから有効な攻撃手段がない。


彼は炎をまとった打撃を使っている。


私もできたらいいんだけど、

式を作るのに時間がかかるし、

第一あれは彼の打撃力に依存しているから私にはできない。


それよりも避けるの。

いつか、()()()は来るから。


今はとにかく…


「あとどれくらいだ。」


彼が言ってきた。


「まだ待って!」


確実に、

避けるの。

集中して。


魔力の流れを読んで、冷静になるのよ。

そうすれば、次にとるべき行動が決まる。


竜の口に、巨大な魔力が集まってきた。


「ブレスが来るよ!」


「ああ、分かってる!」



『グオオオオオォォ!!』



竜のブレスは勢いそのまま、

山の一部を吹き飛ばした。


でも…



避ければ問題ないから。


よし、良い感じ。


再生能力が竜にあるから、尚更一瞬で決めないと。


今のうちに…



「ねぇ……()()()で、…合ってるよね!?」


右からの打撃、空中への翼の旋風。

死角からの尻尾の払いは、彼が対処してくれた。


一番の強敵は、視界の悪さだったりする。

竜が現れてからは吹雪は少なくなったけど、それでも多いことは多い。


寒さは慣れちゃった。

動いてるのもあるし、私が炎を使うのもある。


そんなことを考えて、身を躱しながら、確認を取り合う。

会話が途絶えないように言葉を紡ぐ。


「ああ、確かに…こっちだ。それより、集中しろ。悟られないように…するのも、難しいんだからな!」


巨体からの絶え間ない攻撃に、いら立ちが出始めるころ。


「してるわよ!攻撃だってまだ一撃も貰ってないし。」


竜はブレス以外にも、厄介な攻撃を残してる。

ジオを凍らせた、あの攻撃。


でもそれは、これから彼が何とかしてくれるから、

一旦私は考えなくていい。


次の攻撃が来る。


しっかり捉えて。

魔力の流れも、

体勢と体幹、

重心、筋肉の動きも!


ひたすら避けて、ひたすら待つの!


()()()に行けば、

あとは時間が解決するはずだから!



『グオオオ…』



…!

これは…


「出番だよ!」


「ああうるさい!」


竜の胸元の氷の核が、妖しく光る。

これが、氷塊を飛ばす攻撃の合図らしいね。



でも、この場には彼がいるから。



「砕け散れ!」



炎が煌めく拳が、核に吸い寄せられる。


簡単なこと。

発動される前に、阻止すればいいの。

彼の打撃力なら、十分に破壊できると思うから。



『ガアアァァア!?』

 


そして、苦しく声を上げた竜。

制御を失った、胸元の魔力。

竜が次にとる行動は一つ!


魔力が暴発しないように、排出しないといけない。


それはつまり、

ブレスを吐くことを強制させられる!!


もう氷塊の範囲攻撃はなくなった!

場所も……


()()は、大丈夫ね。


よし、この時が来た!

チャンスは、今しかない!


「今よ!」


一言合図を言うと彼はすぐに動いた。


「オマエが命令するな!分かってる!!」


彼の肉体は鋼みたいだって、

一緒に戦って分かったの。


だから私は…彼を信じることにした。


「次に僕に命令したらオマエをぶっ飛ばす。」


「はいはい、良いから行ってらっしゃい。」


まずはブレスの対処。


「はあッ!!」


彼の拳で、発射される瞬間に、竜の横顔を叩く。

軌道を逸らすの。


でも逸らすだけが目的じゃない。


逸らされたブレスが飛んでいくのは、

遥か山の上。


ここから見上げると、より巨大に感じられるような斜面!

その積雪の真ん中に、ブレスは直撃する!!



そして次の作戦!


今のうちに彼は、ブレスの直後に硬直して大きくあいた口に滑り込み、

竜に食べられる。

自分から体内に入るなんて、大分おかしいよね。


彼には、竜がここから逃げられないように、

体内で暴れまわってもらう。



『グ…ゴ、ガアアアアアア!!!!』



役目が終わった私は、ここから急いで退避する。

成功でいいかな?


山の斜面に目をやる。



竜のもがく姿に爽快感を覚えていたら、

辺り一帯を破壊しつくすかのような振動が響く。




正体は、雪崩。




氷竜さん。


自分で積もらせた雪で……


あなたは死ぬ。



瓦礫までも含む超規模の雪崩は、斜面のすべてを巻き込みさらに加速する。

質量にして…47万トン…は、行くかな?



そして最終段階。

私が必死に誘導し続けた、この場所。


最初にジオが転落した、あのクレーター。



『ギャアアアアァァァ!!!!』



迫りくる雪の大地に、竜は成す術もなく、穴に転がり落ちる。

こうなっちゃえばもう…


助からないでしょ?


潰れちゃえ!!!



――――――――――――



雪崩もおさまって、どうなったかと思えば…

あんなに大きかったクレーターが、すっぽり埋まってる。


彼は無事かな……

流石に無茶を頼みすぎたかも……


体内でのことが終わったら、

感知できるように魔力を放ってほしいとは言っておいたから、

多分見つけられるはず……



……いた。

良かった、生きてた……


謝らないと。

こんな無茶な作戦でごめんって。




「……死ぬかと思ったぞ。」


「えっと……ごめんなさい。」


「…まあいい。それより見ろ。まだ生きてるぞ、この竜。」


「え。ほ、ほんとに?」


内臓を攻撃されて、雪崩に押しつぶされて、まだ生きてるの!?

信じられない…


「えっと…待って、そうなったら……早く終わらせた方が……いい、よね。」


「そうだな。胸元の核が無理やり再生させてるらしい。苦しいだけだろ。」


「…うん、分かった。じゃあ…ね、氷竜。」


むき出しの核を力いっぱいに殴り壊すと、氷竜は呼吸を止めた。


その瞬間、竜は消えた。

いや、消えたというよりは、これは……


「…トカゲ?」


トカゲだ。

手のひらサイズしかない、ただのトカゲに姿を変えてしまった。


「待って、どういうこと?つまり、ただのトカゲが何者かに竜にさせられたってこと?」


「……そういうことになるな、これは。どうなってやがる。」


「分からない…いったい何が───」


その時、地面が沈んだ。


ちょ、ちょっと!

今度は何?


…いや、これは、氷竜由来の雪が、全部溶けてるってこと…?


瞬く間に、山は本来の灰色の山肌を取り戻した。


「…確かに、キタンってこんな山だった。この異常気象は、一匹のトカゲが原因…いや、トカゲを竜に変えたやつのせい、って感じかな。」


「そんなところか。てか、ジオはどうなった。」


「あ、そうだね。急いで戻ろうか。」



――――――――――――



「ええええええ!!!なんだよ!!めっちゃ面白そうじゃねぇか!!くっそー、氷漬けになってなければ…!!」


「あはは…なんか、元気だね。」


ああ、この絶妙なやかましさ。

ジオってほんとに、変な人。


「…心配した僕がバカみたいだ。」


「それは、ジオには言わなくていいの?」


「はあ?僕が、あいつに?ふざけるなよ。」


ふふ。

もう、理解したから。

無駄だよ。


「……じゃあ、()()。私が伝えておくね。」


「絶対にやめろ。あと呼ぶな。」


なんか、カイともうまくやれそうで良かった。


「何だよ二人して!秘密の会話でもしてんのか?あ、もしかして二人って…」


「「有り得ない!!!」」


前言撤回!!


「っはは!冗談だよ。ありがとうな、二人とも。」


「…ああ。」

「当然でしょ。」


もうわかんない。

上手くやれるのかやれないのか。


ほんっとう、変な二人。



 ◇◇◇



オレは、不思議に思うんだ。

この吹雪のやまなかった山は、雪解けを果たした。

だけど、一つだけ、変わらず違和感がある。


この、懐かしさだ。氷竜から感じたものと一緒なんだ。

気になってきた。


「…なあ、二人とも。一回、ついてきてくれないか?」


「何かあったの?」


「いや、そういうわけでもないんだが…気になることがあってな。」


そういって、二人を連れ出した。



一歩。

また一歩。

進むたびに、感覚が強くなる。


魔力とも違うんだ。

何かが、ある。


不思議な力だ。

それには触れられない。

だけど、すげぇ力が溢れる気がすんだ。


そうしているうちに、オレの足は、あるところで止まった。

ここは…


「クレーターだな。おいジオ、何がしたいんだ。」


「ちょっと待ってくれ。」


その一言だけ言って、オレは下に降りていく。

ありえないくらいに感覚が強くなってきた。


「ねえジオ?本当にどうしたの?」


「…()()だ。カイ、ぶち破ってくれ。」


「は?…ふん。」


その拳は、真下に叩きつけられる。

普通なら、そこで終わる。


だけどここには、違う結果が残る。


突き抜けた拳は、地面に穴が開ききって、ようやく戻された。

地下に、空洞があったんだ。


「…え?この地下に…え?なにこれ…宮殿のようで、そうじゃないような…まるで聖域ね……」


そう。

明らかに人工物なんだ。


それで、柱が立ってる。

だけど、ほとんどボロボロだ。


何か、この世のものではないような、そんな感覚だ。

これはまさしく、懐かしさの正体だ。


どういうことなんだよ?


「…ジオ。この空間、魔力がない。ゼロだ。あり得るか?僕はこの空間の存在すら認識できなかった。オマエは、魔力感知も役に立たない状態でどうやってここを見つけたんだ。」


「いやいや、オレが聞きてえよ!なんだよここ!」


「…ここからどうするの?とりあえず進んでみる?」


「そうだな。進んでみよう。」



この場所は、案外狭かった。

そして、暗い。

光のさす場所が、降りてきた部分しかない。


…ところどころ、剣、か?転がってるな。


まばらに地面に植物が生えている。

床も、天井も、すでにヒビが入っている。

今にも崩れそうだ。


碌に手入れもされていない、いや、もう忘れ去られた場所なのかもしれない。


静かに水が流れる音が聞こえる。

つられて見てみると…


銅像……?


銅像、なのか?

二人の男女が、手を取り合って、掲げている。


つまりはなんだ?

ここは、何の場所なんだ。


すると。


「ねえ、あそこ……」


アイシャが指をさした先には、ひときわ綺麗な空間が広がっている。


「…綺麗だ。」


見惚れてしまった。

周りがひどいのもあるだろうが、ここまで美しい建築は初めて見たかもしれない。


恐らくだが、その空間は通路なんだろうな。赤く敷かれた道が輝いている。

道の両脇に柱が等間隔に並んでるし。


オレらは、引き寄せられた。


この道を、渡る。

そうすると、デカい空間が広がっていた。

明るい。光源は知らないが、ありがたい。


そして、オレは、この空間の奥に目を向けた。



「…台座に……剣?」


オレはまた、何かを、

尋常ではない未知を、感じ取っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ