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画面の奥の旦那さま  作者: 大関 里


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3/22

普通科の根暗様

蒼祐は学校で『根暗様』と呼ばれている。


それは学校一のモテ男、双子の兄の『時尭』と比べられていつの間にか付いたあだ名だった。




実際、根暗なのでどうでも良いと思っている。

なんなら、人と関わらなくて良いなら願ったり叶ったりなのだが、

このあだ名を一人だけ全力否定する人がいる……。


薫だ。




(――あ、もう一人いた。)


兄の時尭もその話題が出るたびに、


「――?弟の方が、俺よりめちゃくちゃ優しいし、顔も俺より綺麗だけど?」


時尭は本気でそう言ってるのだが、



学校での評価は

『弟思いの優しい兄』と更に株が上がっている。



薫は納得いかず、いつも一人プリプリ怒っている。




「蒼祐は可愛いし、可愛いし、可愛いーーーーしっ!何でみんな理解できないの!!!?」


可愛いしか言ってないの本人は気が付いていない。




言葉のボキャブラリーが少な過ぎて、

一人怒って騒いでいる薫を澄が哀れな目で見ている。

それがいつもの日常だ。






蒼祐は実際、顔は整っている。

でも、学校では猫背で流行無視の黒縁眼鏡で顔は隠れている上に、無口で無愛想。

いつも俯いていて自信が無さそうにしている。

髪も伸びた黒髪を適当に結んでいるため、どこか野暮ったい。



時尭とは比べ物にならないのだ。





でも、それが良い。

好きでもない人と話すのは苦手だし、好きであっても話すのは苦手だ。






五歳の頃にロシアから日本に移り住んだ時、薫と出逢った。



一目惚れして、幼い頃は泣き虫だったのもあり、いつも薫に手を繋いでもらっていた。

時尭と薫と三人でいつも一緒だった。




中学に上がる時、薫の家の近くから家の事情で高層階のセキュリティーの高いマンションに引っ越したので、

中学は分かれた。



丁度思春期にも入り、薫との距離の取り方も分からなくて現在に至る。




本当は一緒にいたい。

でも、恥ずかしいのと、変なプライドが邪魔をする。

弟だと思われているのが悲しくて、でも、意識してもらうような行動も取れない。


薫の中では小学生までの蒼祐のままで止まっている。




蒼祐は薫に触れたい、


キスもしてみたい……。





(――学校で何考えてるんだろう。)


蒼祐が机に突っ伏したところで、薫が勢いよく教室に入ってきた。




「おっはよー!みんな!」

「あ!蒼祐!何で先に行っちゃうのー!」


絡んでくる薫に空回りしてる蒼祐はいつも冷たく当たってしまう。



「薫さん、煩いです……。」


「まっ!薫さんですって?薫ちゃんって言ってよ!」


「……言いません。」


「あ!髪の毛跳ねてる!」


「……触らないでください。」


「後ろピョン!てなってるよ〜!」



蒼祐は髪を押さえながらまた、机に突っ伏した。




ちょうどチャイムが鳴って救われた、そんな午前の始まりだった。





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