ラパンの燃費
薫は家の自室で目が覚めた。
めっちゃくちゃ、よく寝たっ!!!
スッキリ爽快な気分だ!
(お腹空いたなー、今日の夕ご飯なんだろー?)
一階へ降りると薫の母親の和葉と蒼祐が、仲良さそうに夕飯の準備をしていた。
(――?!なんで蒼祐家にいるの?!)
薫は扉の側で立ち尽くした。
「あら、薫やっと起きたの?」
母が薫に気が付き、呆れたように声を掛けた。
「空腹で倒れるとか二度とやめて頂戴?蒼祐くんが送ってくれたんだからね?」
「……空腹、……倒れ?――え?」
「……怪我が無くて、良かったです。」
薫は脳内の記憶を猛スピードでかき集めた。
「――夢だけど?夢じゃ、なかった?」
「俺はトロロじゃありませんよ……。」
「――恥ずか死ぬっ!!!!!!」
「通常運行でしたよ。ある意味……。」
「いやぁーーーー!思い出さないでぇー!」
「匂いフェチだとは知りませんでした……。」
「蒼祐だけだもん!――あっ!!!!!」
「「…………。」」
二人とも顔が真っ赤で、和葉は見ていられなかった。
「――お二人さん?母の前でイチャつかないで?」
生暖かい目で二人に釘を刺した。
「そんなつもりはっ!……失礼しました和葉さん。」
蒼祐が眼鏡を直しながら恥ずかしそうに、手で顔を覆った。
「いや、いいのよ、蒼祐くんなら。」
薫母から謎の合格を頂いた……。
薫は顔を隠して唸っていた。
おそらく、保健室での件の記憶が有るのだろう。
夢だと思っていつも通り以上に絡んでしまった。
いや、我慢した分の反動でいつも以上に素直になって蒼祐の栄養補給をしてしまった自覚がある……。
そんな薫をスルーして和葉が声掛けた。
「さぁ、蒼祐くんが作ってくれた煮込みハンバーグを食べましょう?薫食べないなら私と蒼祐くんで食べるから二階にいってなさい!」
「やだ!食べる!」
即答した薫のお腹も盛大に鳴って訴えた。
蒼祐は少しホッとした。
(食べれるなら、良かった――。)
和葉は久しぶりに蒼祐と話せて嬉しそうだ。
小学生の頃はよくこの家でご飯を食べていた蒼祐にとっても、和葉は第二の母のような親しみがある。
薫もいつもの調子が出てきたのか、
それともやけ食いなのかは不明だが?
しっかり食べていて、蒼祐は胸を撫で下ろした。
勿論おかわりの回数が尋常じゃなかった。
そんな薫を見て和葉が嘆く。
「女の子を産んだはずなんだけど、男の子より食べるの、本当何故なのかしら……。」
「マスタングかランボだと思いましょう。」
「見た目で言うとラパンじゃない……。」
「……和葉さん……ギャップ、萌です。」
「無理があるわぁ……。」
薫は二人の会話を聞かないように黙々と食べる。
誰かっ!私を褒めてくれる人はこの家に居ないのだろうか!
パパ早く帰ってきて!!!
そう思いながら。
今日三回目のおかわりに向かう。
蒼祐の作った煮込みハンバーグは惚れそうなほど美味しかった。




