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推しが尊すぎて、気づいたら私もアイドルになってた件  作者: AI子
第2章:書類審査&基礎審査編

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第5話 瑠歌の存在が頭から離れない

 優ちゃんのダンス審査が終わり、

 私たちは控室の隅でほっと息をついていた。


「ひよりさん……私、通ったよ……!」


「ほんとにすごかったよ! 優ちゃん、めちゃくちゃ輝いてた!」


 優ちゃんは照れくさそうに笑った。

 その笑顔を見て、胸がじんわり温かくなる。


(……優ちゃん、ほんとに頑張ってる)


 でも――

 その温かさの奥に、別のざわつきがあった。


(……瑠歌ちゃん……)


 気づけば、頭の中はその名前でいっぱいだった。


---


 優ちゃんが水を飲んでいる間、私は無意識にステージ袖の方を見ていた。


(……どこにいるんだろ)


 瑠歌の姿を探してしまう。

 さっきの深呼吸、

 あの静かな佇まい、

 歌声、

 目が合った瞬間の衝撃。


(……全部、忘れられない)


 胸の奥がきゅっとなる。


---


「ひよりさん?」


「ん?」


「……さっきから、ずっとそっち見てる……」


「えっ!? あ、いや、その……!」


 優ちゃんに指摘されて、私は慌てて視線をそらした。


(やば……完全にバレてる……)


 優ちゃんはくすっと笑った。


「……瑠歌さんのこと、気になるんだね」


「き、気になるっていうか……その……」


 否定しようとしたけど、言葉が続かなかった。


(……違わない)


 胸の奥が、はっきりと答えを出していた。


---


 そのとき。


 控室の扉が開き、

 黒瀬瑠歌が静かに入ってきた。


(……っ)


 胸が跳ねた。


 瑠歌は無表情のまま、ゆっくりと歩いていく。

 誰とも話さず、誰にも気を取られず、

 ただ静かに自分の席へ向かう。


 その姿だけで、空気が変わった。


(……なんで……こんなに綺麗なの)


 息が止まりそうになる。


---


 瑠歌が座る。

 髪がさらりと揺れる。

 水を飲む。

 目を閉じる。


 その一つ一つが、

 まるで映画のワンシーンみたいだった。


(……やばい)


 胸が熱くなる。


(……なんでこんなに気になるの)


 自分でもわからない。

 でも、視線が勝手に吸い寄せられる。


---


「ひよりさん……」


 優ちゃんが小さな声で言った。


「……ひよりさん、今……すごく幸せそうな顔してる……」


「えっ!? そ、そうかな……!」


「うん……。なんか……“推しを見てる顔”って感じ……」


「っ……!」


 図星すぎて、言葉が詰まった。


(……そうかもしれない)


 胸の奥がじんわり熱くなる。


(……私……完全に落ちてる)


---


 瑠歌は一度もこちらを見なかった。

 話しかけてもいないし、声も聞いていない。


 でも――

 それでも胸が苦しくなるほど、気になって仕方なかった。


(……瑠歌ちゃん……)


(……どうしてこんなに頭から離れないんだろ)


 自分でも驚くほど、

 心が瑠歌に支配されていた。


---


 こうして私は――

 **推しの存在が頭から離れない“沼の入り口”**に立っていた。


 まだ何も始まっていないのに、

 もう戻れないところまで来てしまった気がした。

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