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推しが尊すぎて、気づいたら私もアイドルになってた件  作者: AI子
第2章:書類審査&基礎審査編

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第4話 優のダンスはプロ級

 私の“音程迷子でも笑顔で突破”事件から数分後。

 優ちゃんのダンス審査が始まった。


「白石優さん、準備お願いします」


「……はいっ」


 優ちゃんは深呼吸をして、ステージ中央へ歩いていく。

 その背中は――

 さっきまで震えていた子と同じとは思えないほど、まっすぐだった。


(……優ちゃん、スイッチ入ったな)


 私は胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。


---


 音楽が流れ始める。


 軽快なビート。

 アイドル曲の定番のような、明るくてテンポのいいリズム。


 その瞬間――


 **優ちゃんの表情が変わった。**


 さっきまでの不安げな顔じゃない。

 目がキラッと光って、口元がきゅっと引き締まる。


(……あ、これ知ってる)


 優ちゃんが“本気モード”に入ったときの顔だ。


---


 そして――

 優ちゃんが動いた。


 最初の一歩で、空気が変わった。


 軽い。

 しなやか。

 無駄がない。


 まるで体が音楽と一体化しているみたいだった。


「……えっ」


 思わず声が漏れた。


(なにこれ……プロじゃん……!?)


 優ちゃんのダンスは、普段から上手いとは思っていた。

 でも、ここまでとは知らなかった。


 ステップのキレ。

 ターンの滑らかさ。

 手先の角度まで美しい。


 審査員たちも、明らかに前のめりになっている。


---


「ひよりさん……」


 隣にいた付き添いのお姉さんが小声で言った。


「……あの子、すごくない……?」


「すごいどころじゃないです……!」


 私は目を離せなかった。


(……優ちゃん、こんなに踊れたんだ)


 普段は控えめで、声も小さくて、

 自信なさげに見える子なのに。


 ステージの上では――

 まるで別人みたいに輝いていた。


---


 そのとき、視界の端で黒い影が動いた。


 黒瀬瑠歌が、優ちゃんのダンスを見ていた。


 無表情のまま、じっと。

 でも、その瞳はわずかに揺れていた。


(……瑠歌ちゃんも、優ちゃんのこと見てる)


 胸が熱くなる。


(……なんか嬉しい)


 推しと親友が同じステージに立っている。

 それだけで胸がいっぱいになる。


---


 曲が終わる。


 優ちゃんは最後のポーズを決め、深く息を吐いた。


 審査員の一人が、思わず手を叩いた。


「素晴らしい。動きが綺麗で、表現力もある。基礎がしっかりしているね」


「……っ……!」


 優ちゃんの目に涙が溜まる。


「白石さん、二次審査――」


(……っ)


「通過です」


「……ありがとうございます……!」


 優ちゃんは震える声で頭を下げた。


---


 ステージ裏に戻ってきた優ちゃんは、私を見るなり泣きそうな顔で笑った。


「ひよりさん……! 私……できた……!」


「できたどころじゃないよ! 優ちゃん、プロだったよ!!」


「そ、そんな……!」


「ほんとだよ! 審査員もびっくりしてた!」


 優ちゃんは胸に手を当てて、ほっと息を吐いた。


「……よかった……」


 その顔は、涙と笑顔が混ざった、最高に綺麗な顔だった。


---


(……優ちゃん、すごい)


(……そして私も、負けてられない)


 胸の奥がじんわり熱くなる。


 推しの存在が背中を押してくれる。

 親友の頑張りが心を震わせる。


(……私も、この世界で頑張りたい)


 そんな気持ちが、静かに芽生えていた。

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