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騎士様の初恋は御伽噺の呪われし魔女  作者: 文庫 妖
第二章 過去への旅路

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EP0 ユリウス・キストラー暗殺及びシグリッド・オルファレイス暗殺未遂事件に関する報告書(一部抜粋)

ちと忙しくて続きの更新が遅れました。

いつも読んでくださってありがとうございます。

--年--月--日

中央騎士団副団長ユリウス・キストラー暗殺について、事件当時に現場に居合わせたアラン・ハルトマン以下十七名を事情聴取。証言時の言葉のまま記載。


■聴取対象者

アラン・ハルトマン(青騎士団第一分隊長)

エーリッヒ・ラッツェル(同上隊士)

スクルド・ケーニヒ(同上隊士)

ヒュー・ハイフェッツ(青騎士団第二分隊長)

ディートリヒ・アウフレヒト(赤騎士団第三分隊副隊長)

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■アラン・ハルトマン

「あれは邪竜討伐完了後、邪竜の死亡確認と討ち漏らした魔物の掃討作戦を終えたあたりだと思う。突然出現した魔物が、シグリット殿に襲い掛かったんだ。死んだ魔物の陰にでも隠れていたのか、あまりにも突然で咄嗟の対応が遅れてしまった。見た事の無い魔物だった。黒とも緑とも青ともつかぬ、気味悪い色のスライムだった。シグリット殿は魔法で応戦しようとしたが、邪竜討伐の疲労故か、ふらついて魔法の発動に狂いが生じ、隙が出来てしまった。そこへシグリット殿を庇って副団長がスライムの攻撃をまともに食らった。凄まじい瘴気と毒を浴び、彼は倒れた。使える者総出で光魔法を打ち込み、どうにかスライムを倒したが、副団長の傷は酷く、シグリット殿や治療魔導士らの懸命の治療を以てしても助けられなかった。惜しい人間を亡くした……重大な損失だ。それにしても、シグリット殿の憔悴ぶりは見ていられない程だった。今頃どうしておられるのか」


■エーリッヒ・ラッツェル

「あの時の事ですか……魔物が出現した瞬間は、残念ながら自分は見ていません。ただ、突然シグリット殿の名前を叫ぶ声が聞こえて、その後すぐ副団長の絶叫が聞こえて振り返ったんです。大きな怪我をなさっても、滅多に声には出されない方でしたから、余程苦しかったのでしょう。副団長のあの苦悶の声ばかりが耳に残っていて……。なんなんでしょうね、あのスライム。見たことも無い種類でした。毒とか瘴気を圧縮したらこんな感じかなといった様相でした。副団長の……ああ、すみません、思い出したら気分が……ええ、大丈夫です、あのスライムが副団長の身体を焼きながら傷口を抉って体内に入り込もうとしてたんですよ、それで皆で慌てて光魔法とか浴びせて蒸発させて、え? そうですね、蒸発しました。最後に女の悲鳴というか笑い声みたいな嫌な鳴き声上げて蒸発しましたよ。綺麗さっぱり」


■スクルド・ケーニヒ

「言っていいものなんでしょうか……その、見間違いかもしれませんし、僕の居た位置からだとそう見えただけなんだと思いますが、あの魔物、なんかロナウドのあたりから噴き出たように見えました。お二人のすぐそばに立ってたんですけど。今考えてみれば、ちょっと変……だったんですよね。スライムって基本一番近くの熱源から襲う習性があるでしょう? でもあのスライム、そういえば一番近くにいたロナウドじゃなく、ちょっと離れたシグリット殿目掛けて真っ直ぐ飛び掛かって行ったんです。それから副団長が庇ってあんなことに……」

(※証言にある青騎士団第一分隊所属ロナウド・ペリセウスは帰還後、兵舎の四階自室から転落死。討伐・掃討作戦から帰還後、精神衰弱と診断され自室で療養中とだったということもあり、自殺と判断。要再調査)



■ヒュー・ハイフェッツ

「あいつは士官学校時代の同期だった……。死んだなんて今でも信じられねぇよ。そうだな、邪竜の死体を検分していた時だと思う。確か、シグリット達が邪竜の組織を採収していて、ユリウスとアランと俺はその後ろあたりで今後の打ち合わせをしてたんだ。そうしたら右、そうだ、俺たちの右側に突然魔物の気配がして、見たら真っ黒なスライムがこっちに向かってきたんだ。そのままシグリットに襲い掛かったんで、割って入ったユリウスが応戦したが、振りかざした剣ごとスライムに飲まれて……あいつの悲鳴が……。ああ、悪い、大丈夫だ。それで、あいつの身体に取り付いたままだったから四元素魔法打ち込むわけにはいかんだろう、とりあえず身体に影響が出ない光魔法使ってみたら存外効いたんで、皆で光魔法打ち込んで、殺して……ああ、そうだ、スライムを倒したら残る筈の核も残らなかった。そうだな、蒸発したって感じだった。あの後の混乱でそれを気にするどころじゃなかったがな。ユリウスは毒と瘴気に侵食されてたんだ。首から右腕と腹にかけて、こう……腐食する感じで。口にも入ったらしくて、何度も吐血して……侵食速度がえらく早くて、治癒魔法が追い付かなかった。襲撃から息を引き取るまでに五分は掛からなかったと思う。ユリウス……。魔物の出現地点? 直接は見てないが、気配に気付いた時にはそばに第一分隊の奴が居たぞ。スクルドと、ロナウドと、あとは赤騎士団のディートリヒ殿だったか」


■ディートリヒ・アウフレヒト

「あの時の事は思い出したくもないな……ユリウス殿が亡くなり、その婚約者殿も病身を抱えたまま行方不明。私の友人も自殺してしまってな。ああ、ロナウドか? 同期だったんだ。出発前は『出世のチャンスかもしれない』なんて無邪気に喜んでたような奴が、帰る頃には酷く憔悴していた……。『俺のせいで』と随分自分を責めていた。あの黒い魔物はあいつのすぐそばに出現したんだが、にも拘わらず咄嗟に対応出来なかったのが余程悔やまれたんだろう。だが、それなら私も同罪だ。突然異様な気配を感じてそちらを見たら、ロナウドの足元にあの魔物が蠢いているのが見えた。次の瞬間にはシグリット殿目掛けて飛び掛かって……その後の事はあまりよく覚えていない。すまない。ユリウス殿もそうだが、ロナウドが死んだのがどうにも辛くてな……」



■見解

事件から一年半以上経過し、現場が戦場であったことなどから現場検証が不可能なため、目撃情報のみで判断しなければならない事は誠に遺憾である。目撃情報や証言から判断した結果、ユリウス・キストラーを死に至らしめたものは、魔物ではなく呪術の一種であるものと推測される。また、状況から呪術の標的(ターゲット)はシグリット・オルファレイスだった可能性も否定できない。

なお、本件に関して、スクルド・ケーニヒ他五名の証言からロナウド・ペリセウスが関与している可能性が浮上。該当騎士が事件直後死亡している為、慎重な捜査が必要である。(筆頭調査官フロード・ベッグマン)

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