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第18話   セグナとヒースのふたり会議【騎士さん不純です!!】




【少し前のこと……】



『家族会議をしたい』という私の言葉に従い、、セグナとヒースが私達のいた応接室から出てきた。


「セグナ様、ヒース様。申し訳ございませんが、こちらで少々お待ちください」

扉の内側からナタリーがふたりに声をかけ一旦、扉を閉めた。


「やれやれ、シャロンもあれじゃ大変だな」

扉の向こうの喧騒を思い浮かべたのか、セグナは同情混じりに肩をすぼめた。

「……」

ヒースは、相変わらずの無表情である。


セグナは額当てを押し上げ周りの状況をもうひとつの目で確認しだした。

「今のところ、脅威はなさそうだな」


しばらくして、ナタリーが応接室から出てきた。

「お待せ致しました。セグナ様、ヒース様、ご案内致します。どうぞこちらへ」


ふたりは案内されるまま屋敷の奥の方にある、かなり小さめの部屋に案内された。

「―――どうぞ、こちらでお待ち下さい」


ナタリーは扉を開け、二人を招き入れた。


扉をくぐる直前、ヒースが(わず)かに足を止めた。その視線が、部屋の「内側」を鋭く射抜く。セグナは気づいていたが、意に介さずソファに深く腰を下ろした。


「ヒース、問題ない。入って座れ」

「……」

ヒースは、無言で頷き部屋に入った。


「?……では、わたくしは扉の前で待機しておりますので、御用の際はお呼びください」

ふたりの行動と言動にナタリーは、不思議そうな顔をしたが、それを尋ねることなく静かに扉を閉めた。


「フッ、どうやら、この屋敷で一番、金のかかっている部屋に招かれたようだな」

セグナは、そう言って苦笑いした。


「―――信用されていないか?それとも、よほど聞かれたく無い事を話しているのか?まぁ、どっちでもいいけど……多分、あの父親の(くわだ)てだろし」

「魔石の部屋・・」


セグナはソファーに深く座り、天井を見ながら額当てを少しずらした。


「フッ、あぁ、そうだな言えてる!信じられない数の魔石が埋まっているな。壁だけでなく天井や床にまで……恐らくこの部屋が、ひとつの『魔道具』といったところだろう」

額当てを戻し、足を投げ出し、ソファーで横になってくつろぐセグナ。


「魔法を阻害する術式が、そこかしこに組み込んであるな。王宮でもここまでの防壁は早々お目にかかれないぞ」

ヒースが指先に小さな炎を灯そうとしたが、火種は生まれる瞬間に掻き消えた。

「本当だ・・」


「まぁ、丁度いい!どうだ、暇だし私らも『二人会議』でもするか?」

「フッ、あぁ・・」

珍しくヒースがフッと笑いソファーにドカリと座った。


「そうだ、魔道具といえば、さっき渡された例の魔道具だか……」

セグナは、胸ポケットにしまっていた魔道具を取り出した。


「お前が見た奴らはどんな感じだった?」

「野盗風・・装備貧弱・・1人魔族がいた・・」


「野盗ねぇ……確か5人揃ってこれを首に付けていたと、言ったな」

「あぁ・・」


キル――お前が仕留めたのではなく、デッド……。つまり、ほぼ同時に全員死んだと」

「あぁ・・」


「その事が少し気になって、よく見てみたんだ」

セグナは、そう話しだし魔道具をヒースに投げ渡した。


「魔石の裏をちょっとみてくれ、小さいが筒状の穴があるだろう?!」

ヒースは、コクリと頷いた。


「何の穴だと思う?」

「……ん?何だろ?・・」


「詳しくは調べてみないとわからないけど、それを入れていたポケットから妙に甘い匂いがしてな……」


ヒースはそう言われ魔道具に鼻を近づけ匂いを嗅ぐと、彼の鋭い嗅覚は、即座にその正体を弾き出した。


「!!・・毒?!・・」


「お前もそう思ったか?!私もそう思った。で筒の中に入っていたのが針でそれが何かの条件で飛び出る仕掛け」

「……」


「構造は簡単だが一定の条件下で、これを魔道具に術式として組み込むのはかなり難しいし、野党風情(ふぜい)が持てる品ではないな」

「復元するのは・・無理か?・・」


「使用後に術式も破壊しているようだから、ダメだろうな」

「……」


「偶然狙われたとは考えにくい。たった5人で護衛付きの王族の馬車を襲うバカはいないだろう。捨て駒……か?」

「だな・・」


ヒースは、魔道具をセグナに返し、目の前のお茶と菓子に手をつけだした。

「だとすればあの会場から、この短時間で準備して、ついて来たのならかなり大きな組織と考えるのが妥当だな……それ旨いか?」

セグナは美味しそうに食べるヒースに問いかけた。

「どこかの暗部・・旨い・・」


「そうだな可能性は十分ある!他国も含め、騎士連中にはこういった手の込んだ事は難しいだろう。……ちょっと、私にも少しよこせ」

ヒースは菓子の器を抱え、本当に少しだけ菓子をセグナに渡した。


「だかあの会場に参加した人物で暗部を持っているとなると、かなり数が絞られる……!旨いなこれ!!」

セグナは、菓子をポリポリ食べ、おかわりを無言でヒースに訴えかけた。


「シャロンのように謎めいた女性の情報を知りたがる者は多いだろうが、ここまで大掛かりで組織だったことができる人物は限られる」

「オレの暴走・・」

ボソリと一言いうと、ヒースは菓子を食べるスピードを上げた。


「関わりがあるかもな……まぁそれらに関しては私らが考えることじゃないから……って!一人で食うな!!」


外で待つナタリーの下にアイラがやってきた。


シャロンに言われ、ふたりを連れてくるように言われたことを知り、ナタリーは部屋の扉をノックをして開けた。


「セグナ様、ヒース様、終わったように思われますので、ご案内し……」

突然固まったナタリーにアイラは、どうしたのかと、部屋をのぞき込む。


「ほら、その服の下にいい物、持ってんだからサッサと出しやがれ!」

ソファの上で、ヒースに馬乗りになっているセグナ。


「……」

胸元に強引に菓子を入れたから衣服がはだけ、口いっぱいに菓子を頬張ったせいで、声が出せず、涙目で首を振って拒否するヒース。


その光景と、ふたりのやりとりにナタリーは、「()()()()()()」で、顔が真っ赤になっている。


アイラも気がつき両手で顔を覆っているが、指の隙間からガン見していた。


扉が開き二人が入ってきたことに気がついたセグナはヒースが独り占めした菓子をあきらめ、じゃれあいをやめた。


「憶えておけよ、ヒース!後でたっぷり可愛がってやる……」


この言い方はまずかった。


セグナ本人は鍛錬の事を指していたが、ナタリーとアイラには更なる誤解への呼び水になってしまっている。


「その会議とやらは済んだのか?」

キリっとしたセグナの問いかけで、ナタリーも妄想から覚め、冷静さを取り戻せた。


「えっ?あっ、はい……ご、ご案内致します」

珍しく、あたふたして対応するナタリー。


「おい!行くぞ、ヒース!」

「……」

ヒースは、胸に隠していた菓子を一気に口に入れ。リスのように口を頬張らせ、無言で頷いた。


4人は部屋を出て、最後にさっきまでナタリーのお尻にくっついていたアイラが部屋の扉をしめた。



   コン、コン、コン。


「失礼致します。セグナ様、ヒース様が、おみえになりました」


部屋の扉が開き、二人が入って来た。


「その様子だと、話を進めてもよさそうだな」


談笑する私達、家族の姿を見て、セグナがそう問いかけた。


「えぇ、大丈夫。納得してもらえたわ。セグナ、ヒース、随分待たせてごめんなさい」


セグナは、軽く首を横に振りさらに近づき耳元で小さく話しかけてきた。


「良かったな。これで、またノエルに会えるぞ!嬉しいだろ?」

「!!」


その予期せぬ言葉に、私の心臓が一瞬で跳ね、顔が、耳の先まで一気に熱くなるのが分かった。


「べ、別に、『嬉しいか?嬉しくないか?って聞かれたら、そりゃ、嬉しいにきまってるけど、みんなの前で言えるわけないじゃん!』……って、もうっ!!セグナのバカ〜ッ!そんなふうに聞くから声に出ちゃったじゃない!」


クククッと、声を殺して笑うセグナの前で、私は真っ赤な顔をして立ち尽くすしかなかった。









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