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ヒロインだったと気づきましたが、逃亡します~他の転生者の犠牲になるなんて御免です~  作者: 池中織奈


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「総本殿にて、カールティードさんとウルノワさんと ④」

 私は孤児で、家族なんていないって思っていた。独りぼっちで、味方はいないと。

 竜の血を継いでいることを知って、私には親族がいるかもしれないと期待して。

 だけれども、竜の血を引く達のことを信じていいのか。自分は受け入れてもらえるか。

 そのあたりも全く分からなかった。



 ――でもそんなことを心配する必要なんてないのだと実感した。



 私には両親が居て、そして私のことを可愛がってくれそうな従兄弟もいて、それでいてカールティードさんやウルノワさんという竜も、私のことを大切にしてくれている。

 それが分かったから、一気にほっとした。

 私は何も心配しなくていいんだって。改めてそう思えた。

 竜を堕とそうとする誰かが居ようとも、私の傍には味方がいて。だから、彼らが動いてもどうにでも出来るのだ。



「従兄弟にも会いたいです。私の従兄弟って一人だけですか?」

「そうね。アーニーベガ様の子供は三人だけだから。従兄弟は一人だけね」



 ウルノワさんの言葉を聞いて、たった一人の従兄弟かと不思議な感覚になる。

 前世の私には従兄弟は沢山居た記憶。両親共に兄弟は多い方だったから。

 この世界ではたった一人の従兄弟。凄く興味がある。仲良くしてくれるかな。



「凄く楽しみです。今すぐにでも神の国へ行きたいです」


 すぐに会いに行きたいなと思った。だって私のことを待ってくれている血縁者が居るのだと思うと凄く興奮してしまったから。



「エラ、さっき転移門で移動してきたばかりだから少し休憩してからね?」

「早く会いたい気持ちはわかるけれど、あなたの身体に不調があってはいけないから」


 そう言われて、私は頷く。



 そうか。此処から神の国への移動はかなりの距離だろうし、ちゃんと休憩はしておかないとならないのだろう。

 あくまで私のためを思っての言葉だというのは分かる。




「あの一際大きい竜がはじまりの竜……私のおじいちゃんの像だというのは分かったんですが、ウルノワさんのものとカールティードさんの両親のものはどれですか?」


 私は一先ずそう問いかけた。

 そしたらウルノワさんの像とカールティードさんの両親の像を教えてくれた。



 その竜の像はとても美しいものだった。なんというか、私が初めて竜体を見たのがカールティードさんだからということや私自身が竜だからもあるだろうけれど、竜という生き物に対して恐れは全くない。

 寧ろなんだろう、ただ綺麗だなと惹かれるというか、そんな感じ。

 竜の像を見ているだけでも凄くワクワクしてくる。




「この竜の像っていつ頃、作られたものなんですか?」

「いつかしら? 随分昔だったと記憶しているけれど……中々竜は天から下界に降りないから」

「そうなんですね。神の国って、どういったところですか?」



 私は続けて質問をする。正直神の国についてまだまだ分からないことだらけだ。竜の住まう場所。それに異種族が住んでいることも知っている。

 でもどういう暮らしをしているかとかは全然分からない。



「竜やエルフや獣人、それに竜人とか、色んな種族が住んでいる場所よ。竜体でのんびりしている竜がいたりするわね。それぞれの種族が暮らすエリアに行くと色んな光景が見れて楽しいと思うわ。ただ私達が顔を出すと、皆、緊張するけれど」

「私、神の国って厳かで、下界とは違う雰囲気なのかと思っていたんですけれど」

「下界とそんなに変わらないわ」



 ばっさりとウルノワさんにはそう言われた。



 神の国って下界で暮らす私からすると凄く特別で、遠い世界の場所だと思っていた。

 でも実際に暮らす人たちにとってはやっぱり違うみたい。

 そもそも私は異種族の人達と交流を持ったことはないけれど、人間以外の種族の人達は神の国で当たり前に暮らしているんだよなぁ。

 下界で暮らす彼等と神の国で暮らす彼等ってどういう立ち位置なんだろう? 位とかあったりするのだろうか。

 やっぱり私、その辺のこと全く知らないなぁ。




「私の卵をどこかにやってしまった人って、どの種族の人ですか? ……竜以外の種族って、竜に何かしようとしている人って多いんですか?」


 少し心配になった。基本的には竜に敬意を持っている人ばかりな気もしているけれども、それでもどうなんだろうって思った。



「エルフよ。あなたは天にある宮殿で産まれたのだけど……そこに仕えていたエルフの仕業だった」

「基本的に天に住む種族は竜に何かしようなんて思わないよ。そのエルフが余程傲慢だったんだろうね。俺もそんなエルフは見たことなかったけれど……」


 ウルノワさんの返答にカールティードさんが続ける。



「ハイエルフやエルフの一部には自分達こそ上位に立つべきという考え方の者は過去にもいたわよ。基本的にそう言った存在はすぐさま排除されているわ。成体の竜には手出しが出来ないからと竜の卵を狙ったのだから、許しがたいものだわ」

「へぇ、俺が産まれてからはそう言うエルフ見たことなかったなぁ」



 ウルノワさんとカールティードさんはそんな会話を交わしていた。



「じゃあエルフには気を付けるようにします!」

「そうね。一般的なエルフはそもそも竜に何かしようとは考えていないわ。それに処罰を受けた同族がいるのを知っているから寧ろ怯えているぐらい。だからそこまで警戒心は要らないけれど……」

「なかには愚か者もいるってこと。でもそんなに心配は要らないよ。竜として覚醒しつつあるエラには何も出来ないだろうし」



 私が不安そうにしていることが分かったからか、二人は安心させるようにそう言った。

 その後は神の国の日常などを教えてもらった。案外、神の国で生きている人達は下界の私達と同じように生きているんだなということ。

 あとは色んな種族が居るからこそ問題は起こりうるけれど、それは基本的に大事になる前に竜が仲裁することはあるらしい。



 そうしてしばらく話した後は、竜神の神官が用意してくれた部屋で一休みした。やっぱり少し眠ってからじゃないと移動は駄目だと言われたから。

 だから数時間仮眠をとってから、私は神の国へと移動することになった。


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― 新着の感想 ―
ここでも、エルフ。要警戒ですな。 確かに両親は本殿にでも駆けつけてくるかと思ったけど来ないですね。 神の国の入口辺りに待機してたりして。
アルバストとは従兄妹感覚だということで、原作(?)では連れ去られた卵だった従兄妹を見つけたとちゃんとわかってたんですかね? あと気になるのは両親。下界に探しに来たりしてなかったのかな?手掛かりはなく…
奥様の持ってるエルフの薬、やっぱりヤバいやつなのでは。
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