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異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった  作者: ミカン♬


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43/50

43   ブブたんの最終進化

 ──どうしよう?!


 ピンチは続く。


 エイジの変身は解けてしまった。

 ラスは魔力も、魔力回復薬も尽きている。


 なのに、美女たちは疲れる様子もなく襲いかかって来る。


 アルカードの剣が、何度も僕に叩き込まれる。

 僕は必死に受け止めるだけで、反撃する余裕がない。


 どうすれば……こいつらを倒せるんだ!?


 その時だった。


 頭上にいたブブたんが、ブルブルと激しく震え始めた。


 震動が僕の身体に伝わって──

 全身が熱い!


「っ! どうしたのブブたん!?」


 次の瞬間。


 ブブたんがアルカードめがけて、ブブカッターを放った。


 アルカードは霧となって消える。


 そしてブブたんは、僕の目の前へ降りてきた。


「ブブたん?」


 突然、その身体が強烈な光を放つ。

 太陽のような眩しい光が、ブブたんからあふれ出した。


 その光の中から現れたのは――。


 輝く黄金の剣。


 この瞬間、ブブたんは、ついに最終進化を遂げた。



 僕はウルツァイトソードを地面に置き、美しい黄金の剣を手に取る。


「ブブたんが……剣に変化した?」


 柄は、ブブたんと同じピンク色。


 剣を軽く振ってみる。


 不思議だ。

 初めて持ったはずなのに、妙に手になじんで、懐かしい。

 ずっと前から、この剣を握っていたような感覚だった。


 その時、アルカードが復活した。


 僕は黄金の剣を構える。


 けれど――。


「お待ちください」

 アルカードから戦意が消えていた。


「その剣で倒されると、私はもう復活できないのです」


「この剣を知ってるの?」


「ええ。それは勇者の剣。しかし……不思議だ。どうしてあのような姿だったのか」


 ──勇者の剣?!


「ホントに? これが勇者の剣?」

「聖なる力を感じます。我々を滅ぼす剣です」


 それが、どうして貯金箱だったんだ?


(あれかな……)


 城に召喚された時。

 元の世界に戻る時に報酬をもらえると聞いて、僕は〈金塊〉が欲しいと思った。

 もしかして、そのせい?



 戦いは中断、みんなが僕の周りに集まってくる。


「勇者の剣? 俺はてっきり義彦が手にすると思っていた」

「うん。僕も」


 アルカードが肩を竦めた。


「確かに勇者の剣なのですが……絶望的に魔力が劣る。勇者殿と剣は能力が連動していますから」


「あ、僕は魔力が無いんです」


「馬鹿な!!」


 だって、僕もブブたんも、ガルを消費してスキルを使っている。


「そのような勇者など、聞いたことがない……」


 アルカードは、すっかり呆れた顔になっていた。



「魔力はガルなんだから、貯金を増やせばいいのかな」


「正解かもな。剣の黄金色って、金貨の色じゃね? 別名『ガルソード』だな」


 エイジがケラケラ笑う。


 勇者の剣が、ポン! とブブたんの姿に戻った。


 ブッブブブブブーーッツ!


 ……怒ってる。


「へへ、元の貯金箱に戻った」


「ブブたん、貯金箱の姿でずっと僕を守ってくれていたんだね。ありがとう」


 ブブブブ……。


 エゴ様みたいに、話せたらいいのにな。



「あの、それで、この戦いはどうなるんでしょうか?」


 ロイが控えめに尋ねる。


「皆さんのレベルを確認しただけです。まあまあ、といったところでしょう」


「本気ではなかったのですか?」


「ちょっと遊んだだけです」


 ……こっちは必死だったのに。

 遊ばれていたなんて、ムカつく!


 でも、彼のおかげで勇者の剣も発現した。


(まさか、それが狙いだった?)


 アルカードは秘密主義だから、真相は分からないや。



「ここはもう卒業です。地底の帝国へご案内しましょう」


「地底の帝国……」


 胸が高鳴った。


 ついに行ける。

 魔王に会えるんだ!


 これまでずっと気になっていたこと。

 全部、分かるかもしれない。



 僕たちは、アルカードの城へ戻った。


 勇者の剣を最強にするには、金貨が必要だ。

 今の貯金は、3億ガルくらい。


 するとアルカードが、自分の持っていた高価な飾り物を寄付してくれた。

 これは、僕の仲間である若様への忖度だ。


 換金すると、

 ブブたんの貯金は、一気に55億ガルになった。


 ……それでも、歴代の勇者と比べると、僕はかなり劣るらしい。

 歴代勇者ってどれだけ凄いんだよ……。



 アルカードに案内され、僕たちは別の部屋へ向かった。


 そこにも、大きな魔法陣が描かれていた。


「魔王様がお待ちです。お送りしましょう」


 アルカードとは、ここでお別れだ。

 彼は守護者だから、この城を離れることはできない。


「若様が戻られて、皆はさぞ喜ぶことでしょう」


 アルカードは、そう言って僕たちに背を向けた。


 若様の正体も、きっと分かる。

 なぜ召喚されたのが、僕らだったのか。

 そして、元の世界に帰る方法も。


「行こう!」


 魔法陣の上に立った。


 魔王がいる地底の帝国へ。


 ついに僕たちは、飛んだ。


読んでいただいて、ありがとうございました。

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