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異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった  作者: ミカン♬


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41/50

41 戻らない記憶

 

 クーが見つけた魔法陣に飛び乗ることにした。

 他に脱出方法が無さそうだ。


 乗った瞬間、クーが僕を抱きしめた。


「ぐはっ!」


 あまりの力に、体が折れそうになる。

 驚いている間に移動が始まった。


 そして到着した先には、アルカードが立っていた。


「お帰りなさい。思ったよりは早かったですね」


 ここは城の地下。

 最初に見た、あの魔法陣の上だった。


 どうやらクーが抱きしめてくれたおかげで、僕は意識を保ったまま戻ってこられた。

 僕は闇魔法の耐性が若干弱いようだ。


 いや、それどころじゃない。


 僕は怒りを抑えきれなかった。


「アルカード、どういうつもりだ! 僕らを殺す気だったのか?」


「は? 強くなるお手伝いをしただけですが?」


 平然と言い返される。


 そこへ、エイジたちが戻ってきた。


「唯斗! 無事だったか!」


 エイジが駆け寄り、僕の首に腕を回した。


 もうドキドキしない。

 エイジに感じるのは、家族に向けるような愛おしさだ。


「エイジ……みんな無事で良かった。心配したんだよ」

「心配したのはこっちだ!」


 そしてエイジも、僕と同じことを言った。


「アルカード、どういうつもりだ! 俺たちを殺す気だったのか?」


「心外ですね。ところで若様、記憶は戻りましたか?」


 アルカードは、正体不明の若様に問いかけるが、誰も答えない。


「記憶は戻らなかったみたいですね。まあ、いいでしょう」


 アルカードは何事もなかったように、地下ダンジョンの説明を始めた。


 このダンジョンには、それぞれ独立した部屋が存在する。

 まるでアリの巣のように、100の部屋が下方に広がっている。


 城の魔法陣から、その部屋へランダムに転移する。

 そして攻略を終えると、またここへ戻ってくる。


「モンスターもボスも、倒せば復活します。何度でも倒して強くなりなさい。そして、レアアイテムを手に入れるといいでしょう」


「強くなるどころか、3人だと逃げるだけで精一杯でした」


「次からは6人で行っていいですよ。第一試練は、一応合格しましたから」



 こうして僕たちは、アルカードの地下ダンジョンを攻略することになった。


 まさに、僕たちが望んでいた状況だ。

 魔族の国のダンジョンに潜り、最強を目指す。

 それが僕たちの目的なんだから。


 ゴリアドにも、エバ様にも、

 誰にも負けない存在になる。


 そして、義彦たちを救う。

 最後は、元の世界へ帰るんだ。


 高難易度ダンジョンの封印なんて、知ったことじゃない。


 僕とエイジが消えても、ラスとロイが最強になれば、クーも入れて3人だけのファミリーを結成することも出来る。



 僕はアルカードに尋ねた。


「僕たちが元の世界に帰る方法はありますか?」


「ありますよ」


「どうやって?」


「それは、魔王様にお聞きください」


 その答えは、僕を魔王様のもとへ導くものだった。


 そしてアルカードは、僕の耳元で囁く。


「まだ記憶は戻りませんか?」


「え? 僕の記憶?」


 アルカードは、意地悪そうに笑うだけだ。


 ──ぐっ! もどかしい!


 まさか……僕が若様ってことはないよな?


 でも、考えてみれば、僕と若様はまったく無関係とも言い切れない。

 若様との関係が原因で、僕はこの異世界に召喚されたのかもしれない。


 ラス、ロイ、クー……フィル?


 この中に、若様がいる。

 僕たちは不思議な縁で結ばれているのかもしれない。


 すべての答えは、魔王に会えば分かる。


 そのためにも――。


 早く、もっと強くならなければならない。



 ◇



 6人での最初のダンジョン攻略は【速歩】を2回唱えないと絶対に勝てなかった。


 ボスは、ビルのようにデカいドラゴンだ。

 Lvは170。


 何発も「ブブカッター」を唱えた。


 全員が全力で戦い、倒した時にはヘトヘトだった。


「初っ端に、これ、キツ過ぎ」

「帰り道もザコドラゴンが待っています」 


 どうする? ──と、言いたげにラスとロイが僕を見ている。


「ザコと言ってもLv100。……作戦会議を開こう」


「とりあえず、儂の鳥で脱出の魔法陣を探す」

「自分が確認に行きます」


「見つけたら【速歩】で移動。時間切れでも大木が点在するから、隠れながら逃げよう」


「速歩が切れたら、オレが囮になってザコの気を逸らす。アイツら足は遅いからな」

「儂のグリフォンも囮にしよう」


「ところでドロップは?」

「オレ、拾った」


 出してきたのはドラゴンの魔石、完全な心臓。ドラゴンの鱗が数枚。


「ラス預かっておいて」

「ん」


「じゃあ。行こう」


 会議を終えて、僕たちは動き出した。


 ◇


 攻略を繰り返していくうちに、僕は魔法陣移動に耐えられるようになった。


 メンバーを鑑定すると。


 僕とエイジはLv93。

【速歩】が一日5回に増えた。時間も10秒。体感10分。消費ガルは100万。


 ブブたんは【2倍返し】という防御技を修得した。

 どんな魔法攻撃も2倍にして跳ね返す。1回につき1000ガル消費だ。


 エイジは【凶悪ブレス】。

 三頭が揃ってブレスを吐き、敵を麻痺殲滅させる。

 欠点は発動までの時間が長い事。


 クーはLv67。【全身強化】

 アンギスの盾と相性が良く、彼はタンク向きだと判明。


 ロイはLv98。【無双連撃】これはもう誰にも止められない必殺技だ。


 ラスはLv96。【絶対零度】カチコチに敵を凍らせる。


 フィルはLv105。


 ブブ貯金は1億ガルを超えていた。




読んでいただいて、ありがとうございました。

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