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異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった  作者: ミカン♬


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20/23

20  森林ダンジョンへ

 ゴリアドが姿を現した瞬間、周囲の冒険者たちは慌てて道を開けた。

 彼は真っ直ぐ僕たちの前まで歩いてくる。


「坊やたち、久しぶりねぇ~」


「……はい」


「逞しくなったじゃな~い。頑張ってるわね、エイリアンズ。【C】ランクじゃないの」


 どうやら僕たちのことは、すでに調べているらしい。


 ゴリアドはラスをちらりと見て、妖しく笑った。


「この子は100万ガルで見逃してあげたけどぉ。坊やたちは逃がさないわよ?」


(えっ?)


「そうねぇ……一人1千万で、合計2千万ガル払うなら、見逃してあげてもいいわよ?」


(はっ!?)


「そ、そんな……酷いじゃないか」


 エイジが勇気を振り絞って言い返す。


「嫌なら強くなりなさい。私を超えたら、諦めて、あ・げ・る」


 そしてゴリアドは周囲を見渡し、低い声で告げた。


「この子たちに手を出したら、コ・ロ・ス・わよ?」


 ギルド中がシーンと静まり返る。


「またねぇ、ダーリ~ン」


 投げキッスを残して去っていくゴリアド。僕たちは茫然と、その背中を見送った。


「どうしよう、エイジ。2千万なんて」


「ゴリアドを越えよう! SSクラスになればいい!」


 ……いや~。

 そんな簡単に言われても……。


「厄介……」

 ラスの表情も暗い。


「ユイト達、ゴリアドファミリーに行く。すると奴隷のロイも行く。絶対阻止!」

「ラス……」


「ユイト様、強くなりましょう!」

「ロイ……」


「早くダンジョンに潜ろう!」

「お金、急いで稼ぐ!」


 エイジもラスも焦っている。


 もちろん僕だって焦ってる。

 残された時間は、あと1年。


 ……でも。


 その1年後って、いったいいつなんだよ!?



 ◇


 みんなに急かされて、森林ダンジョンへ向かった。


 冒険者の街から歩くこと500メートル。

 このダンジョンは5つの広大なエリアに分かれていて、中央は大きな安全地帯だ。


 大きな川に囲まれた4つのダンジョンエリアが、中央エリアと吊り橋で繋がっている。


 さらに4つのエリアには小さな安全地帯が2か所ずつあり、商人たちが商売をしているのだ。


 第一エリアにはLv70~77のモンスターが出没する。


 冒険者たちの狙いはレアドロップ。

 一攫千金を夢見て、多くの人が潜っている。


 もちろん僕たちも期待して、木々が茂るダンジョンへ足を踏み入れた。

 すると、いきなり風景が変わった。


 爽やかな風が吹き抜け、目の前には広い草原が広がった。


 数歩進んだ、その瞬間――


 ピシュ!

 ピシュ!

 ピシュ!


 突然、空から細い雷撃針が降ってきた。


「ダメージはないな」


「漆黒装備、正解だったね」


 見上げると、数十匹の雷鳥が空を旋回していた。


 ここは奴らの縄張りだ。

 キーキーと声を上げて、侵入者の僕たちへ一斉に襲いかかってくる。


 だけど――


 ピッ!

 ピッ!


 ブブたんが正確に雷鳥の頭を撃ち抜き、次々と撃墜していく。


 エイジもワンコに変身。

 襲い掛かる敵に炎ブレスを吐いて、ラスとロイがとどめを刺す。


 草原には魔石と【雷鳥の羽】が次々に散らばっていく。


 急いで拾い集めていると、一本の雷撃針が僕の首筋に当たった。


「いったぁぁぁああ!」


 ──痺れて悶絶するほど痛い!


「早く~縄張りを離れよう~」


 草原を300メートルほど駆け抜け、木々が茂る森へ飛び込んだ。

 クーは【気配消失】のおかげで狙われなかったけれど、全力疾走で肩を上下させている。


「大丈夫?」


「はぁ、はぁ……平気です」


 僕たちは【健脚】と【自動回復】があるから平気だけど、クーには、かなりきつそうだ。


「ワンワン!」


 ワンコが吠えると、

 茂みを押し倒しながら、巨大な鋼鉄熊が3匹飛び出してきた。


 ブブたん光線が連続で3発炸裂。

 先頭の1匹の巨体が仰向けに倒れる。


 残る2匹はラスが魔法で足元を凍らせ動きを封じ、

 続いてエイジの灼熱の炎ブレスが森を赤く染め、ロイのハルバードで素早く仕留める。


「がぁぁああああ──!」

 鋼鉄熊は断末魔を上げながら、まとめて地面へ沈んだ。


 さらに別の方向に現れた鋼鉄熊が、バチバチィッ! と大きな体を放電して僕達を狙っている。


「コイツ、雷魔法も使えるのか」


 だけど、雷撃を放つまでの瞬間は数秒の隙ができる。そこへブブたん光線が一直線に突き刺さる。

 ダダーンと地響きを立てて、次々と倒れていく鋼鉄熊たち。


 僕?

 もちろん盾を構えて、ブブたんをしっかり守ってたよ。


「鋼鉄熊は我々と相性がいい。連携も取りやすいですね」

「うん。どんどん倒していこう!」


 地図を確認しながら森を進み、現れる鋼鉄熊を撃破していく。


 3~5匹ずつ現れるから、経験値もどんどん稼げる。


 しかもドロップするクマの肝は、ブブたんの換金で1個が2万ガル。

 ドロップ率は70%。かなり美味しい狩り場だった。


「このペースなら1時間以内で小規模安全地帯に着くね」


 その言葉どおり、僕たちは順調に目的地に到着した。



読んでいただいて、ありがとうございました。

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