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異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった  作者: ミカン♬


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19/25

19  オウレリアン族のポーター、クー

 冒険者の街に到着した。

 高い石壁に囲まれた大きな街だ。


 馬車を下りると王都とは空気がまるで違うのを感じる。

 暑さを避けて木陰に座り込む人たちが大勢いた。


 僕たちを値踏みするように、淀んだ眼で見ている。

 まるでスラム街。 


「ここは治安が悪そうです」

 そう言ってロイが先頭に立った。


 ギルドがあって、カジノや武器防具屋、店もたくさんある。

 宿に泊まろうとしたら「PTが【A】ランク以上でないから」と断られた。


「テントと寝袋を買う必要があります」


 ロイの言葉に僕はひどくショックを受けた。


「じゃあ、ダンジョンに行く時はこの荷物、テントに置いておくの?」

「そんなことしたら、テントごと盗まれますよ」


「まさか、担いで戦うの?」

「いえ、その為にポーターがいます。ほら、あれ」


 ロイが示した先には大きな獣人が、大荷物を担いで歩いているのが見える。


「なるほど、運び屋さんか」


「雑貨屋に行こう」

 エイジに肩を叩かれ、雑貨屋で二人用テント2組と寝袋を買った。


「宿屋に泊まりたいなら、早くランクを【A】にしようぜ」

「でも、地面で寝るなんて……」


 しょんぼりと重い荷物を持って歩いていたら、誰かに袖を引っ張られた。


「お兄さん、ポーターはいりませんか?」


 ピンクブロンドの男の子が僕を見上げていた。

 少し浅黒い顔は痩せて、10歳くらいに思える。


「オウレリアン族だな。雇えない」


 ロイが断ると、男の子は髪を隠すように、黒いキャスケットを深くかぶり直す。

 そして、僕の袖を持ったまま引き下がらない。


「自分は【怪力】と【気配消失】を持ってます。料理も得意です! 一日500ガルです」


 鑑定するとパッシブで『見覚えの能力が高い』とある。


 なかなか彼は優秀だ。


「たったの500ガルなの?」

「はい! 普通の半額です!」


「じゃあ、全部持ってみて」


 僕たちが荷物を全部渡すと、ポーターは背中の運搬用具に乗せて担いだ。

 体よりも荷物の方が大きい。なんだか虐待しているような気分になる。


「うーん。君には過酷そうだな」


「300ガルでいいです。お願いします!」

「いや、500ガル払うけどさ……」


「子どもです。やめましょう」

 ロイも反対みたいだ。


 でも、

 遠い辺境の地から来た貧しい子なのかもしれない。

 

 僕が迷うのを見て、エイジが決めた。


「雇ってみて、ダメならクビでいいじゃん」


「そう言うなら……。じゃあ、付いて来てくれる?」

「ありがとうございます!」


 お礼を言うと、彼はキャンプ場へ案内してくれて、手際よくテントを張ってくれた。

 屋台もたくさん出ていたので、パンと焼き肉串を買って夕飯にする。

 


 ポーターは「クー」と名乗った。


「レベル1……1なの⁈」

「はい……」


「オウレリアン族は成人するまでは、何者でもありません。レベルも上がらないのです」


 ロイの説明に、

「へぇえ、不思議な部族なんだね」さすが異世界。と──僕はそう納得した。



 夜が深まってくると、気温が下がり肌寒くなった。

 狭いテントの中でエイジと並んで寝袋の中だ。


 外では酔っ払いが叫んでる。

 誰かの怒鳴り声、喧嘩の音。囃し立てる声。


 毎日これが続くと思うと不安でしかない。


「王都の宿屋が恋しいよ……」


「そう落ち込むなよ。俺が頑張って【A】ランクにするからさ」


 そう言ってエイジは「ふわぁ」と欠伸をしたので、仕方なく僕も目をつぶった。


 ◇


 翌朝、43日目。


 僕たちは、周囲から好奇の目で見られているのに気づく。

 イケメン3名。おまけに子どものポーター連れ。


 ──目立っている、まずい!


 急いで支度して、ギルドに向かった。


 受付は眼鏡を掛けた男性、見た目が人族のカリウスさん。


「ああ、あなた達がエイリアンズ。ふーん」


 何だろう、嫌な感じだ。


 すると、横からエイジがカリウスに話しかける。


「ねえ、資金不足でさ、二人で借金したいんだけど」

「ランク【C】レベル51。お二人で1千万ガルが可能ですが」

「それでいいよ。貸して」


 卑怯技。──勝手にエイジが借金申し込んじゃったよ。


 契約するとピカピカの中金貨1枚が差し出された。


 エイジが耳元で囁く。


「これは俺がやったことだから。唯斗は気にしなくていい」

「気にしないよ。利息払えばいいことだし」

「一月後に返そうぜ」

「うん」


 ブブたんに中金貨2枚にしてもらって、全部PTカードにチャージした。


 もしかしたら、不透明な資金源を持つPTとして、ギルドに怪しまれているかもしれない。

 だとしても、僕たちに説明する義務もない。

 返金すればいいだけのことなんだ。



【森林ダンジョン】に入る許可を貰って僕たちは歩き出した。


 すると。


 ぞわり……


 急に背筋が寒くなった。


(うわぁあ、まさかここでも会うなんて!)


 2階の階段を下りて来るゴリアドとバッチリ目が合った。



読んでいただいて、ありがとうございました。

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