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もう恋なんてしない!と思った私は悪役令嬢  作者: 美雪
第三章

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87 ジーヴル公爵家の勉強会



 ベルサス様の勉強会には私とアヤナ以外にも参加者がいた。


 カーライト様、イアン、レアンの三人。


 三人とも浮遊魔法が使えるのに、ビビを浮遊させることを微塵も考えたことなく、私の発想を知って驚いていた。


 今回の勉強会はビビの見舞いも兼ねていて、三人は私よりも高等な浮遊魔法の技能を駆使し、ビビと遊ぶという約束で参加を許されたらしい。


「まずは勉強です。属性別の授業については各自でするしかありません。ですが、そうでない科目については教えることができます。今回は特別なテスト対策を考えました」

「どんなの?」

「裏技?」

「テスト範囲の予想です」


 当たり前のことだけど、期末テストは中間テスト以降に教わった内容が出る。


 属性別の授業が多くなったため、それ以外の科目への集中力がなくなり、平均点が低くなってしまう者が多くいる。


 属性別の授業はそれぞれが得意にしている者ばかりが選択しているのもあって、上位を取るのが難しく、上位を取っても点数差が出にくい。


 総合順位で上位を取るには、属性別ではない科目でいかに点数を稼ぐのが有効だと説明された。


「私の予想が当たるかどうかはわかりません。ですが、この範囲をしっかりと抑えておけばいいでしょう。では、簡単に解説します」


 ベルサス先生の特別授業が始まった。





「よし! 遊ぼうか!」

「遊ぼう!」


 午前中はベルサス先生の授業を受けて、昼食を食べた。


 午後の予定はビビと面会。見舞いの品を渡した後、浮遊魔法を使って遊ぶことになった。


「どんなゲームにするかは考えてきたよ」

「ボール遊び」


 ルールを聞くと、ドッチボールのことだった。


 簡単だと思っていた私だけど、恐ろしい人物がいた。


 それはビビ。


 アヤナの身体強化の魔法、カーライト様の浮遊魔法、イアンの移動魔法でパワーアップ。


 私、ベルサス様、レアンのチームをボコボコにした。


「ビビが強いです……」


 恐るべし魔法効果。


「ルクレシアが一番当てやすいです!」

「ドレスだからね!」


 アヤナは身分差があるので私よりもシンプルなドレス。


 しかも、アヤナは自分にも身体強化の魔法をかけているので、私とは全く違う女子になっていた。


「ビビをもらいます!」


 負けたチームは相手のチームから一人もらえる。


 なので、ビビをもらった。


「ビビ、今度はあっちをやっつけてください!」

「はい!」

「レアンが移動魔法、ルクレシアが浮遊魔法を担当で」

「私が浮遊魔法を担当するのは無理です。狙われるので余裕がなくて」

「仕方がないな。じゃあ、カートライトで!」

「わかった」


 当たり前だけど、ビビを楽しませるためのゲーム。


 でも、魔法で強化されたビビは本当に強い。


 今度はアヤナたちのチームをボコボコにした。


「強いわ……」

「そうよね」


 ビビの身長が低いので、ボールが足の方に来て取りにくい。


 逃げてもドレスに当たったらダメというルールなので、私は格好の的になっていた。


「ここまでにします。ビビは部屋に戻るように」


 ベルサス様が終了宣言をした。


「えー!」

「長く遊んでいると体力が減ってしまいます。休憩しないといけません」

「お兄様たちはゲームを続けるの?」

「いいえ。せっかく来てくれたからにはもてなさなくはいけません。応接間でお茶会です」

「私も一緒に出たいです!」

「ベッドで休む約束でした。約束は守りなさい」

「はい」

「送っていくわ」


 部屋まで一人で戻るのはかわいそうなので、私が一緒に行くことにした。


「ルクレシア、大好き!」

「私もビビが大好きですよ」


 ビビと抱きしめ合って別れると、私は応接間へ向かった。


 すでにお茶とお菓子の準備がされていて、くつろいでいるようだった。


「先に始めさせてもらいました」

「大丈夫です。お気にされず」


 空いている席に座ると、ベルサス様がお茶を持ってきてくれた。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


 絶対に最高級のお茶だろうと思える良い香りに幸せな気分を感じた。


「で、続きでいいの?」

「どちらでも」

「ルクレシアにも教えたほうがいいと思うから、私が説明するわ」


 話していたのはレベッカのことだった。


 レベッカは婚約者候補になったことで人気が急上昇。


 友人やグループに入りたいという人が増えた。


 レベッカは私と同じく身分差に関係なくグループにいたため、あっという間に五十人を超えてしまった。


 そのあとも断りにくいということで、百人まで増えたらしい。


 レベッカは全員分の席を取っている。さすがに席を確保しすぎだということで不満の声が上がっているらしい。


「レベッカのグループは百人もいるの?」


 多いとは思っていたけれど、人数は知らなかった。


「ルクレシアに食堂の席が取れなくなるから三十人ぐらいにしたほうがいいって言ったのはレベッカよね?」

「そうね」

「なのに、自分のグループは百人よ? どういうことって思うわ」


 確かに違和感がある。


「事情があると言っていました」


 ベルサス様が答えた。


「私もアルード様のグループが五十人なので、百人は多い、不満の声が出やすくなると話しました。ですが、両親ができるだけ大きなグループを作るように言ったらしいのです」


 婚約者候補になったことで一時的に注目されているが、全員がずっとレベッカの支持をしてくれるかどうかはわからない。


 いずれ抜けたいと言い出す人もいると考え、最初はとにかく大きなグループを作ることにしたらしい。


 元々私のグループだった人も受け入れているせいで、人数が多くなってしまったのもあるということだった。


「毎週お茶会もしているらしいわよ」


 最初はアクアーリ伯爵家でグループメンバーを招待したお茶会が開かれた。


 そのあとはグループメンバーの家で交代にお茶会を開いているらしい。


「お金持ちはいいけれど、そうじゃないと大変だよね」

「招待者が百人だしね」


 確かに。


 大きな部屋が必要だし、費用もかかる。


「平民はどうするのかな?」

「お金持ちはいいけれど、そうでないと難しいよね」

「アクアーリ伯爵家としては、レベッカを利用して縁を広げたいだろう。それで条件に合う者をグループメンバーに入れるように言っているのかもしれない」

「お金持ちとの縁は嬉しいよね」

「追加されたもう一人は貧乏な元平民の婚約者候補だ。普通ならレベッカが上だけど、コランダム公爵家がついている」

「実質的に一番下の候補者はレベッカかも?」

「スピネール男爵家には悪い噂のある者も近づいているらしい。コランダム公爵家が注意しているらしいが、どうなるかわからない」

「いざって時はコランダム公爵家の養女にしてもらうしかないかも?」

「アヤナも大変だよね」

「私は幸運なようで実は不運なのかもね」


 アヤナは深いため息をついた。


「コランダム公爵夫妻は私を養女にしてくれそう?」

「知らないわ。でも、夕食は一緒でしょう? 家族のように扱っているとは思うわよ」

「そうよね!」


 アヤナは喜んだ。


 でも、一瞬だけ。


「さすが公爵家って感じの客間や食事なのよ。でも、公爵夫妻からの圧がすごくて……ルクレシアの大変さを実感したわ!」

「そうですか」

「わかる」

「大変だよ」

「だよね」

「アヤナ、たぶんだけど、ここにいる全員が同じような感じよ。それぞれの家の事情があるだろうから」

「貴族は大変ね。頑張って!」

「アヤナも貴族よ!」

「貴族です」

「貴族だな」

「貴族だよ!」

「貴族だね!」


 全員が容赦なく指摘した。


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